SOSO 素材の素材まで考える。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて

作成者: 三井化学|Aug 8, 2022 7:00:00 AM

日本の2050年カーボンニュートラル宣言

日本では2020年10月の当時の菅総理大臣による所信表明演説において、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを表明し、続いて2021年4月に米国で行われた気候サミットにおいて、2050年カーボンニュートラル目標達成のため、2030年度に2013年比で46%のGHG排出量削減を目指すことを国際社会へ向けて宣言しました。
現状を見ると、日本が排出する温室効果ガス(GHG)の2019年度の総排出量は12億1,200万トン、そのうち9割にあたる11億4,600万トンがCO2であり、その約4割が電力部門、約6割が産業や運輸、家庭などの非電力部門からの排出です。

日本の部門別のCO2排出量(2019年度)
出典:経済産業省HP

電力部門のCO2排出量の大半を占めるのが火力発電所からのCO2排出であり、2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、火力発電所からのCO2排出量を削減していく必要があります。特に排出が多い石炭火力発電では、発電効率の低い設備のリプレースやLNG火力への切り替え、発電時に発生するCO2の貯留(CCS)や原料利用(CCU)、アンモニア混焼などの技術開発が進められています。

一方非電力部門のCO2排出量は省エネ化等により削減が進んでおり、電力部門の排出量削減に連動してスコープ2の更なる削減が可能ですが、削減が難しいのが、製造プロセス上で大量の熱エネルギーを必要とする産業(例:パルプ・紙・紙加工業)や、化学反応においてCO2が発生する産業(例:鉄鋼業、化学工業、セメント業)です。鉄鋼、セメント、化学産業では製造時に発生するCO2の原料利用(CCU)について、他産業や官学と連携した技術開発が進められています。

カーボンニュートラル実現に向けた国内の動き

2050年カーボンニュートラル実現へ向けて、自治体における取り組みも活発に進められています。東京都ではオリンピック開催に先立ってGHG排出の2000年比50%削減などを謳った「ゼロエミッション東京戦略2020」を発表しています。

また横浜市、川崎市、国土交通省、関連企業が一体となって、水素など脱炭素燃料のサプライチェーン構築、港湾物流及び産業の脱炭素化、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化等に取り組む「横浜港・川崎港カーボンニュートラルポート」構想も進められています。

各企業のカーボンニュートラル宣言

パリ協定を契機に、気候変動に対応した経営戦略の開示(TCFD)や脱炭素に向けた目標設定(SBT、RE100)などを通じ、企業が脱炭素経営に取り組む動きが拡大しています。日本企業の取り組みは世界でもトップクラスとなっており、TCFDに757機関が賛同表明、SBTには173社が認定、RE100には66社が参加しています(2022年3月末時点)。

三井化学の取り組み

三井化学グループでは、製造時エネルギーのカーボンニュートラル化だけにとどまらず、CCUS等のカーボンネガティブ技術の開発・導入、プラスチックのバイオマス化を推進することで、製品と技術を通じた社会全体のカーボンニュートラルに貢献する考えです。また、三井化学グループが提供する製品・サービスの環境や社会への貢献を見える化し、ステークホルダーと価値を共有するために、環境への貢献価値が認められる製品をBlue Value®製品として認定し公表しています。
また三井化学グループの主要製品であるプラスチックについて、「バイオマスプラスチック製品群の拡充」と「プラスチック資源リサイクルの推進」という2つの戦略に注力しています。バイオマスナフサの導入によるバイオマスプラスチック・化学品のラインナップ拡充や、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルに関するプロジェクトを多く立上げています。また、グローバルにはAEPW(Alliance to End Plastic Waste)の設立メンバーとしてプラスチックごみ削減に対する国際アイニシアチブに参加しています。AEPWでは、5年間で総額15億米ドルを投じ、持続可能な社会実現に向けての取り組みを支援していく枠組みを動かしています。
これらの戦略を通して社会のバイオマス化と資源循環を促進し、カーボンニュートラル及びサーキュラーエコノミーを推進していく考えです。
そうした取り組みやソリューションはBePLAYER®/RePLAYER®ブランドとして、ステークホルダーとのコミュニケーションを図っています(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/)。