当社は、資本コストを意識した経営が重要との認識の下、投資効率性の向上と資本コストの低減に向けた取り組みを通じて、企業価値の最大化を図ってまいります。 当社は、資本コストを意識した経営が重要との認識の下、投資効率性の向上と資本コストの低減に向けた取り組みを通じて、企業価値の最大化を図ってまいります。

1. 投資効率性向上・資本コスト低減の取り組み

企業価値向上

投資効率性の向上

投資効率性向上の取り組みとして、当社は「ポートフォリオマネジメント」、「KPIマネジメント」、「投資評価適正化」を推進しています。
ポートフォリオマネジメントでは、ROICと利益成長率で全事業を評価し、事業ごとの課題を抽出しています。ROICがWACCを下回る事業については、毎年実施する3か年ローリングにおいて再構築に向けた戦略を策定し、経営陣で討議するなど、ポートフォリオ変革に向けた取り組みを進めています。
KPIマネジメントでは、ROICを売上高・営業利益等のP/L系指標、キャッシュ・コンバージョン・サイクル等のB/S系指標など、事業の現場で管理可能な指標へ分解し、各指標のモニタリングを通じて改善に向けたアクションを促進していきます。今後、各指標の人事評価との連動性をさらに高めるなど、KPIマネジメントの深化を図ってまいります。
投資評価適正化の取り組みとしては、当社はIRRを主な判断基準として投資の意思決定を行っています。当社の資本コストをベースにリスク要素を加味したハードルレートを設定し、各案件を評価しているほか、過去の案件についても毎年振り返りを行い、計画と実績の乖離が大きい案件の要因解析等を通じて投資評価プロセスの改善に努めています。現在、さらなる需要伸長が見込まれる製品の生産能力拡大等、多くの投資を検討しておりますが、各案件の経済性を十分に見極めた上、厳選して投資してまいります。

ROIC:Return on Invested Capital(投下資本利益率)

資本コストの低減

当社は資本コスト低減に向け、「収益ボラティリティの低減」、「最適資本構成の実現」、「投資家とのコミュニケーション強化」に取り組んでいます。
収益ボラティリティ低減については、当社は過去にフェノール、高純度テレフタル酸、ポリウレタン材料等の製品が大幅な赤字に陥ったことによる全社収益の低迷を経験しました。これらの製品は当時、中国をはじめとするアジアへの輸出比率が高く、中国メーカーのプラント新増設に伴う需給環境悪化により、輸出採算が大幅に悪化しました。これを受け、当社は2013年度に多額の特別損失を伴う構造改革を意思決定し、以降、「地産地消」を原則に、工場閉鎖を含む製造設備の廃棄等を進め、国内需要に見合うサイズまで生産能力を縮小してきました。これにより、上述の3製品の地産地消比率は80%に達しています。同時に、市況変動影響の最小化に向け、製品販売価格を原料価格に連動させるフォーミュラ方式の導入を進めてきました。現在、基盤素材の主要製品の価格フォーミュラ比率は70%まで向上しています。これらの取り組みにより、一般的には収益の変動が大きいと見なされる製品群を含む基盤素材においても、安定収益を確保できる構造への転換を図ってまいりました。今後、クラッカーをはじめとする各製品の競争力強化により、さらなる収益安定化を進めていきます。
最適資本構成については、当社は財務健全性と資本コスト最小化を両立できる資本構成を追求してまいります。前述の全社収益低迷により、Net D/Eレシオは一時期1.44まで悪化しました。その後の構造改革の効果により、現在は0.7程度の水準まで改善しており、格付は日本格付研究所(JCR)でAフラットからAプラスへ、格付投資情報センター(R&I)ではAマイナスからAフラットへそれぞれ向上しています。今後投資の拡大による有利子負債の増加が見込まれますが、Net D/Eレシオや格付を現在の水準で維持し、財務健全性と資本コスト最小化の両立を図ってまいります。
投資家とのコミュニケーションについては、当社はこれまで上述の取り組みを含めた当社経営状況をご理解頂くべく、継続的な対話を実施してまいりました。実際に面談した投資家の皆様からは収益安定性や今後の成長性についてよく理解できたとのご意見を頂戴しております。一方、株式市場全体の評価としては、まだ過去の収益ボラティリティの高い企業というイメージを払拭できていないと感じており、今後さらなる対話機会の充実を図ってまいります。

2. 投資計画

当社は2014〜16年の3年間、財務体質の改善に取り組んでまいりました。その結果、前述の通りNet D/Eレシオは0.7程度まで改善しましたが、一方で投資を抑制したことにより、主要製品の拡販余力が少なくなってきており、2016年度に策定した2025長期経営計画では10年間で1兆円の成長投資を計画しております。この内、約9割を成長3領域へ、使途別では6,000億円を生産能力拡大や競争力強化に向けた設備投資、4,000億円をM&A等の戦略投資に振り向けていく予定です。なお、投資の基本的な考え方として、投資枠ありきではなく、十分なリターンの見込める確度の高い案件を厳選し、慎重に取り進めてまいります。
また2025長期経営計画の達成に向け、当社は毎年、向こう3か年の戦略・計数計画のローリングを実施しており、2019〜21年の3年間で4,300億円の投資を計画しております。この内、75%にあたる3,000億円強を成長・合理化投資へ、残り1,000億円強を設備保全等の基盤維持投資へ振り向ける予定です。成長・合理化投資については、成長3領域において、モビリティを中心に伸長する需要に対して生産能力の拡大が必要な製品が多くあり、これらの設備新設・増強を行っていきます。また基盤素材においても、クラッカーの原料多様化や、用役プラントのガスタービン新設等、競争力強化に向けた投資を実施していきます。M&Aについては上述の金額に含まれておりませんが、実施する場合は、財務状況と戦略適合性を見極めつつ取り進めてまいります。

キャッシュフロー・Net D/Eレシオ推移

キャッシュフロー・Net D/Eレシオ推移

3. 計数計画

当社は2025長期経営計画の計数目標として、売上高2兆円、営業利益2,000億円、ROE10%以上、Net D/Eレシオ0.8以下を掲げております。また今般、ROICについても新たに8%以上という目標を設定しました。今後これらの目標達成に向けた取り組みを加速してまいります。
2019〜21年の3か年ローリングにおいては、2021年に営業利益1,400億円、当期純利益1,000億円を計画しています。投資の抑制により、ここ数年、収益は踊り場になっていましたが、各種投資案件の効果が2021年頃から発現してくる見込みです。
またこの度、当社のポートフォリオ変革を定量的に示す指標として、セグメント別のROICについても開示しました。全社では2018年の6.0%から、2021年に7.5%への改善を見込んでいます。セグメント別には、モビリティのROICは現在高水準で推移しています。今後設備投資の拡大により投下資本は増加しますが、利益成長により引き続き高水準のROICを維持していきます。ヘルスケアについては、投下資本は一定程度増加しますが、ビジョンケア材料の拡販に伴う利益拡大、2018年低調だった不織布と歯科材料の収益回復により、ROICの改善を見込んでいます。フード&パッケージングについても、農薬の拡販と、18年後半から半導体減速の影響を受けたイクロステープ™ の販売回復、並びに台湾での新規プラント稼働により、ROIC改善を計画しています。基盤素材は、設備投資により投下資本が増加しますが、競争力強化等、収益性の向上によるROICの改善を見込んでいます。

営業利益・当期純利益

営業利益・当期純利益

ROIC

ROIC

4. 株主還元

当社は、事業の成長・拡大による企業価値の向上を最重点課題として認識するとともに、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と位置付けています。株主還元方針としましては、業績の動向を踏まえた継続的な増配に加えて、株価水準や市場環境に応じた機動的かつ柔軟な自己株式の取得により、総還元性向30%以上を目指してまいります。

*2017年10月1日付で普通株式5株を1株とする株式併合を行ったため、過去分については株式併合後の株式数を基に修正しています。

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