資本収益性の向上による企業価値最大化を基本方針として、様々な取り組みを進めていきます。取締役 常務執行役員 CFO 中島 一 資本収益性の向上による企業価値最大化を基本方針として、様々な取り組みを進めていきます。取締役 常務執行役員 CFO 中島 一

ポートフォリオ変革の歴史

2008年のリーマンショックによる大幅な収益悪化や、その後の中国をはじめとした景気刺激策に伴う汎用石化プラントの新増設、また米国でのシェール革命、中東諸国の川下進出など、当社グループを取り巻く汎用石化製品の事業構造は大きな変革期に突入し、それまでの基盤素材事業を中心とした事業構造から、大胆な変革が求められるようになりました。
このような事業環境の変化を背景に、当社グループは、収益基盤を支える基盤素材事業の再構築と、成長を牽引する3領域と定義づけるモビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング事業の拡大を両輪とする、ポートフォリオ変革を進めてきました。
基盤素材事業については、海外市況の変動影響の低減に向け、「地産地消」を原則に生産能力のダウンサイジングを行うとともに、汎用品から差別化品へのシフトを行い、安定収益体質の確保を目指してきました。そして成長を牽引する3領域については、当社グループの収益の大きな柱とするべく、需要の伸びに応じた製造設備の新設、増強を進めてきました。
この結果、基盤素材事業は、ボラティリティが確実に低下しROICは改善してきました。成長3領域についても、全社に占める投下資本の比率が、2008年度の35%から2019年度には50%まで拡大するとともに、ROICも、成長3領域合計で2008年度の-1%から2019年度は9%と大幅に改善しました。
また、これらのポートフォリオ変革の取り組みの結果、財務の状態を示すNet D/Eレシオは、2013年度末の1.44から2019年度末には0.76まで改善し、さらなる成長投資に向けた財務基盤も整ってきました。

投下資本推移

投下資本推移

ROIC推移

ROIC推移

キャッシュ・フロー・Net D/Eレシオ推移

キャッシュ・フロー・Net D/Eレシオ推移

2020年度第1四半期時点での予想を記載しています。

今後の方向性

当社グループは、2019年度よりポートフォリオ変革を定量的に示す指標として、セグメント別のROICを開示しており、資本収益性の向上(=ROICスプレッド拡大)による企業価値最大化を基本方針として、今後もポートフォリオ変革を加速するための様々な取り組みを進めていきます。
成長領域については、これまでに行った投資の確実な回収と、グループリソースの連携およびソリューション提案力を武器にした、新たな成長モデルの早期実現を図っていきます。また、ICTやヘルスケアなどの領域では、成長加速に向けた投資を積極的に行い、不足するケイパビリティがあれば、その獲得にM&Aも活用していきます。その際には、いずれの投資においても資本コストを意識しつつ、IRRなどを指標として十分なリターンを得られるよう、採算性の審査を厳格に行っていきます。
基盤素材事業については、過去と比べて収益ボラティリティやROICが改善したものの、未だ十分とはいえない水準であり、もう一段踏み込んだ再構築が必要と考えています。2020年度中に具体案を策定し、ボラティリティと収益性の改善に向けて実行していきます。
これら施策の推進により、時に有利子負債が増加する場合もありますが、中期的にはNet D/Eレシオおよび格付を現行の水準で維持し、財務健全性と資本コスト最小化の両立を図っていきます。
このような取り組みや当社グループの経営状況を理解していただけるよう、これからも情報開示の強化を進めるとともに、投資家の皆様との対話機会を一層充実させていきたいと考えています。

日本格付研究所(JCR):Aプラス、 格付投資情報センター(R&I):Aフラット

今後の方向性

新型コロナウイルス感染症影響

新型コロナウイルス感染症の拡大が、今後の世界経済および企業業績に与える影響は見通しづらい状況にありますが、当社グループはリセッション対策として、あらゆるコストの見直しにより30億円超のコスト削減を行っているほか、在庫圧縮、売上債権管理の徹底など、キャッシュ確保に向けた施策を進めています。
また1,000億円規模の融資コミットメントライン拡充により、さらなる環境悪化への耐性も確保しています。
投融資についても、不急のものを中心に、総額約130億円の案件の実施繰り延べを予定していますが、今後の成長に必要な開発・投資については着実に実行し、将来の成長につなげていきます。
新型コロナウイルス感染症の収束後は、ポストコロナとして様々な変化が予想されます。リモートワークに代表される新しい働き方への対応を進めるほか、これらICT関連の新規トレンドや、公衆衛生意識の向上など、環境変化によって生じる新たなニーズの獲得に向けても経営資源を投入していきます。

株主還元

当社グループは、事業の成長・拡大による企業価値の向上を最重点課題として認識するとともに、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と位置づけています。
利益の配分については、①事業の継続および成長に向けた投資、②株主還元、③有利子負債削減、を基本的な優先順位としつつ、財務状況やキャッシュ・フロー、将来の収益見通しなどを総合的に勘案します。
このような方針に基づきながら、株主還元については、DOEなどの指標も考慮しつつ、安定配当を継続するとともに、株価水準や市場環境に応じた機動的かつ柔軟な自己株式の取得を組み合わせることにより、総還元性向30%以上を目指していきます。

機動的な自己株式取得
30%以上
の株主還元を目指す

機動的な自己株式取得30%以上の株主還元を目指す

※1当社は2017年10月1日付で普通株式5株を1株とする株式併合を行っており、株式併合前の配当金につきましても、遡って当該株式併合の影響を考慮した金額を記載しています。

※2当社は2020年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用しており、2019年度以前につきましては日本会計基準の「親会社株主に帰属する当期純利益」の値を記載しています。

※32019年度決算時点では、新型コロナウイルス感染症影響により2020年度の配当金は「未定」だったため、2020年度第1四半期決算時点での配当金および当期利益を記載しています。

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