ガバナンス対談:CFO x 社外取締役
ガバナンス対談:CFO x 社外取締役

肩書は対談当時

実効性の高いガバナンス実現へ

自由闊達な議論が展開される取締役会

久保

当社は、1997年に三井化学が発足する前から、活発な取締役会にしたいという狙いで社外取締役の方に入っていただいています。まずは、社外取締役の方から当社の取締役会について、それぞれどのようにご覧いただいているのかご意見をお聞かせください。

黒田

三井化学の取締役会では、毎回自由闊達な議論や意見交換が行われているという印象です。社外取締役・監査役の人員構成も非常に多様性に富んでいることもあって、多面的な観点からそれぞれが意見を述べさせていただいています。
社内取締役からは、わかりにくい社内のことに対して丁寧な説明があり、時にはこちらの意見に対して反論されるなど、うまく議論が進んでいるのではないかと思っています。社内の取締役が社外役員の意見に真摯に耳を傾けていただいている点を評価しています。
また、社外役員全員が化学業界に対して豊富な知識があるわけではありませんが、そういう社外役員に対しての事前説明や、勉強をさせていただく機会、さらには事業所の視察などといった機会がたくさんあり、大変助かっています。

馬田

当社の取締役会は長期的な視点が必要な計画や案件、特に重要度が高い案件を重点的に議論が進められていると感じています。
社外取締役に対して求められる要件は、第三者としての意見を言うことですが、その一方で当該案件を十分理解をした上での発言が求められるようになってきています。このため、実際のオペレーションを知らないと議論についていけないと思います。私は社外取締役に就任して3年たちますが、この間に様々な生産拠点を視察することができました。国内の工場はほぼすべて網羅し、海外についてもヨーロッパ、アメリカ、東南アジアなど主要拠点を視察しています。私は、もともと鉄鋼業にいたので、プラントをよくわかっているつもりでしたが、鉄鋼と化学とは全然違うということを現地での視察により理解できました。
そういう点も含めて三井化学が、自社のビジネスの現場を社外役員が理解できるよう、丁寧に説明していただけることを非常に高く評価しています。

久保

新任の吉丸取締役は、今年度より三井化学の取締役会にご参加いただくわけですが、これまでの他の会社での業務執行役員としてのご経験や、社外役員のご経験を踏まえて、取締役会のあるべき姿に対するご意見をお聞かせください。

吉丸

取締役会では、重要な意思決定を行うという前提で難しい議論を進めていくために、事前に様々な検討を行っていると思いますが、それでも意見のぶつかり合いがあります。その意見のぶつかり合いこそが大切だと考えており、異なる視点を持つ経験豊富な社外取締役の意見も参考に、結論を出していく。そして、その後の進捗を適宜モニタリングする。このプロセスに、私もできるだけ貢献したいと思っています。
もう一つは、取締役会の議論の中で、社内取締役からご担当でない分野の意見を伺うことは非常に有意義なことではないかと思っています。
歴史の変曲点に直面し、様々な変化が起こっている中で、自分自身がどのような意見を出していき、貢献していけるのか、非常に楽しみにしています。

久保

昨今、社外取締役の役割の一つとして、トップ人事に関するテーマと役員報酬に関するテーマにどう関与していくのかが注目されています。当社で人事と報酬に関する議題を取り扱っている諮問委員会について、委員会のメンバーである黒田取締役のご意見を伺えますか。

黒田

両委員会ともあくまで諮問委員会という位置付けではありますが、人事諮問委員会については社長以外全員が社外取締役で構成されるなど、社長の一存で物事を決めることができない仕組みになっており、そこでは非常に重要な人事議案について徹底的な議論ができています。諮問委員会でありながら、実質的な議論ができているという意味では、先進的なガバナンスだといえるのではないでしょうか。

取締役会の実効性向上に向けた絶えざる改革

久保

次は、取締役会の実効性評価の観点でご質問したいと思います。三井化学では毎年、取締役会の実効性評価を行っています。役員全体に対するアンケート結果を基に、社外取締役と社外監査役の方のみでディスカッションをしていただき、その結果を踏まえて、取締役会で議論するというプロセスを経ています。また三井化学の取締役会に実効性があるかどうかという観点にたって、最近では外部機関の評価を行っています。この評価を通じて、三井化学の取締役会が他社に比べてどういう点が優れていて、どういう点に課題があるのか見える化をしている状況です。
今年度も実効性評価を行い、いくつか改革を進めていますが、社外役員だけでのミーティングでの議題や、今までの改革のプロセスなどから、実効性に関するご意見をお聞かせください。

黒田

実効性評価に関する外部機関の評価では、他社と比べたスコアが出ます。三井化学は、ほとんどの項目で他社よりも高いスコアが出ています。そこで、自己満足に陥ることなく、どんどん変えるべきところは変えていこうとしており、年々改善の取り組みを進めているのが素晴らしいと思っています。
改善された項目の一つとして、取締役会で何を議論すべきか、という議題に対するルールである付議基準を引き上げたことがあります。その結果、現在の取締役会では、より重要度の高い、戦略性の高い案件に絞って議論できるようになっています。
また、私の就任時は現在の長期経営計画が発表される直前でしたので、取締役会の議題も長計作成に関しかなり議論されていましたが、最近は日々のオペレーションに議論が行きがちだったという印象でした。経営の意思決定に中長期的な視野は必須なので、オペレーショナルな議論をするにおいても、やはり長期経営計画の位置付けの中でどうあるべきかという視点で見ていくべきではと実効性評価アンケートで述べさせていただいたのですが、早速、それに関連した議題を先日の取締役会で織り込んでいただきました。

馬田

取締役会の評価に関して、毎年実効性評価を行っていますが、社外取締役や社外監査役の意見に対し、きちんと対応されていると感じています。社外役員だけでの実効性評価の会議で、社内の経営会議においてどのような質疑、反対意見が出ているか、実際の議論について教えてくださいとお願いしたら、対応していただきました。
現状の議題に関する意見を述べさせていただくと、三井化学は様々な買収案件や海外の大型案件をかかえていますが、原計画よりは少し遅れ気味のようです。将来のためにもこの評価や分析をしっかりやっていく必要があると思います。

顧客の想像を超えるチャレンジを

久保

ここで、少し観点を変えまして、三井化学の企業風土に関してご意見をいただきたいと思います。
社外取締役の方々は、取締役会での議論にご参加いただくだけでなく、関係会社や事業所にも訪問いただき、現地の社員との意見交換もしていただいております。これらを踏まえて、感じられる三井化学の強み、あるいは改善点についてお聞かせください。

馬田

三井化学を外から見ると、堅実で、物事に対して真面目に受け止めて、やるべきことをきちんとやるしっかりした会社という印象です。歴史のある会社でもあり、地方の事業所にいくと、町を代表する企業であるという認識をその町の方も持っているし、従業員もそういう誇りを持って働いていることを感じます。これは会社にとって大きな財産だと思います。
一方、日本的な企業文化は、時としてよそ者に対する許容力が足りない可能性があるので、多様性に気を付けていく必要があると思います。
ところで、近年、企業の不祥事が頻発していますが、それを見て思うのは、企業のベースには誠実さが必要ということ。問題を起こすような企業は誠実さに問題があると私は思っています。その点、三井化学には社長以下、従業員に至るまで、大変誠実さを感じ、評価したいと思います。

黒田

取締役会の運営をみても、問題と指摘されればそれを素直に受け入れて解決していく、直していくという誠実さが会社全体に定着していると感じます。
事業の側面で言うと、私が社外取締役に就任して1年ほどで、大きな組織改革があって、それまでのプロダクトアウトをベースにした組織から、顧客をベースにした組織に変更されました。組織改革の結果、徐々に、外部の要請や顧客のニーズから製品を作っていく風土に変わってきているということを感じます。
顧客の声を聞くということと、素直に真面目に問題に取り組む体質をかけ合わせると、これからはユーザーのニーズを高いレベルで満たす企業になれると思います。
一方で課題というよりも、期待ですが、ユーザーの想像を超える製品を開発し、驚きや感動を与えることができるといいなと思います。そのためには、あるときは堅実を捨て、リスクテイキングして、異端児的なことにもチャレンジしていってほしいものです。新事業開発室にはそのようなチャレンジングなテーマがあると聞いていますので、今後を楽しみにしています。

久保

今回ご縁があって社外取締役にご就任いただきましたが、吉丸取締役が三井化学グループに対して期待なさっている点をお聞かせください。

吉丸

私は、就任前の感想として、基盤・材料となるものを持っていることが現代社会のいわば基礎を造っているという意味で好印象でした。ただ一方で、基盤・材料を持っていることがビジネスを難しくしているということも理解しています。
株主総会での株主様からのご質問に、植物由来のプラスチックなど、これまでにないものを開発できれば、大きな転換ができる存在ではないかという、期待をこめたご発言がありました。
顧客起点でいろいろなアプリケーションを提示していくことももちろん大事ですが、さらに、大きなレベルで社会課題を解決できるような材料の開発などができる企業なのではないかと私も期待しています。

社会課題解決に主導的な役割を期待

久保

社会課題としてSDGsあるいはESGということがよく言われています。企業が事業活動を通じて社会課題解決に貢献することが、どの産業にも求められています。
その中で、化学産業は新しい技術、製品で社会課題解決に貢献できる大きな可能性を有していると思います。
三井化学のESG推進に関する現状の取り組みや今後の展望について、ご意見を頂戴できますか。

黒田

これは個人的にも興味のあるテーマです。新しい材料を開発することによって、それが様々な産業に使われ、環境問題の解決に大きく貢献するというようなケースが十分想定できますし、まさにその役割を三井化学が担うことができるのではないかという期待も持っています。
三井化学は、社会課題解決に関連する様々な事業に取り組んでいますが、この動きをさらに加速化していただきたいです。三井化学における社会課題解決型の製品といえば、Blue Value®とRose Value®がありますが、環境問題をテーマにしたBlue Value®だけでなく、Rose Value®の方でも、例えば食料の問題や、高齢化社会に対する課題解決というような分野でも寄与できる事業をたくさん持っています。
常に、ユーザー、お客様に言われてから取り組むのではなく、今後取り組むべき課題、解決すべき社会課題は何かと社員全員がアンテナを張って、先んじて解決策を考えられるようになっていただきたいです。

馬田

近年、様々な形で話題となっているマイクロプラスチック問題については、その深刻さが徐々に明らかになりつつあります。
マイクロプラスチックの問題で、最も解決を難しくしているのは、そもそも海に漂っている物質がどこから出たのかというのがほとんど分からないということです。
となると、問題を解決するにはどうすればよいのか、問題の全体像が見えずに、単に今海洋に流出している分だけを処理すればよい、ということではないのが難しいところです。そこに対する突破口として、化学会社として新しい製品を開発するというのは一つの大事な役割だと思います。
さらにいえば、この問題は、一企業で解決できる問題ではありません。淡輪社長が日本化学工業協会の会長を務めているこのタイミングで、政府と一体になって、何をするべきかという方向性を打ち出していくというようなこともお願いしたいと思います。
これまでSDGsなども含め、世界的に大きな課題の解決案は欧州からの発信が多かったですが、今回の問題については、日本主導、三井化学主導で高いレベルの解決を図ることを期待したいと思います。

吉丸

オランダに新しい生産拠点ができると聞いていますので、環境先進国が集まっている欧州の動きがより一層よく見えてくると思います。三井化学には、それらをリードしていく取り組みを期待したいと思います。

久保

ありがとうございました。みなさまのご意見の通り、社会課題というのはリスクに見えますが、解決策に貢献することで、実は大きなビジネスチャンスでもあると思いますので、私どもとしては、Blue Value®・Rose Value®の比率を高めていくことで、利益の拡大につなげる、そういった取り組みを今後も進めていきたいと思っています。

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