2006年3月22日

記者各位

三井化学株式会社
出光興産株式会社

 

世界最高レベルの高性能赤色有機EL材料供給開始
〜 三井化学と出光興産の協業による具体的成果 〜

 三井化学株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:藤吉建二、以下「三井」)と出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:天坊昭彦、以下「出光」)は、本年2月13日に有機EL材料の研究開発・製造における協業体制の構築について、合意し、共同で有機EL材料の開発を進めております。
 この度、本提携による具体的成果として世界最高レベルの高性能赤色発光材料の供給開始を決定しました。

1.高性能赤色発光材料の概要
 (1) 三井と出光は、三井の「蛍光赤色ドーパント」と出光の「蛍光赤色ホスト」を組み合わせることで、従来の蛍光材料を飛躍的に上回るとともに、りん光材料と同等以上の高効率化・長寿命化を有する「赤色発光材料」を開発しました。
 (2) 「高性能赤色発光材料」の性能
・電流輝度効率※1:11cd/A (出光従来材料比 約3.4倍)
・輝度半減寿命※2:160,000時間
 (初期輝度 1,000cd/u※3、出光従来材料比 約32倍)
 ※1 電流輝度効率:単位電流当りの明るさ(単位:cd/A)
 ※2 輝度半減寿命:明るさが半分になるまでの時間
 ※3 cd/u:ディスプレイの明るさを表す単位
  (ノートパソコンの画面の明るさは、100cd/u程度)

赤色材料の性能比較

 

今回開発した
高性能赤色発光材料

出光従来品

りん光赤色従来材料
(UDC)

方 式

蛍光

蛍光

りん光

電流輝度効率

11cd/A

3.2cd/A

12cd/A

輝度半減寿命
(初期輝度1,000cd/u)

160,000時間注1

5,000時間注1

35,000時間注2

注1: 実測寿命から換算
注2: UDC発表:SID2005の寿命から換算
UDC:Universal Display Corporation SID:Society For Information Display
 
2.高性能赤色発光材料開発の背景
 (1) 出光は、蛍光型の青色および緑色発光材料では世界最高レベルの寿命・電流効率を発揮する材料を製造・販売しております。
 (2) しかし、赤色発光材料に関しては自社に有力な材料がなく、また、市場でも蛍光型の有力な赤色発光材料はありませんでした。
(このため、赤色発光材料ではりん光型の有機EL材料が普及しています。)
 
3.「高性能赤色発光材料」開発の効果景
 (1) 現在、有機ELディスプレイ製造においては、赤・青・緑の発光材料を使用した「三色塗り分け方式」が広く用いられています。
 (2) 本方式を採用した場合の材料構成については、青・緑色については「蛍光材料」が、赤色については「りん光材料」の使用が一般的となっております。赤色に「りん光材料」が用いられているのは電流輝度効率、寿命等の面で「蛍光材料」の性能が劣っていたことが主な要因です。
 (3) 本材料の開発により、三色「蛍光材料」の組合せで、従来品を凌ぐ性能発揮が可能となります。
 (4) また、三色「蛍光材料」を使用することにより、発光層以外の周辺材料も三色共通(蛍光型への一本化)で利用できるなど、素子構成が簡略化し、製造が容易になります。
 
4.今後の予定
 (1) 本年5月からサンプル供給を開始します。(販売は出光が行います。)

 *

出光が、本日、同時に発表したアバゴ・テクノロジー社とテキサス大学からの高性能ドーパントの素子特許取得により、全世界での販売が可能となりました。
 (2) 三井・出光両社は本赤色材料以外にも開発面での協業を強化しており、その成果を順次市場に投入します。
赤色素子発光の様子
赤色素子発光の様子

本件に関するお問い合わせ先

  三井化学株式会社 IR・広報室 03−6253−2100
  出光興産株式会社 広報室 03−3213−3115