PFAS代替
- TPX®の
対応方針 - PFAS規制に
関して
フッ素樹脂と共通した特性(耐熱、離型、耐薬、電気特性)を有するTPX®樹脂
及び長年培った開発技術を用いて、
お客様のPFAS規制に関する課題を共に解決していきます。
PFASは、少なくとも1つの完全にフッ素化されたメチルまたはメチレン基(水素、塩素、臭素、ヨウ素が結合していない)を含むフッ素化合物と定義され、世の中に存在するほぼ全ての有機フッ素化合物が該当します。
有機フッ素化合物は耐熱性、耐薬品性、難燃性、耐油性など多くの優れた化学的性質を持つことから生活に欠かせない様々な製品に使用されています。一方で卓越した耐久性から自然界では分解されにくいため環境や人体への影響が懸念され、世界中で規制強化に向けた動きが強まっています。
欧州化学品庁(ECHA)が検討中の規制対象にはフッ素樹脂(PTFE, ETFE, PFA等)も含まれており、フッ素樹脂が使用された様々な製品が欧州圏内で使用できなくなるリスクがあります。また規制の流れは欧州以外でも広がりつつあり、米国ではメイン州、ミネソタ州を始め複数の州でPFAS含有に関する法案が議論されています。※1
フッ素樹脂は他の素材よりも優れた特性を有するために、代替品開発は容易ではありません。またフッ素樹脂が使われる用途によって代替難易度は異なり、規制後の猶予期間は代替材開発状況に応じて5年若しくは12年のいずれかで設定されることが議論されています。
参照
※1 ECHA
※2 本WEBページは2024年11月時点の情報をもとに三井化学が作成しています。
TPX®の物性
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耐熱性
TPX®の融点は220~240℃で、ビカット軟化点も高いため、高温下での使用が可能です。
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単位 TPX®
(RT18)HDPE PC Homo-PP PA6 融点
※非結晶性樹脂はガラス転移点℃ 232 132 150 168 225 ビカット軟化点 ℃ 167 128 154 157 195
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離型性
TPX®の表面張力は24mN/mで、フッ素樹脂に次いで小さいので、
各種材料からの剥離性に優れます。 -
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低誘電性
非極性の構造であることから、TPX®はフッ素系樹脂並の低誘電特性を有しています。
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Dielectric property TPX® PTFE ETFE PE 比誘電率 10kHz 2.1 2.1 2.6 2.3 1MHz 2.1 2.1 2.6 2.3 10GHz 2.1 2.1 2.6 2.3 誘電正接
(tanδ)10kHz < 0.0003 < 0.0003 0.0006 未評価 1MHz < 0.0003 < 0.0003 0.0015 未評価 10GHz 0.0008 0.0005 0.0150 未評価
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耐薬品性
TPX®は安定したC-C 結合であるため、酸やアルカリ、アルコールに対し優れた耐久性を有します。
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溶液 TPX® PTFE 硫酸(96%) A A 水酸化ナトリウム(40%) A A 次亜塩素酸ナトリウム(10%) A 未評価 アセトン B A エチルアルコール(95%) A 未評価 フッ化水素酸(40%) A 未評価 試験条件:試験:TPX® MX002、浸漬:23℃ 168時間
重量変化:A 1%未満、B 1%以上10%未満、C 10%以上
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クリーン性
TPX®は金属溶出量の少ないクリーンな素材です。
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Ng/cm2 金属種 Mg Fe Al Ca Mo Ti Cr Mn Li Na K Ag Cd Sn Pb Ni Cu Zn 溶出期間 1day <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 7day <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 試験条件:
評価:TPX® RT18
使用溶媒:6%塩酸
溶出時間:1日/7日
条件:サンプル1cm2あたりの金属溶出量換算値(ng/cm2)
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軽量性
TPX®はオレフィン樹脂の中で最軽量の樹脂になります。
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TPX® PTFE FEP HomoPP 密度 (g/cm3) 0.83 2.2 2.1 0.9
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滅菌耐性
TPX®は、オートクレーブ滅菌やγ線照射滅菌後の劣化や変色が少ない材料になります。
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オートクレーブ滅菌耐性
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色相安定性
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ヘイズ値安定性
オートクレーブ条件:
2.1kgf/cm2 (121℃) X 20min
Γ線滅菌耐性
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TPX® RT31
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Homo-PP
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PC
Γ-ray: Cobalt 60
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TPX®の加工性
TPX®は射出成形、押出成形、切削加工など幅広い成形方法に対応しています。
お問い合わせ
サンプルや詳細をご希望の方はお問合せフォームよりご連絡ください。
三井化学の
他のフッ素樹脂代替材
※本サイトに記載してある各数値はあくまでも代表値もしくは弊社試験結果に基づく予想される推測値であって、保証するものではありません。
仕様及び外観は予告なく変更されることがありますので、ご了承ください
用途例チューブ
想定用途
-
製剤工程製薬や洗浄液の移送 -
食品飲料製造工程食品類や洗浄液の移送 -
半導体製造装置洗浄液の移送【SEMI F57適合】 -
理化学研究機器薬液の移送
TPX®の特徴
- 耐熱性:融点220-240℃のため高温下での使用が可能です
- 離型性:液切れ性が良く、汚れの付着が少ないです
- 耐滅菌性:オートクレーブ滅菌・ガンマ線滅菌・エチレンオキシド滅菌が可能です
- 耐薬品性:酸、アルカリ、アルコールなどに優れた耐性を持ちます
- 透明性:内容物の確認が容易です
TPX®チューブ物性
項目 | 樹脂 | TPX® | PFA | |
---|---|---|---|---|
銘柄 | MX002 | 市販品 | ||
基本特性 | 融点 | ℃ | 224 | 310 |
耐圧 | 破壊圧力(23℃) | MPa | 7.8 | 6.7 |
柔軟性 | 最小曲げ半径 | mm | 12.9 | 14.9 |
表面粗度 | 面表面粗度 Ra | μm | 0.029 | 0.092 |
※ チューブ内径×外径=4mm×6mm
※ 数値は試験、成形条件、成形機の仕様により異なるため保証できません。
※柔軟性改良した開発品やチューブサンプルご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
用途例フィルム
想定用途
各種離型フィルム/シート
-
FPC離型フィルム -
CFRP離型フィルム -
粘着テープ基材
TPX®の特徴
- 耐熱性:高温下での使用が可能です
- 離型性:フッ素樹脂に次いだ離型性を有しています
- 追従性:低剛性から高剛性までラインナップを取り揃えております
- 電気特性:フッ素並みの絶縁性、低誘電特性を有しています
TPX®フィルム物性
PTFE対比物性
特性 | PTFE | TPX®RT18 | TPX®MX002 | ||
---|---|---|---|---|---|
耐熱性 | 融点 | ℃ | 327 | 232 | 228 |
機械特性 | 破断応力 | MPa | 27-37 | 25 | 20 |
引張伸び | % | 220-300 | 140 | 300-400 | |
電気特性 | 比誘電率 | - | < 2.1 | 2.1 | 2.1 |
絶縁破壊電圧 | MV/m | 20 | 16 | 14 | |
離形性 | 表面張力 | mN/m | 20 | 24 | 24 |
難燃性 | UL規格 | - | V-O | HB | HB |
※ フィルムの厚み100 μm
※ 数値は試験、製膜条件、成形機の仕様により異なるため保証できません。
TPX®銘柄別物性
特性 | 高剛性 | 中剛性 | 低剛性 | ||
---|---|---|---|---|---|
RT18 | MX004 | MX002 | |||
流動性 | MFR | g/10min | 26 | 25 | 21 |
融解特性 | DSC | ℃ | 232 | 228 | 224 |
メルトテンション | g (270℃) |
1.2 | 1.1 | 1.2 | |
機械物性 (MD/TD) |
引張弾性率 | GPa | 1.1/1.1 | 0.7/0.7 | 0.3/0.3 |
引張強度 | MPa | 23/22 | 26/23 | 25/19 | |
引張伸び | % | 140/120 | 210/250 | 410/430 | |
エルメンドルフ 引裂強度 |
N/cm | 33/195 | 230/470 | 400/770 |
※ フィルムの厚み100 μm
※ 数値は試験、製膜条件、成形機の仕様により異なるため保証できません。
※耐熱離形性など各種データ、フィルムサンプルご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
用途例ケーブル
想定用途
各種高周波ケーブルの内部絶縁体
TPX®の特徴
- 耐熱性:融点220-240℃のため高温下での使用が可能です
- 電気特性:幅広い周波数帯において低誘電特性を有しています
- 成形性:フッ素樹脂と比較し低温で成形が可能です
TPX®物性
フッ素樹脂との比較
特性 | TPX® | PTFE | ETFE | ||
---|---|---|---|---|---|
耐熱性 | 融点 | ℃ | 232 | 327 | 270 |
電気特性 | 比誘電率 | 10kHz | 2.1 | 2.1 | 2.6 |
1MHz | 2.1 | 2.1 | 2.6 | ||
10GHz | 2.1 | 2.1 | 2.6 | ||
誘電正接 | 10kHz | < 0.0003 | < 0.0003 | 0.0006 | |
1MHz | < 0.0003 | < 0.0003 | 0.0015 | ||
10GHz | 0.0008 | 0.0005 | 0.0150 |
※ 数値は試験、成型条件、成形機の仕様により異なるため保証できません。
高周波領域での電気特性
TPX® | ||
---|---|---|
比誘電率 | 19GHz(1) | 2.1 |
53GHz(2) | 2.1 | |
106GHz(2) | 2.1 | |
誘電正接 | 19GHz(1) | 0.0005 |
53GHz(2) | 0.0003 | |
106GHz(2) | 0.0002 |
測定方法:(1)円筒空洞共振器法、(2)ファブリーペロー共振器法
※ 数値は試験、成型条件、成形機の仕様により異なるため保証できません。
※難燃性改良した開発品もございます。詳細ご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。