CASE事例

  • CASE06

    ゴム改質剤

    各種ゴムの耐摩耗性・摺動性向上硬度調整も可能

ミペロン®ゴム添加剤での特性

耐摩耗性、摺動性、耐薬品性、硬度調整

採用例・評価例

ゴムロール、薬栓ゴム、ベルト、ホース

ゴム材料における課題

ゴムは古来より人間の生活を支えてきた重要なアイテムです。その特徴は、柔らかくよく伸びることで、放っておくとすぐに元の状態に戻ることで、この特性に代わる素材はないと言われています。現在では天然ゴムだけでなく、エチレンゴム、クロロプレンゴム、など様々な合成ゴムが存在し、自動車や工業用など生活のあらゆる場面で使用されています。 しかし、ゴムには強度などの優れた部分があるものの、単独で使用した場合には必要な物性に達しないケースがあります。 特に、近年のSDGsの流れの中で、耐久性や耐摩耗性等の性能の向上が求められることも増えてきています。

解決策

ミペロン®は、超高分子量ポリエチレン微粒子です。ゴム添加剤として使用することで、耐摩耗性や潤滑性を向上させることができます。ミペロン®XM220は、図1に示すように平均直径が30μmです。三井化学独自の製造技術により、他のU-PEと比較して粒子形状が球形であることが特徴です。また、下図に示すように、平均値付近の分布が狭く、均一な大きさになっています。ミペロン®は、ゴムの摩擦・摩耗を低減する添加剤として使用されている他の添加剤と比較して最も低い摩擦係数を示します。

図1:平均直径
図2:平均値付近の分布図

ミペロン®の添加例

ミペロン®はポリエチレンであるため、EPDMなどのオレフィン系ゴムとの相溶性に優れています。ミペロン®をEPDMゴムに配合するための典型的な配合プロセスとしては、100℃のEPDM混合物にカーボンブラックとプロセスオイルと共にミペロン®を10~40phrの割合で添加します。また、ミペロン®の融点は136℃であるため、ゴム-ミペロン®の配合温度は130℃以下が適しており、これより高い温度では、粒子が凝集してゴム中での分散性が悪くなることがあります。

ミペロン®の添加効果

ミペロン®とPTFEをEPDMに添加した際の耐摩耗性の違いを計測したところ、摩耗損失は、40phrのミペロン®を添加すると約 45% 減少します。摩耗損失は、ミペロン®XM220の添加量が10~40phrの間で増加するにつれて減少します。ミペロン®粒子は自己潤滑性があり、この特性が耐摩耗性の向上に寄与しています。また、ミペロン®を添加することによって密度を下げることができ、より軽量で耐摩耗性の高いゴム製品を製造することが可能です。また、引っ張り強さや圧縮影響ひずみなどの強度物性にも影響を与えません。

耐摩耗性計測値

ミペロン®の用途例

ミペロン®は、OAロールなどの工業用ロールの製造や、コンベアやオートバイのベルトの改質に使用できます。耐摩耗性を向上させ、部品の寿命や装置の信頼性を向上させたい用途に適しています。また、ミペロン®はオレフィン系の物質で、FDAやGB規格に適合しており、それは人体に無害であり、薬栓ゴムなど医療用ゴムの製造にも適しています。

まとめ

ミペロン®は、EPDMを中心としたゴムの耐摩耗性を向上させることができます。その他にも、軽量化に貢献・硬度向上・引張強度や圧縮永久ひずみに影響を与えないなど、様々な効果があります。

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