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人材マネジメント

働きやすい職場環境と成果の最大化

「三井化学グループの持続的成長」と「従業員の幸福と自己実現」を同時に、かつ高いレベルで実現することを目指した「三井化学グループ人材マネジメント方針」に基づき、働きやすい職場環境の整備と成果の最大化を目指しています。

働き方改革

三井化学では、これまで、超勤時間の削減、効率的な働き方を実現する就業制度の充実等、主にインプット(労働投入)の効率化に主眼を置いた「働き方改革フェーズⅠ」を着実に進めてきました。
一方で、世の中の変化が激しく、将来の予測が困難な、いわゆるVUCAの時代においては、個々の社員の自主・自律、組織としての協働が今まで以上に必要となります。
そこで近年は、多様な働き方を志向し、従業員エンゲージメント向上、成果値の最大化を目指す「働き方改革フェーズⅡ」に力を入れて取り組んでいます。

働き方改革

※ VUCA: Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取り、先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態を表す

テレワーク制度

当社は2019年4月にテレワーク制度を導入しましたが、テレワーク可能日数は限定的であり、利用者も少数でした。しかし、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、感染予防といった安全の観点から緊急対策としてテレワーク可能な日数の上限を時限的に廃止する措置をとり、利用者が急拡大しました。その結果、ITツールの拡充やITリテラシーの蓄積等が進み、テレワーク時に行える業務が拡大し、感染症予防といった安全衛生面だけでなく、働きやすさや成果の最大化につながる新しい働き方の点でもテレワークが浸透しました。このような状況をふまえ、2021年7月1日付で、テレワーク制度の規定を改定し、月4日以上の出社を条件にテレワーク可能な日数を大幅に広げました。本改定により、以前よりも出勤とテレワークの組合せの自由度が大きく高まったことを受け、社員・組織の成果を最大化すべく、自らの働き方をより主体的に考えるきっかけとなるよう働きかけています。
2021年12月には従業員に対してテレワーク等の働き方に関するアンケートを実施し、テレワーク利用者が、仕事以外の時間の増加や場所を気にせず会議の開催ができるといった、生活と業務両面でのメリットを感じていることや、テレワーク下でもチームマネジメントがうまく機能している等、テレワーク制度が活用されていることがわかりました。一方で、現状のデジタルツール、オフィス環境や人材育成といった面にまだ課題があることも確認されました。
2023年3月には本社を東京ミッドタウン八重洲(東京都中央区)に移転し、DX推進施策を支える高速通信設備を備える等、オフィス環境を整えています。VISION 2030に向けた新しいチャレンジを支える、社内外との良好なコミュニケーションを促進するオフィス環境の利用と、テレワークとの組み合わせにより、さらに自由度が高く多様な働き方を尊重し、次なるステージでの従業員と会社の成長をオフィス環境からもサポートしていきます。

副業従事要領制定

当社は、2021年1月に「副業従事要領」を制定し、会社への届出・許可に基づき、管理社員が副業を実施できる仕組みを整備しました。また、2022年1月から一般社員もトライアルとして同じ要領を適用し、副業を実施できるようにしています。2023年6月までの間に、60名余りの社員が当社業務と両立して副業に従事しています。従事業務の内容は、本人の専門性(経験、知見、資格など)を活かしたコンサルタント、技術指導、教育機関での講師、翻訳などです。従事者は、社外の経験を通じて視野を拡げるとともに、副業を通じて得た知見を活かし、当社業務においても積極的に貢献しています。一般社員のトライアルは2023年上期末で終了予定です。終了後は、運用上の課題等を検証の上、正式制度化に向けた検討を行います。

副業を通じ期待する効果

社外の経験

視野・知見の拡大

当社業務への貢献

服装自由化

当社は、2020年8月、出社、テレワークなど働く場所に限らず、勤務中の服装要領を明確化すること、また、ダイバーシティの観点から性別による禁止事項を設けず、共通の規定を設けること等を目的として、「本社・支店勤務者の服装要領」を改定しました。本改定では、安全性、作業性・清潔を保つこと、TPOを意識し、特に顧客や社外取引先との面会時には、社会慣行を尊重することを念頭に、社員が自ら考えて適切と判断する服装を着用することとしています。本要領により、社員の選択肢を増やす中、変化を許容し、自ら考え行動する文化のさらなる醸成を目指しています。

服装自由化

社内公募制度

従業員それぞれが主体的にキャリアを考え、選んでいく上で、会社としてその選択肢を提供することを目的に、三井化学では2004年より社内公募を導入しています。現在は主に新規事業や、成長領域での業務拡大に関連したポジションを募集対象とし、年4回、各部門からのニーズに基づき募集を行っています。2022年度は、のべ76件の公募案件に対し70名の応募がありました。また、募集時には、募集部門主催の説明会を行い、業務内容や求められる要件、積むことのできる経験などを応募者側に正確に伝えることで、マッチングの向上にも努めています。2022年度は17名が実際の異動に結びつき、自身のキャリア希望に沿ったポジションでの業務に就いています。

超過勤務削減のための取り組み

三井化学は、各月における時間外および休日労働時間の合計が80時間以上となる社員をゼロにすることを目指した活動を進め、近年、超過勤務時間80時間/月以上の社員数が大幅に減少しています。取り組みとして、超勤削減のためのスキル研修を実施しています。一般社員向けには「タイムマネジメント研修」を実施し、仕事上の習慣の見直しやスケジューリング、メール処理の具体的な方策を指導しています。管理社員向けには「組織運営ワークショップ研修」を実施し、効率的な組織運営の具体的な方策の習得と残業削減のための計画策定を指導しています。
また、通常、化学プラントは長期連続運転を行っていますが、生産への影響を最小化するとともに設備の安全を十分に確保するため、一定の限られた期間に一斉に停止して補修や点検を行う定修と呼ばれる作業を行う必要があります。この定修による特定時期への業務集中を避けるため、作業の見直し、OBや契約社員を含めた人員の強化などに取り組んだ結果、超過勤務時間80時間/月以上の社員数を大幅に減らすことができました。

超過勤務時間80時間/月以上の社員数(三井化学籍社員)

超過勤務時間80時間/月以上の社員数(三井化学籍社員)

タイムマネジメント研修の様子

タイムマネジメント研修の様子

時間外・休日労働時間の見える化

従業員の時間外・休日労働時間の見える化を目的として、管理者に部署ごとおよび自部署の個人ごとの時間外・休日労働時間の実績を毎月共有しています。各管理者は、他部署と自部署の時間外・休日労働時間の比較や、自部署内で特定の個人に業務が集中していないか等の確認を実施することで、より働きやすい環境づくりに向けた改善に役立てています。毎月の超過勤務時間が80時間を超える社員が発生した場合、人事部門が対象者の管理者にヒアリングを行い、一人ひとりの社員について原因の究明と改善に向けた具体的な対策を検討・実行しています。

ワーク・ライフ・バランスを考慮した施策

三井化学は、育児や介護といったライフイベントに対応する休暇や休業、勤務時間、収入面の配慮について法定以上の制度を整備し、その周知を図ってきました。

テレワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方を支援する制度をはじめ、失効した年次有給休暇(特別休暇)を入院だけでなく通院などの治療でも取得できるように制度の改定を行い、治療と就労の両立をより強力にサポートしています。制度、施策の一覧はこちらをご覧ください。

主な制度・施策(三井化学)

年次有給休暇入社2年目から年間20日、半日単位で取得できる。
リフレッシュ休暇有給。年間、連続する2日取得できる。
特別休暇有給。失効した年次有給休暇を積み立てて(上限60日)、傷病・介護・育児・社会活動の事由で3日以上勤務できない場合に取得できる。病気治療や不妊治療には半日単位で取得可能。
フレックスタイム制度コアタイムなし。労働時間を1日単位ではなく、1ヵ月単位で管理する。
テレワーク制度育児、介護などの事由を問わず、月4日以上の出社を要件として利用できる。
副業の解禁副業を実施したい社員が、会社の了解を得て副業に取り組めるよう、副業を認める条件、副業時の取り扱いを整備。
社会活動休暇有給。年間2日まで取得できる。
配偶者海外転勤時休職3年を限度に休職することができる。
育児休業最長で4年間取得可能。最初の5日間を有給※1とし、男性社員の取得を奨励している。
短時間勤務措置(育児)小学校6年生までの子どもの育児のために1日3時間を限度に取得できる。
会社託児所の設置市原工場・袖ケ浦センターの近隣に2009年開設。
看護休暇有給。親族※2に看護等が必要なとき、年間20日まで取得できる。
介護休業

要介護状態または要支援状態にある親族※2の介護のために、対象親族1名につき1年まで取得できる。

介護休暇有給。要介護状態または要支援状態である親族※2の介護のために年間20日まで取得できる。
短時間勤務措置(介護)親族※2の介護のために1日3時間を限度に取得可能。同一事由について1年まで。

※1 以降の休業期間については、最長2歳になるまで、三井化学共済会、雇用保険より賃金の約60~70%が給付

※2 配偶者、父母、子、祖父母、配偶者の父母・祖父母、兄弟姉妹・孫・配偶者の兄弟姉妹

その他の制度の利用状況についてはこちらをご覧ください。

育児への参画支援

三井化学グループでは持続可能な社会の実現を目指して、働き方改革だけでなく、育児に特化した支援を行うことで、育児を行いながら働くことの支援を強化しています。

育児休業からの職場復帰支援プログラム

当社は、子育て中の社員が、出産・育児休業からスムーズに職場に復帰し、高いモチベーションを保って働ける環境を整えるべく、「職場復帰支援プログラム」を制度化し、産前休業前、育児休業中、育児休業復職後の各時期に実施する支援内容を明確にしました。休業前には、本人・上司による二者面談を行い、業務の引き継ぎ、休業中の連絡手段、各種手続き等について確認します。復帰前にも、上司との面談を実施し、復職後の働き方のイメージ、職場の受入れ体制や担当業務内容について共有し、お互いに理解を深めます。また、復職後は各種制度の手続き等について説明と支援を行っています。このように、出産・育児にともなう休業および復帰に対する不安から離職を選択することなく、キャリアを継続できるよう支援を行っています。

育児休業取得率(三井化学籍社員)

育児休業からの復職率(三井化学籍社員)

 2019年度2020年度2021年度2022年度
男性100%100%100%100%
女性100%100%100%100%
合計100%100%100%100%

育児休業から復帰3年後の定着率(三井化学籍社員)

 2019年度2020年度2021年度2022年度
男性83%99%93%97%
女性93%94%76%82%
合計86%98%90%95%

男性の育児参画推進

当社は男性の育児参画を推進しており、育児休業の最初の5日間を有給とすることで男性社員の取得を促しています。男性の育児休業については配偶者の妊娠を人事部に申請してもらい、人事部から上司宛に対象男性社員との面談を依頼し、上司が育児休業の取得の意思の確認、制度の説明をします。その際に法律でも禁止されている、取得を控えさせるような形での意向確認を行わないよう、徹底しています。育児休業の取得やその期間について迷っている男性社員には、人事部の担当者が面談し取得時期や取得可能な回数など育児休業の取り方の工夫を伝えたり、上司との間に入り調整をしたりすることで取得を促しています。また、育児に関する社内制度やその具体的な活用方法などを掲載したガイドブックを作成し、育児休業以外にも、年次有給休暇やフレックス、短時間勤務、有給の介護・看護休暇など育児に使える制度を紹介しています。さらに、経営陣からのメッセージや、育児中の男性社員やその上司のインタビュー記事を掲載し、男性も積極的に育児に関わることを推奨しています。2022年度は、部長層に対し男性の育休取得が推奨される社会的背景や育児介護休業法の改訂、社内制度などについて説明する機会を設け、部署内での周知を依頼しました。2023年度は全ライン長を対象にした研修を計画しています。

パパのための育児ガイドブック

介護と仕事の両立

当社では、介護をしながら働く社員のサポートを行っています。介護をする社員の離職を防ぐため、「公的制度や社内制度を使って介護をマネジメントする」という考え方を周知する目的で、毎年、介護と仕事の両立をテーマにしたオンラインセミナーを開催しています。しかし、いつ来るかわからない介護は当事者意識がわきにくいため、セミナーへの参加者が限定される傾向にあります。そこで、2021年度からアウトリーチ策として社内ポータル掲示板に介護に役立つ情報を四半期毎に投稿しています。投稿には社内外情報へのリンクを貼り付け、必要な詳細情報に簡単にアクセスできるよう工夫しています。また、バックナンバーをポータルにまとめて掲載し、急な介護が始まった社員に必要な情報を素早く伝えることにも役立っています。これまでに取り扱ったテーマは「介護休暇と介護休業の違い」「介護保険認定制度」「認知症介護」「親子のコミュニケーション」「専門職との連携」などです。テーマに関係する信頼できる外部のYouTube動画を紹介し、介護に必要な知識を深められるようにしています。

2022年実施イベント「仕事と介護の両立ワークショップ」

2022年実施イベント「仕事と介護の両立ワークショップ」

(左)ケアポット(株) 高橋 佳子氏、(右)ケアマネージャー 佐賀 唯衣子氏

育児介護休業者の評価取り扱い

三井化学は、昇給・賞与等の処遇および昇格において、育児・介護休業を理由に不利とならない仕組みを運用しています。育児・介護事由の休業者は、評価対象期間の出勤率が一定基準以上の場合、出勤期間中の目標達成度・行動で公平に評価します。一定基準の出勤率に満たない場合も、評価や昇格に不利益とならないよう無評価(No Rating)扱いとしています。

有給休暇の取得率向上

三井化学は、年次有給休暇(20日)の取得率向上を目指しています。社員の健康維持や心身のリフレッシュに向けて、以下の施策を通じて休暇の取得が促進されるよう取り組んでいます。

働き方改革推進関係の施策

  • 長期休暇、連続休暇の計画的取得推奨
  • 休日に挟まれた出勤日等を有給休暇取得サポート日に設定し、休暇の取得を推奨
  • 職場別有給休暇取得率の集計と通知・指導
  • 特定個人への業務集中の見直し
  • 職場内のスケジュール共有化

有給休暇取得率(三井化学籍社員)

 2019年度2020年度2021年度2022年度
一般社員86%77%84%88%
管理社員70%60%63%64%
合計79%70%75%77%

率直な対話と相互理解に基づく労使関係

三井化学は、労働協約において「企業グループ理念の実現」と「社員の幸福と自己実現」をともに達成することを労使共通の目標と定め、建設的かつ安定した労使関係の構築に努めています。経営課題の共有と意見交換、生産性向上、従業員のワーク・ライフ・バランスの向上といったテーマについて、労使間で率直な議論を行う場を重ね、社員一人ひとりが生きがい・働きがいを持つための基盤づくりを推進しています。なお、転居・転勤をともなう異動にあたっては、原則として1ヵ月前までに本人に通知を行うルールを採用しています。

定例的な労使のコミュニケーション

  • 経営に関する懇談会
  • 個別テーマ毎の懇談会
  • 事業所労使懇談会
  • 労使協議会
  • 労使交渉
  • 事業所労使協議会
  • 事業所労使交渉
  • 労使合同による調査・研究等の会合

主な労使協議テーマ(2022年度)

  • 賃金増額改定
  • 賞与金額と配分
  • 経営状況説明
  • 育児・介護休業法の改正に伴う人事制度改定
  • 単身赴任帰宅旅費改定
  • 2023年4月付 資格・評価・報酬制度改定(総合職)

当社はユニオンショップ制を採用しているため、労使で合意した労働協約において「労働組合への加入が認められている従業員」は全員労働組合に加入しています。当社労働組合はすべての一般社員を代表しており、また、労使間の交渉結果はすべての一般社員に無条件に適用されます。なお、管理社員などマネジメントレベル以上の社員は労使合意により加入が認められていません。
海外拠点においては、それぞれの労働関連法制と従業員の自由な意思に基づき労働組合を結成できるよう運営しており、これを制限する行為は一切行っていません。
また、適正な労働条件の確保、人材開発、安全・環境、労働衛生・健康増進および品質管理の向上、差別やハラスメントを含めた懲戒等重要な事項については、労働協約にて定め、労使で確認をしています。