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人材マネジメント

評価・報酬

適正な評価に沿った処遇は、社員のモチベーションを高め、優秀な人材の獲得・育成・リテンション、そして三井化学グループの発展に大きく関連する重要な制度であると考えています。

業績評価・報酬の基本的な考え方

三井化学では、予め設定した職務目標の達成度と行動によって業績評価を行い、その結果が報酬に反映されます。
職務目標設定は、経営ビジョンに基づく経営計画を、各職場に展開し職場方針に落とし込み、さらに重点課題を、各人の担当職務の目標に反映させることで、各人の目標達成が全社の目標達成につながることを認識できる仕組みとしています。また、すべての階層の従業員において、年に1回、上司が目標設定面談を行うことを制度化しています。
目標設定面談では、単年度の職務目標や強化・育成したい行動を共有します。また、本人の申し出があった場合は、短期的(3年以内)・長期的に経験したい業務や習得したいスキルについて確認する「キャリア対話」を、期中に本上司と行っています。これにより、従業員は主体的に自身のキャリアを考え、上司は部下のキャリア観や強み・弱み、今後の目標に対する理解を深めます。
業績評価についても、評価結果のフィードバック面談を年に1回行います。この面談で、上司が職務目標の達成度評価および行動評価の結果を理由とともに、各人の特性を踏まえて長所や改善点を共有し、適切な支援を行うことにより、従業員の育成を図っています。行動評価については、グローバル・コアコンピテンシー評価を導入し、行動指針およびコア・バリューに定める行動をとっているか、具体的事実に基づき本人が自らの行動を振り返った上で、上司が部下の行動評価、フィードバックを行います。これにより、行動指針およびコア・バリューの浸透・定着を目指しています。

当社では、これらの目標設定から業績評価までの流れをタレントマネジメントシステム(Workday)で管理し、人材マネジメントの精度と効率の向上を図っています。システムを用いて、目標および達成状況を常時アップデートし、過去情報を参照することにより、各人に対し、効果的な目標管理や一貫した能力開発を行っています。
なお、三井化学労働組合は、組合員のフィードバック面談実施率やフィードバックに対する納得度を調査しています。調査結果は労使で共有し、評価制度の適正運営に努めています。

業績評価・報酬の基本的な考え方

VISION 2030に連動した人事制度改定

VISON 2030の実現に向け、従業員のエンゲージメント向上や成長・積極的なチャレンジをさらに促すべく、2022年4月に人事制度を改定しました。改定にあたっては、エンゲージメント調査結果を活用し、目標設定や評価など個人業績管理の仕組みの改定と、評価の透明性・具体性の向上を図りました。
具体的には目標設定において、VISION 2030よりバックキャストした変革目標を役員および部長が率先して設定し、協働を目的に部下へ公開することを定めました。また、失敗を恐れず、一段高い目標に対して粘り強く挑戦することを促すため、達成時は加点評価としました。変革目標は上位職者から段階的に導入し、今後、対象者を課長以下に広げていく計画です。
また、評価について、これまで評価区分ごとに一律だった賞与額の配分を、それぞれのパフォーマンスに応じてきめ細かく調整できる仕組みとし、個々の貢献により直接報いる内容としています。賞与は、個人業績に加えて連結コア営業利益額に連動して支給額を決める算定方法としていますが、VISION 2030の業績目標を目指す上で、さらなる動機づけとなるよう、高い営業利益の際にはさらに支給額が増える制度に見直しています。
また、行動評価のベースとしてきたグローバル・コンピテンシーの見直しも行いました。VISION 2030実現に向けて必要な要素と議論されてきた「チャレンジ促進」、「実行力強化」、「コミットメント強化」、「社内外連携の促進」を反映しています。さらに、従来行動評価軸のひとつにあげていた「多様性(Diversity)の理解」に、公平(Equity)、包摂(Inclusion)の視点を加えた内容に改定しました。イノベーションを創出しVISION 2030の実現を目指す上で、単に「多様性」を理解するだけでなく、公平に発言や行動の機会を提供すること、個性豊かな他者を活かすことで、新たな発想や成果に結びつけることを促すことが目的です。また、職務グレードごとに求められる具体的な行動やレベルを、新たに「リーダーシップコンピテンシー」として定義し、評価することで、VISION 2030の実現に向けた行動を促進しています。

法定賃金の遵守、魅力的かつ競争力のある報酬水準の設定

三井化学グループは、事業のグローバル化が進展する中、従業員の報酬について、まず当然の事として各国・地域の法律を遵守し、法定の最低賃金支給、所定労働時間または法定労働時間を超えた労働に対する代休付与または割増賃金支給などを行っています。その上で、各国・地域の労働市場において、魅力的かつ競争力のある報酬水準・体系になるよう整備しています。報酬水準は、人材獲得競争下、市場における当社業績のポジショニングに応じた設定とすることを基本的な考え方としており、行政機関等による各種賃金統計や外部調査機関の報酬データベース等を活用し、定期的に見直しています。
2022年度は、上記の考え方を前提に、三井化学の一般社員の報酬水準を見直し、4月および7月にベースアップを行いました。また、2023年度は6月に役員の報酬制度を改定し、7月に一般社員および管理社員のベースアップを行いました。
その他、年齢・年功要素を極力排除し業績成果を反映した公平公正な制度運用を行い、これら給与・賞与および評価・昇給などの体系を社則やハンドブックなどで従業員に公開しています。
また、2023年度は人権ワーキンググループの重要な検討テーマの一つとして、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を実現する上で重要な、生活賃金(従業員とその家族のために適切な生活水準を維持するのに十分な報酬が支払われているか)を取り上げています。

グループ・グローバルでの評価と報酬の明確化

三井化学グループは国を超えてグループ横断的に優秀な人材の獲得・育成・リテンションをしていくにあたり、「グループ・グローバル評価ガイドライン」と「ポジションマネジメントに関するグローバル・ポリシー」を展開し、グループ内で共通化した評価指標の広範かつ公正な適用とポジションの可視化、報酬プロセスの明確化を進めています。

グループ・グローバル評価ガイドライン

評価の仕組みや考え方、設計等を整理した「グループ・グローバル評価ガイドライン」を2016年に策定し、全グループ会社に配布しました。本ガイドラインはMBO(目標管理)とグローバル・コアコンピテンシーの二軸で構成されており、これに基づいて地域統括会社(米州、欧州、アジア太平洋、中国の四地域をそれぞれ統括)の人事部門が、域内企業の評価制度構築・変更・運用を支援しています。
とりわけグローバル・コアコンピテンシーは、当社グループの人材開発における共通指標として採用しており、各層ライン長のリーダーシップ開発研修にともない実施する「360度フィードバック評価」も本コンピテンシーに基づいています。

グローバルポジションマネジメント

当社は2004年以降、管理社員を対象に職務記述書を策定し、各ポジションの職務の大きさに応じ処遇する職務評価制度を導入していますが、グローバルでの拡大にともない、長期経営計画と整合した組織および職務を適切にグループ全体で設計していく必要があるため、2020年度に「ポジションマネジメントに関するグローバル・ポリシー」を当社グループに展開しました。現在、当社グループには約18,000のポジションが存在し、そのうち海外ベースのポジション割合は約40%となっています。それら国内外のポジションについて、当該ポリシーによりグループ内におけるポジションの新設や廃止に関する基本的な理念や仕組み、決裁権限およびプロセスを明確にしました。この展開にともない、新たにグローバルグレードも導入し、標準化された職務評価基準に基づいたグループ内ポジションの可視化を進めています。

関係会社役員任免・報酬ポリシー

2021年度に、三井化学グループ会社の役員人事ガバナンスに関するグローバル・ポリシーを展開しました。本ポリシーにて、120を超える、国内外連結対象関係会社における①役員の任免、②報酬水準・構成の考え方、③報酬の決定プロセスを明確化しています。当社グループは、本グループ共通のポリシーに基づき、任免プロセスの透明化、およびグループ全体の業績と連動した適切な報酬の決定を実現し、グループ全体で一体的な役員報酬マネジメントを実行していきます。