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廃プラとは?廃プラスチックが抱える課題と課題解決のための取り組みをわかりやすく解説

廃プラスチック問題は、地球温暖化や海洋汚染など多くの課題を抱えています。そのため、近年では国や企業がさまざまな取り組みを始めるようになりました。今回は廃プラについて、あらためてその概要や課題、現時点での廃プラへの取り組みについてお伝えします。

日々の生活で大量に消費されるプラスチック製品が廃棄焼却・分解されることで二酸化炭素が発生し、地球温暖化に大きな影響を与えています。また、不法に投棄されたプラスチックごみが海洋にまでたどり着けば海洋プラごみとなり、それに伴う生物多様性への影響も懸念されます。そのため、近年ではプラスチックの使用量削減を目指し、国や企業がさまざまな取り組みを始めるようになりました。そこで、今回はサーキュラーエコノミーの視点で欠かせない廃プラについて、あらためてその概要や課題、現時点での廃プラへの取り組みについてお伝えします。

廃プラとは?

廃プラとは、廃プラスチックの略称です。主に「一般廃プラスチック」と「産業廃プラスチック」の2つに分けられます。具体的には次のようなものが挙げられます。

  • 一般廃プラスチック

私たちの身の回りにあり、日常的に利用しているプラスチック製品のごみで、一般家庭から排出されるものを指します。コンビニやスーパーで販売されているレジ袋、お弁当や生鮮食品の容器、ペットボトルなどが挙げられます。

  • 産業廃プラスチック

日々の企業活動や事業活動から排出されるプラスチックごみを指します。具体的には、プラスチック製品を製造・加工、使用・流通させる過程において排出されるプラスチックのごみです。

廃プラの分類・処分方法

一般廃プラの分類は、大きく「資源ごみ」「可燃ごみ」「不燃ごみ」の3つです。自治体によっても異なりますが、おおまかには次のように分類されます。

  • 資源ごみ

ペットボトルや卵パック、弁当容器、洗剤・ケチャップなどのボトル・チューブ類、レジ袋など、回収して再度プラスチック製品の原材料として再生利用できるごみです。自治体によっては容器包装プラや商品プラとして回収されています。ペットボトルは分かりやすいですが、容器包装プラには「プラマーク」が付いています。

再生利用の方法には、廃プラをプラスチック製品の原料として再利用する「マテリアルリサイクル」、廃プラを化学的に分解して化学製品の原料として再利用する「ケミカルリサイクル」、廃プラを固形燃料にする、もしくは焼却して熱エネルギーとして再利用する「サーマルリサイクル」があります。

  • 可燃ごみ

洗っても汚れが取れないなど、プラスチック製品の原材料として再生利用できないため焼却処理されるごみです。自治体の焼却炉の性能が良ければ高温で焼却処理できるため、塩素成分を含む塩ビのようなプラスチックを燃やしても有害物質はほとんど出ません。そのため、多くの自治体で焼却処理が採用されています。

  • 不燃ごみ

焼却せずに破砕され、埋立処理されるごみです。

なお、可燃ごみや不燃ごみとして出せる大きさや量には、自治体ごとに制限があります。

廃プラが抱えている課題

廃プラが抱えている課題のなかでも大きなものとして、国内でのリサイクル処理能力が足りていない点があります。もともとは中国が世界中からプラスチックごみを買い取っていたのですが、2017年末、環境問題を理由に生活由来の一般廃プラスチックの輸入を禁止しました。その後、東南アジアや台湾も輸入規制を進めたため、国内で処理をせざるを得なくなったのです。

日本は2017年の時点では、廃プラの輸出量が143万トンで世界第3位でした。その後、日本の主な輸出国であった中国や東南アジア、台湾などが輸入禁止や規制を進めたことで、輸出量は2020年には82万トンにまで減少しています。しかし、輸出量の減少に対し、日本の廃プラの総排出量は2017年から大きくは変わっていません。一般社団法人プラスチック循環利用協会によると、2021年の廃プラの総排出量は824万トンです。リサイクルを含めた有効利用率は年々増加し、今では87%に達していますが、サーマルリサイクルが63%と多く、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルは合わせて25%とまだまだ低いレベルにあります。

そのため、廃プラの排出量削減とともに、廃プラのリサイクル等有効利用への取り組みが急務になっているのです。

※世界的な課題とされている海洋プラごみ問題については「海洋プラごみ問題を考える」をご覧ください。

廃プラに対する取り組み

現在、国内では廃プラに対するさまざまな取り組みが実施されています。ここでは、そのなかでもマテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)とケミカルリサイクルについて、企業の取り組み事例を見てみましょう。

マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)への取り組み

株式会社ファミリーマートでは、202110月から一部の店舗で有料レジ袋の収益を使い、海洋プラごみから再生した買い物かごを導入しました。この取り組みを店舗内でポスター掲示することで、海洋プラごみのリサイクル推進と同時に、消費者に対する海洋ごみ問題への啓発活動にもつながっています。

ケミカルリサイクルへの取り組み

廃プラの代表的なリサイクル方法としてマテリアルリサイクルがありますが、異素材や複合素材が混合することも多く、リサイクルは難しいという課題がありました。また、品質が低下するマテリアルリサイクルでは、使える用途に限界があることも課題のひとつです。

そうした課題への対応として三井化学では、「RePLAYERⓇ」というリサイクルを推進する取り組みのもと、「ケミカルリサイクル」を進めています。ケミカルリサイクルを行うことで、廃プラをプラスチックの大元の原料となるナフサに近い性状に再資源化し、プラスチック製造の原料とする取り組みをスタートさせています。

※ケミカルリサイクルについて詳しくは、「廃プラ分解油によるケミカルリサイクル製品の製造・マーケティング開始」をご覧ください。

三井化学はサーキュラーエコノミー実現のために廃プラのリサイクルに取り組んでいます

年々増加する廃プラの削減を目指し、日本をはじめとした世界中で多くの取り組みが実施されていますが、現状では廃プラの増加に追い付かず、多くの課題が残されています。しかし、鉄のようにさびることなく、木のように腐ることもない、紙と異なり耐水性を持つプラスチックの便利さに慣れてしまった今、急にプラスチックを削減するのは簡単ではありません。

そこで重要となるのが、廃プラのリサイクルです。廃プラを再度資源として利用することで、焼却や埋立廃棄され有効活用されていない廃プラを削減できるだけでなく、枯渇性資源である石油の使用量削減、二酸化炭素の排出量削減にも貢献します。結果として、地球環境問題の解決にもつながるでしょう。

三井化学では、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを始めており、「BePLAYERⓇ」「RePLAYERⓇ」を立ち上げて、持続可能な社会に向けて行動しています。そのなかでもリサイクルを推進する取り組みである「RePLAYERⓇ」では、廃プラ問題解決に向けたリサイクルを行っています。マテリアルリサイクルの取り組みに加え、廃プラを化学的・熱的に分解して再度プラスチックとして利用できるケミカルリサイクルは、廃プラ問題解決に効果的です。

プラスチック削減や循環型社会への対応をご検討されているご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

持続可能な社会に向けて行動する「BePLAYERⓇ」「RePLAYERⓇ」はこちら

参考資料
*1:7月1日から全国一律にレジ袋の有料化がスタートしました|北九州市:
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/kankyou/01100134.html

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