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プラスチックのリサイクルが必要な理由とリサイクルの課題解決のポイントを解説

作成者: 三井化学|Nov 29, 2023 6:50:58 AM

かつてはガラス製が一般的であった酒、調味料などの容器も多くがプラスチック製に置き換わっています。ほかにもペットボトル、収納用品、家具、雑貨、衣類など、私たちの生活のあらゆる場所でプラスチック製品が使われています。このようにプラスチックは利便性が高く、世界中で幅広く使用されています。そのため、製造過程で排出されるCO2排出量の削減や、世界的に増加している廃プラスチックの処理に関する課題が生じていることも事実です。こうした課題解決のためにリサイクルも進んでいますが、リサイクルだけですべて解決できるのでしょうか。今回は、プラスチックのリサイクルが必要な理由に加え、その方法や具体例を見たうえで、リサイクルが抱える課題と解決のポイントについてお伝えします。

プラスチックをリサイクルする理由

一般社団法人 プラスチック循環利用協会によると、廃棄されたプラスチックの有効利用率(リサイクル率)は年々上昇しています。また、単純焼却処理や埋立処分による未利用の廃プラスチック量は減少しており、リサイクルを推進する動きが加速しています。なぜこのような傾向が見られているのか、その背景を探っていきましょう。

参照:2021年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況|一般社団法人 プラスチック循環利用協会

  • ごみの削減につながる

廃棄されたプラスチックをリサイクルすることでごみの量を減らすことができます。また、上述した資料では、2021年に廃棄されたプラスチックの総排出量は824万トンに達していますが、これをリサイクルせずにそのまま廃棄し続けると、廃棄物の最終処分場では対応しきれなくなってしまいます。

環境省によると、2019年度末時点での一般廃棄物の最終処分場の残余年数は全国平均で21.4年、産業廃棄物の最終処分場では同17.4年とされています。最終処分場の延命化・確保のためにも、廃棄物や不用品のリサイクルを進展させることで、埋立などの最終処分量(未利用量)をさらに削減していくことが重要になっています。

参照:令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第2部第3章第1節 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状 |環境省

  • 枯渇性資源の節約につながる

プラスチックの原材料は枯渇性資源(人間などの利用速度以上には補給されない天然資源)である石油由来のものであり、これまでと同じサイクルで製造と廃棄を繰り返していれば、石油由来の原材料はいつかなくなってしまいます。

一般社団法人 プラスチック循環利用協会の資料によると、石油の全使用量に占める石油化学基礎製品用途は6.4%、またプラスチック用途では2.6%という水準です。割合が高いとは言えないかもしれませんが、私たちの快適な暮らしを持続可能なものにしていくために、廃プラスチックのリサイクルなどで石油由来原料の使用を抑えることは重要です。また、ごみの燃焼時に発生するCO2の排出量も減らすことができるため、これからの社会にとってリサイクルは必要不可欠な取り組みだと言えます。

参考:プラスチックとリサイクル 8つの「はてな ?」|一般社団法人 プラスチック循環利用協会

  • サーキュラーエコノミーの実現につながる

現在、CO2排出量の削減や枯渇性資源の節約などのため、従来の「生産⇒消費⇒廃棄」を直線的に繰り返すリニアエコノミー(直線型経済)から、「生産⇒消費⇒リサイクル⇒再生原料⇒生産…」といったサイクルを循環させるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への転換が世界的に進められています。そのなかで、リサイクルは廃棄物を新たな資源として有効利用し、次の生産で必要となる再生原料を生み出す重要な役割を担っています。

 

プラスチックのリサイクルについては、こちらもあわせてご覧ください。

廃プラとは?廃プラスチックが抱える課題と課題解決のための取り組みをわかりやすく解説」「廃プラスチックのリサイクルはなぜ必要なのか?その理由やリサイクル方法、課題を解説

プラスチックをリサイクルする方法

プラスチックのリサイクルには、「マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)」、「ケミカルリサイクル」、「サーマルリサイクル」といった3つの方法があります。

マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)

マテリアルリサイクルとは、廃プラスチックを物理的処理によりそのまま再生原料にして新しい製品を生み出す方法です。例えば、回収したペットボトルのラベルを剥がして洗浄したあと、細かく砕いて再生フレークという原料にし、その再生フレークから再びペットボトルやポリエステル繊維などのほかのプラスチック製品を作る方法です。

 

マテリアルリサイクルについて、詳しくは「マテリアルリサイクルとは?具体例や現状の課題、これからのリサイクルについて解説」をご覧ください。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学的に分解することで分解油や合成ガス、モノマーといった化学原料に戻し、再利用可能な物質にリサイクルする手法です。高炉で還元剤として再利用する「高炉原料化」、製鉄所のコークス炉で再利用する「コークス炉化学原料化」、ガスにして化学工業で原料として再利用する「ガス化」、油に戻して再利用する「油化」などがあります。

ケミカルリサイクルについて、詳しくは「ケミカルリサイクルとは?メリットや課題について解説」をご覧ください。

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルとは、エネルギー回収、エネルギーリカバリーとも言われ、収集した廃プラスチックを焼却した際に発生した熱を回収し、エネルギーとして再利用することです。具体的には、ごみ焼却施設での発電・熱利用、セメント原・燃料化、固形燃料化(RPFRDF)などが挙げられます。

サーマルリサイクルについて、詳しくは「サーマルリサイクルとは?メリットや課題、持続可能な社会に向けて新たな取り組みを解説」をご覧ください。

プラスチックリサイクルの課題とこれから

プラスチックのリサイクル率は年々増加しているものの、まだ鉄やアルミの水準には達していません。鉄やアルミの代表的な製品であるスチール缶・アルミ缶のリサイクル率は2020年度時点で共に94%だったのに対し、プラスチックのなかで最もリサイクルが進んでいるペットボトルのリサイクル率は2020年度時点で88%と非常に高いものの、プラスチック全体で見ると25%程度となっています

全てのプラスチックのリサイクル率が低いわけではありませんが、鉄やアルミに比べると、リサイクル方法が複雑で手間がかかります。また、鉄やアルミよりも歴史的に新しい素材であるため、リサイクルの歴史も浅く、単一製品で強力なリサイクルシステムが構築されているペットボトルを除けば、リサイクルの手法ごとに課題があるのも事実です。

資源のリサイクルについては「持続可能な社会について知る・学ぶ 」もご覧ください。

こうしたなかで、サーキュラーエコノミーの実現に加え、温暖化ガスの排出量削減などの社会課題を解決していくためには、リサイクル以外の方法も組み合わせていかなければなりません。例えば、石油由来原料よりもライフサイクルにおけるCO2排出量を削減することができるバイオマス原料の活用のように、さまざまな施策を多角的に講じていく必要があります。

三井化学はサーキュラーエコノミーとカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めています

さまざまな社会課題が複雑に絡み合う現在、三井化学は持続可能な社会の実現に向けて〝世界を素から変えていく〟ことを目指しています。そのなかで、廃プラスチックなどの廃棄物を資源と捉え再利用していく「RePLAYER®」、温暖化問題の解決のために社会のバイオマス化を推進する「BePLAYER®」という2つのブランドを展開し、再生原料やバイオマス原料の活用など〝素材の素材〟まで追求した新たな提案を行っています。

三井化学では「RePLAYER®」でサーキュラーエコノミーを、「BePLAYER®」でカーボンニュートラルを目指し、リジェネラティブなライフスタイルにつなげていきたいと考えています。

脱炭素や循環型社会への対応を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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