風景の資産
瀬木監督コメント
撮影からひと月後の2020年5月に炭鉱電車は運転を停止し、7月には豪雨により甚大な被害に見舞われました。にもかかわらず、僕は淡々と映像の仕上げ作業を進めました。
目の前のモニターには生きた炭鉱電車が映っているから。そう、道山れいん氏の詩の一節にあるように、僕の中ではずっと炭鉱電車が走っていました。
朝にはじまり夜に終わる二本の映像作品『紅い恋人』『炭鉱電車の一日』は、消えゆく炭鉱電車の葬送曲ではなく、夜が明ければまた新しい朝を迎えるという大牟田の日常の風景です。
願わくは、炭鉱電車にも新しい朝が来ることを期待しています。