CASE事例

  • CASE02

    エンプラ改質剤(PTFE代替)

    エンプラの基材物性を落とさず、耐摩耗性・摺動性を改善

リュブマー®エンプラ改質剤での特性

耐摩耗性、摺動性、静音性、樹脂の機械物性の維持

採用例・評価例

車載部品、昇降機機械部品、ケーブル部品、電子機器摺動部品

エンジニアリングプラスチックスにおける現行剤の課題

エンジニアリングプラスチックは金属部品の代わりに使用されるケースが増えています。 しかし、プラスチックを可動部に使用する場合は摺動性と耐摩耗性が課題になることがあります。そのため、樹脂に添加剤を付与することで問題を解決することが多くあります。 一般的にはPTFEを使用するケースが多いものの、最近では欧州を中心にPTFE製造に使用されるPFOA及びその代替物質の規制が進んでおり、代替品が必要になっていくことが考えられます。

解決策

超高分子量PEは、分子量が非常に高く現在製造されている熱可塑性プラスチックの中では最も高い衝撃強度を誇ります。 また、超高分子量PEは低摩擦・耐摩耗性が高く、耐薬品性も非常に高いという特徴があります。その中でも、リュブマー®LY1040は、 エンジニアリングプラスチックの摺動改質材としてポリアミド(PA6)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、 ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの材料に使用することができます。 下図は各種のエンプラ樹脂にリュブマー®とPTFEをそれぞれ添加した際の摩擦係数及び比摩耗量を測定したものになります。添加量が増えることで、摩擦係数と比摩耗量を下げることができます。

リュブマー®を添加した際の摩擦係数及び比摩耗量の測定値
リュブマー®を添加した際の摩擦係数及び比摩耗量の測定値

他の添加剤と比較した際の摺動改質効果

実際に、LY1040・PTFE・二硫化モリブデンをPA6樹脂に添加した際に摩擦係数と比摩耗量を測定しました。 PA6ペレットとLY1040のペレットを240℃シリンダー温度で二軸押出機でペレタイズし、各種プラスチックを射出成形で試験片にし、S45C鋼を相手材としてリング摩耗試験を実施しました。 左下が摩擦係数、右下図が比摩耗量を示しています。この図からも分かるように、少量の添加でも基材単体・あるいはPTFEや二硫化モリブデンを添加した際と比べて、摺動性・耐摩耗性を大きく向上させることができます。

摩擦係数測定値
摩擦係数
比摩耗量測定値〜
比摩耗量測定値

実際に添付がリング摩耗試験後の試験片になりますが、リュブマー添加品の方が削れていないことが試験片からも見て取れます。

試験片

リュブマー®LY1040添加による静音性効果

また、リュブマー®LY1040を添加することにより摺動性が向上することから静音性を向上させることも可能です。図はギア同士を下記の条件でこすり合わせたときに発生するデシベル値を測定したものです。御覧の通り、LY1040を添加することでデシベル値が3dB低下します。また、PTFEと比較しても、低いデシベル値となっています。この効果は、EV化が進み静音性が今まで以上に求められる自動車用途の摺動部品などで非常に有効な特性になります。

静穏性測定値

実際の使用用途

リュブマー®LY1040は、自動車・電子機器・建築材料・家電製品の部品など、幅広い用途で摩擦低減添加剤として有効です。また、プラスチックの可動部品を含む様々なデバイスでノイズのない動作を実現することができます。具体的な用途としては、フィルム現像加工機のベアリング・自動販売機用のベアリング・空気清浄機のギアパーツ・自動車部品などです。また、リュブマー®は密度が1g/㎤以下であり、代表的な添加材であるPTFEと比較しても1/2以下の比重になり、耐久性を高めた軽量部品への使用に最適です。

まとめ

リュブマー®LY1040は添加剤として使用した場合、少ない添加量でもPTFEや二硫化モリブデンよりも優れた滑り性を示します。 また、PA6や他の多くの材料の耐摩耗性が大幅に向上させることができます。 そうしたことから、PFASフリーのエンプラ改質剤として非常に優れた製品です。

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