CASE事例

  • CASE08

    焼結フィルタ

    高精度濾過を実現する焼結フィルタ材料

ミペロン®焼結フィルタの特性

10μ以下の細孔径、狭細孔径分布、高い耐薬品性、高い靭性(割れにくい)

採用例・評価例

医療・検査用フィルタ、実験用フィルタ、工業・プラント向フィルタ、など

フィルタ材料における課題

ろ過は、液体中の浮遊粒子やウイルスなどを漉しとるために行われます。ろ過が行われる業界も、水処理、食品・飲料、医療、自動車、鉱業、金属加工など、様々です。

ろ過においては、丈夫で腐食せず、毒性がなく、安全で耐久性のあるフィルタが求められます。またフィルタの孔径もフィルタが液体から汚染物質をどれだけ効率的に除去できるかを決定する重要な要素です。

フィルタにも種類がありますが、その一種として、焼結によって製造される焼結フィルタがあります。焼結フィルタは、金属や樹脂のパウダーを型の中で焼き固めることで製造されるフィルタのことです。金属焼結フィルタは強度が高いものの、耐薬品性が劣ります。一方で、樹脂焼結フィルタは、現在、HDPE、PTFE、PP、U-PEなどが使われていますが、粒子形状が不規則で、粒度分布が広いため、孔径を一定にすることが非常に困難です。

解決策

ミペロン®は、真球・狭粒度分布を誇る超高分子量ポリエチレン微粒子です。ミペロンを使用することで、孔径が小さく、高強度、高濾過性、耐薬品性に優れた焼結フィルタを製造できます。

下図に示すようにミペロンは真球かつ狭粒度分布な微粒子です。このことから、焼結フィルタを製造する際には、粒子のサイズが均一且つ同一形状であるため、フィルタの細孔径(濾過できる粒子の大きさ)も均一且つ小さなものが作れます。

粒子サイズ

ミペロン®の焼結方法

ミペロン®を使用した焼結フィルターは、金属やガラスの金型にミペロン®粉末を充填して、超高分子量ポリエチレンの融点136℃をわずかに超える温度で加熱することで製造されます。加熱時間は、金型の大きさや形状、求められるフィルター特性によって、数分から1時間程度と幅があります。一例として、SUS板(図3参照、2mmt)で作った金型を使用した場合は、ミペロン®を金型に充填し、タッピングした後、無加圧下でオーブン内に設置します。ミペロン®を使用する場合、XM-220は150℃以上、XM-330は160℃以上を推奨します。

粒子サイズ

ミペロン®の濾過効果

ミペロン®と他のUPE、PPを用いて焼結フィルタを製造し、そのうえで不純物の大きさが決まっている、JISの8種・11種試験用粉塵を用いて濾過試験を行いました。その結果が、下記の通りになります。ミペロンを用いたフィルタは、細孔径分布が小さくかつ狭くなっており、実際の濾過精度も非常に高いものになっています。

JIS8・11種の試験用粉体の粒度分布
JIS8・11種の試験用粉体の粒度分布
ミペロンと既製品を用いた焼結フィルタのろ過結果
ミペロンと既製品を用いた焼結フィルタのろ過結果
各種焼結フィルタの孔径分布図
各種焼結フィルタの孔径分布図

ミペロン®の用途例

ミペロン®は、無機・有機の幅広い薬品に対して高い耐薬品性を有しており、ミペロン®を用いた焼結材料は、医療、研究所、プロセス、精密さが要求される用途で使用されています。具体的な用途としては、以下のようなものがあります。

- 診断検査用吸着フィルター
- 薬物や血液の分離に使用される液体フィルター
- 空気清浄、水質浄化用フィルター
- 電動工具や電化製品の液体・燃料フィルター
- 浄水器用活性炭のバインダーとして、靭性や強度を高める。

まとめ

ミペロン®は球状で粒径が小さく、粒度分布が狭いため、焼結体フィルターに最適な素材です。ミペロン®焼結体は、他社製のオレフィン系フィルターに比べ、孔径が小さくなっています。当社は、平均粒子径が10~60μmの様々なグレードを提供しています。これらのグレードを使用することにより、高強度、低気孔率、高弾性率、優れた濾過性を有する焼結体を製造することができます。またミペロン®はFDA認可グレードもあり、食品との接触も可能です。

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