CASE事例

  • CASE04

    射出成形可能U-PE

    高い耐摩耗性と静音性・摺動性を誇るエンジニアリングプラスチック

リュブマー®射出用途での特性

耐摩耗性、摺動性、静音性、グリースレス

採用例・評価例

自動車・家電・OA・機械部品・ジョイントパーツなど

樹脂摺動部品の課題

プラスチックには弾性を持つものから、透明度を持つ素材、繊維として使用される素材など、様々な特性を持つものが存在します。そんな中で、機械的特性に優れるものをエンジニアリングプラスチックと呼ぶ。これらの樹脂は金属よりも軽量であることから、金属代替も盛んに行われています。一方で、エンジニアリングプラスチックは摺動性や耐摩耗性といった観点からみると、改善を要望されるケースも多くあります。特に自動車のEV化や家電製品の使用快適性といった観点から、静音性を求められる機会が増えているものの、摺動性が足りず軋み音が発生してしまうといったケースも見られます。また、昨今のトレンドとして挙げられる持続可能は社会の実現のために、ナイロンやPOMでは耐久性が低く、より耐摩耗性の高い材料が求められています。

解決策

三井化学のリュブマー®は、射出・押出成形可能なペレットタイプの超高分子量ポリエチレンです。リュブマー®は優れた滑り性と耐摩耗性を持ち、他の樹脂では対応できない性能が要求される様々な分野で活躍しています。OA機器の静音化や自動車、電気・電子機器の摺動部品など幅広い用途で使用されており、その特長と品質が高く評価されています。その他にも、建材・各種機械部品にも使用されております。

優れた摺動性と耐摩耗性

下図は、リング摩耗試験の条件下において、摺動性・比摩耗量を示したものです。 ナイロン系やPBT、POMなどの比べても摺動性と耐摩耗性に優れています。またHDPEと比べて耐摩耗性が非常に優れています。

摺動性と耐摩耗性
鈴木式リング摩耗試験
試験温度: 23℃, 相手材: S45C, 荷重: 0.75MPa,
速度: 30m/min, 距離: 3km
試験条件

優れた静音性

また、この摺動性に起因して樹脂間の軋み音の減少にも役立ちます。樹脂間の軋み音はスティックスリップとも呼ばれます。これは、プラスチックの嵌合面で起こる現象であり、原因としては嵌合面の摩擦係数が高く、固着~滑り時の抵抗力が大きくなるために起こります。ここにリュブマー®を使用することで、これらのスティックスリップを防止することが可能です。下表は、各樹脂同士のリング摩耗試験での摩擦量を測定したものですが、PA6やPOMの場合軋み音が発生するのに対し、リュブマー®を使用した場合は軋み音が発生しません。

摺動性と耐摩耗性
鈴木式リング摩耗試験
試験温度: 23℃, 相手材: リングの材料を変更,
荷重: 0.2MPa, 速度: 30m/min
試験条件

実際の使用用途

リュブマー®は様々な用途の摺動部品として使用されています。 OA機器内のギアやパーツに使用することで、POMを使用していた際には摩擦係数が大ききことから紙のずれなどの問題が起こっていましたが、リュブマー®を使用することで機器の摺動性が向上して問題を解消しました。また、自動車部品のスイッチや内部機構品においてPOM+グリースで使用していたものをリュブマー®に置き換えることで、摺動性を同程度に保ちながら、グリースの塗布工程を削減し、駆動時のスティックスリップを解消しました。さらに、トラックに使用される板ばねの緩衝材においても、通常はHDPEが使用されているが、HDPEでは耐えきれない摩耗の厳しい環境下でも割れが発生しなかったことから採用されたケースもあります。その他にも医療用部材や、シャッターレール、化粧品部品など幅広い分野の高摺動・耐摩耗が求めれらる分野でリュブマー®は用いられています。

まとめ

リュブマー®は射出・押出成形可能な超高分子量PEとして、非常に高い摺動性と耐摩耗性を兼ね備えた製品です。その摺動特性や耐摩耗性の高さから、静音化やグリスレス化・耐久性の向上を実現することができ、他のエンプラ樹脂では実現できない高性能な部品を提供することができます。

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