リュブマー®ロボット摺動部品での特性
摺動性、耐摩耗性、軽量、静音性、メンテナンスフリー
CASE07
高い摺動性・耐摩耗性を有したエンプラを用いて安全性・省エネを実現
摺動性、耐摩耗性、軽量、静音性、メンテナンスフリー
産業用ロボット(多関節ロボット等)
ロボットは産業用ロボットとサービスロボットに大別され、ロボット市場は今後大きな成長が見込まれています。また、人と協働するロボットの種類も近年増えてきており、安全性がこれまで以上に重視されています。 世界的に深刻化するエネルギー供給問題は、近年、様々な分野で実用化が進んでいるロボット分野においても研究開発の喫緊の課題です。ロボットの電力エネルギー消費のほとんどはモーター電力であり、大型化、重量化するほど増大します。そのため、消費エネルギーを低減するには、ロボット自体の軽量化が重要です。
ロボットの軽量化や省エネ実現に向け、樹脂によるロボット金属部品代替は効果的な解決策と考えられます。三井化学のリュブマー®は、金属より軽量なことに加え、高い摺動性と耐摩耗性を有しているため、ロボット部品に使用することでロボットの軽量化や省エネ実現に貢献できると考えられます。 リュブマー®はその特性が評価され、産業用ロボットに使用されています。
下図は、リング摩耗試験の条件下において、摺動性・比摩耗量を示したものです。 ナイロン系やPBT、POMなどの比べても摺動性と耐摩耗性に優れています。またPTFEと比べて耐摩耗性が非常に優れています。
鈴木式リング摩耗試験 | |
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試験温度: 23℃, 相手材: S45C, 荷重: 0.75MPa, 速度: 30m/min, 距離: 3km |
また、高い摺動性により、樹脂間の軋み音(スティックスリップ)の減少も実現可能です。軋み音は、樹脂が擦れ合う面の摩擦係数が高く、固着~滑り時の抵抗力が大きくなることで発生しますが、ここにリュブマー®を使用することで軋み音を防止することが可能です。
三井化学は、早稲田大学理工学術院総合研究所の研究グループと株式会社hide kasuga 1896の3者で、『超高分子量ポリエチレン「リュブマー®」を用いたロボット分野における樹脂製ギアの開発』に向けた共同開発を行っています。 人型ロボットの指部品に、金属製ギアの代替としてリュブマー®製ギアを用いることで省エネルギー化ならびに軽量化を確認し、今般論文が掲載されました。
また、金属ギアを使用する際グリースを塗付する場合がほとんどですが、リュブマー®ギアを用いることでグリースレスも実現可能と考えています。リュブマー®は自己潤滑性に優れるためグリースの塗布が不要になるため、メンテナンスフリーの実現にもつながります。
リュブマー®は、多関節ロボットで用いる摺動パイプ等、複数部品で採用されています。PFAS規制もあり、評価案件が増えており、今後さらにロボット部品での採用が期待されます。
リュブマー®は射出・押出成形可能な超高分子量PEとして、非常に高い摺動性と耐摩耗性を兼ね備えた製品です。ロボット摺動部品にリュブマー®を用いることで、軽量化はもちろんのこと、その摺動特性や耐摩耗性の高さから、省エネ効果の実現も期待することができるのです。リュブマー®はお客様のニーズを踏まえ、新たな銘柄開発を実施しており、高い耐摩耗性を維持しつつ導電性を付与した銘柄等も開発しております。
三井化学 ロボットソリューション室では、お客様のロボット開発・製造におけるさまざまな技術課題をこれまでに培った樹脂素材の豊富な知見を活かし解決します。