020The Kiss 2019 by exonemo超大型造形物の3Dプリントをポリプロピレンで実現

あいちトリエンナーレ2019の展示風景 エキソニモ 《The Kiss》2019 Photo: Tetsuo Ito

CONCEPT

ニューヨークを拠点に活躍するアートユニット「エキソニモ」。インターネット黎明期よりネットを題材としたアートワークを発表してきており、デジタル空間と物理空間をユーモラスに接続する手法が高く評価されています。 2019年8月1日~10月14日に開催されたあいちトリエンナーレ2019では、新作「The Kiss」を発表。 あたかもKissをする2人のようですが、スマートフォンのようなモニターに映るのは、ただ目をつぶっているだけの人の映像。 今では人の体の一部ともいうほど自然な習慣として使用しているスマートフォンを通して感情を通わせる、現代人を象徴するモニュメントはどのようなものかを提起しています。

素材名

プライムポリプロ

株式会社プライムポリマーが製造・販売する日本No1シェアを誇るポリプロピレン樹脂。 特にバンパーやインパネなどの自動車用途ではグローバルに高いシェアを誇ります。 今回、難しいとされたポリプロピレンでの大型3Dプリンタ造形の可能性を提示することで、未来のクルマの自由度を拡げる実験を行いました。

素材の可能性

    今回MOLpでは、3.3mにも及ぶ超大型造形を3Dプリントで製作する取り組みに協力。 軽量性と強度、剛性の関係から、通常3Dプリントに用いられるABSやPLAではなく、ポリプロピレンを選定。 これまでポリプロピレンはその固化スピードの速さからくる層間接着強度と収縮率から3Dプリントに不向きな素材との印象が強かったですが、 材料改質とMagnaRectaの3Dプリント技術で解決。3.3mの大型造形に成功しました。 あいちトリエンナーレ2019では、愛知県美術館の入り口に飾られました。 データと材料があれば、人の心を動かす大型展示が世界中どこでも造形・展示できる新しい可能性を提示しています。 これまでのモニュメントとは異なる軽さと自由が与えられると同時に、可変性からくる不確実性の概念が表現されています。

クリエイティブパートナー

exonemo(エキソニモ)

Photo by Niko

1996年に結成された千房けん輔と赤岩やえによるニューヨークを拠点に活動するアート・ユニット。
インターネットが一般に普及し始めた1990年代から、いち早くインターネットそのものを素材として扱い、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟 に横断しながら、実験的なプロジェクトを数多く手がけています。
その作品は、世界最大のメディアアート・フェスティバル「アルスエレクトロニカ」において《The Road Movie》がゴールデン・ニカ(大賞)を受賞(2016年)するなど、ユーモアのある切り口と新しい視点を備えた作品でインターネットアート、メディアアートを軸足に、アートの領域を拡張しつづけています。

クリエイティブパートナー

MagnaRecta(マグナレクタ)

人の持つアイデアをどう具現化するため、モノ・コトをテクノロジー、デザイン、プロダクションまでサービスとして具体的に作る事業を主体に展開。3Dプリンターを始めレーザーカッターやロボット特殊用途のデジタルファブリケーションのハードウェアの提供はもちろん、これから何が必要で何を創り出したら良いかシステムソリューションまで提案しています。