049 太陽と月の窓
未来をひらく窓 ー Gaudí Meets 3D Printing(YKK AP)

「未来をひらく窓ーGaudí Meets 3D Printing」展での展示風景
《太陽と月の窓》2021 写真提供: YKK AP株式会社

CONCEPT

YKK AP株式会社が2021年10月に東京ミッドタウンにて開催した「未来をひらく窓-Gaudí Meets 3D Printing」。
世界的に著名な建築家アントニ・ガウディの窓に着想を得て、「ガウディが現代の最先端3Dプリンティング技術に出逢ったら」という視点で、自然環境と呼応する様々な機能や造形を持つ、3Dプリンタでつくる新しい窓のプロトタイプデザインが発表されました。

MOLpではそのうちの一つ、「太陽と月の窓」の製作に協力しました。
YKK AP株式会社とプロジェクトのクリエイティブディレクターである鈴木啓太氏がインスパイアされたのは、ガウディが「コロニア・グエル教会」の窓で採用した開閉機構。
この「太陽と月の窓」は、窓の中心に回転軸がデザインされ、地球儀のように窓を自由な角度に動かすことができます。

《太陽と月の窓》2021
画像提供: YKK AP株式会社

窓の透過部は、太陽光に反応して色が変化。光の強さに応じて窓の色が濃く変化し、紫外線をカットします。
また木製の窓のフレームは、手仕事で木を彫刻的に加工していたガウディの時代へオマージュを捧げつつ、3Dデータをもとに最新の加工機で木を削り出しました。
フレームを壁に固定する窓枠は3Dプリンタで製作しています。
太陽の上昇とともに色づき、太陽が沈むと透明に戻る窓。
日中はステンドグラスのような美しい色彩の影が現れ、夜には繊細な月灯りを室内に取り込みます。

今回MOLpでは、透明な板が太陽の当たる日中は様々な色に変化することで、ガウディ建築に見られる美しいステンドグラスの役割を果たすとともに紫外線をカットするパネルを製作し、協力しています。

こんな窓があったら、近くでお昼寝したいですね。

《太陽と月の窓》2021
画像提供: YKK AP株式会社

素材について

三井化学のビジョンケア材料

三井化学が世界で初めて開発した、最高品質の光学プラスチックレンズ材料。
高い透明性や高屈折率など光学特性に優れ、軽量かつ高強度、高屈折率メガネレンズ材料の世界ナンバーワンシェアを誇っています。薄型・軽量の縁なしフレーム用レンズや、色素技術と組み合わせたプルーライトカットレンズ、フォトクロミック(調光)レンズなど、眼鏡のデザインと機能に数々の革新をもたらしてきました。
レンズ材料としての優れた素材特性だけでなく、特定波長の光をカットする技術や紫外線に反応して色が変化するフォトクロミック色素技術などさまざま機能によって、新たなものづくりの可能性を拡げています。

クリエイティブパートナー

YKK AP株式会社

YKK APは「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」というパーパスに基づき、窓をはじめとした建築用プロダクツが建築や人々の生活をより自由に、より幸せにすることを目指し、日々考え、技術力を磨き続けています。今回の展示「未来をひらく窓―Gaudí Meets 3D Printing」は、自然と人々の暮らしの間で進化を遂げてきた窓自身がさらなる未来を切りひらいていく様を表現すると同時に、 YKKグループ環境ビジョン2050「人と自然の未来をひらく」や、 ガウディの「建築と自然の融合」というひらかれた建築思想にも共鳴しています。 また、「ガウディが現代の最先端3Dプリンティング技術に出逢ったら」という視点で、過去の良質なデザインを未来に生かしていく取り組みでもあります。

クリエイティブパートナー

PRODUCT DESIGN CENTER鈴木啓太(Keita Suzuki)

プロダクトデザイナー、クリエイティブディレクター。1982年生まれ。多摩美術大学プロダクトデザイン専攻卒業。PRODUCT DESIGN CENTER代表。 古美術収集家の祖父の影響で、幼少より人が織りなす文化や歴史に興味を持つ。森林活用から都市環境、伝統工芸から3Dプリンティングなどのアディティブ・マニュファクチャリングまで、幅広い分野に精通。美意識と機能性を融合させたデザインで、国内外でプランニングからエンジニアリングまでを手掛ける。
2008年「TOKYO MIDTOWN AWARD」受賞、2016年「HUBLOT DESIGN PRIZE」初のアジア人ファイナリスト、2018年初個展「鈴木啓太の線:LINE by Keita Suzuki」を柳宗理記念デザイン研究所で開催、 2019年「相模鉄道20000系」が「ローレル賞2019」受賞、2020年「ELLE DECOR Young Japanese Design Talent」受賞等。2015-2017年グッドデザイン賞 最年少審査委員。