ダイバーシティ推進室 室長 インタビュー

真に多様な人材が活躍できる
企業を目指して。
安井 直子
<略歴>
1990年入社。新規農薬の探索研究、農薬の安全性研究と、入社から17年にわたり農薬研究に従事。その間、現在も世界中で使われている殺虫剤「ジノテフラン」の研究開発に携わる。2008年に本社に異動、一年間の育児休業ののち、農薬の研究管理、経営企画に従事。2012年から文部科学省に出向し、被災地における復興教育や子供の貧困問題、男女共同参画等に携わる。
2015年から現職。
技術系から事務系へのキャリアチェンジ。
文部科学省での2年間が転機に。
三井化学に研究者として入社し、17年間、農薬の研究に従事していましたが、2008年に技術系から事務系職種へのキャリアチェンジを決意。この異動が実現したタイミングで、妊娠も判明しました。1年間育児休暇を取得し、復帰後は農薬の新製品の研究管理や農薬事業の経営企画に携わりました。転機となったのは、官民交流の一環として2年間文部科学省に出向したこと。ここで女性活躍推進に対する社会的な必要性や国の本気度を肌で感じられたことが大きかったですね。出向中の経験を人事部と共有していたことがきっかけとなり、ダイバーシティ推進室の立ち上げ時に室長に任命されることになりました。
室長として、ダイバーシティ推進の先頭を走る。
ダイバーシティ推進室での私のミッションは、主に女性社員活躍の推進と障がい者の採用と定着。多様な人材が活躍できる風土の醸成や制度の改革に取り組んでいます。女性活躍推進活動では、当社の抱える課題に対し目標を具体的に立て、その実現に向け、行動計画に沿った活動をしています。具体的には、社内へのダイバーシティという概念の啓蒙等を目的とした講演会の開催や女性社員育成のための研修、働きやすさを目的にした育児や介護に関わる制度の啓蒙や使い方の紹介等も実施しています。また、障がい者の方々の採用を担当し、同時に本人の特性や職場とのマッチングを考慮した配属も行っています。障害についての理解を深めるセミナーを開催することで、配属先の社員に配慮を促し、職場での日常生活をサポートしてもらうことで、高い定着率を実現しています。私の仕事は、長年続いてきた価値観ややり方を変えることになるため、向かい風のように感じ、苦しいと思う時もあります。しかし、日本の社会や企業のために必要なことだと考えているため、逃げてはいけないと思っていますし、もちろん仕事にはやりがいを感じています。
1人でも多く
「イクボス」を増やしたい。
女性社員に限ったことではありませんが、実は、三井化学は社員の定着率が高い会社。育児や介護に携わる社員をサポートする制度も整っており、育児休業や短時間勤務措置をはじめ、制度の多くは法定を上回る期間・内容となっています。在宅勤務やベビーシッター利用料補助など、仕事と育児の両立をサポートする制度も充実しているので、最近では出産を理由に離職する女性社員はいなくなりました。今後、女性社員がさらに活躍できる環境を整えていくためには、女性だけではなく、男性社員も遠慮せずに各種制度を活用できる職場風土づくりが大切。そういった面で職場を引っ張っていくことのできる「イクボス」の存在が重要になると考えています。社員の多様な価値観を理解し、職場をまとめ、チームのパフォーマンスを上げていくことのできる「イクボス」を増やしていきたいですね。
技術系職種の、女性管理職を増やしていく。
コーポレート部門や事業部で働く女性社員は年々増えており、中には管理職として活躍している社員も少なくありません。しかし、当社の課題として、「製造の現場希望の女性の少なさ」が挙げられます。技術系職種で女性を多く採用できないと、女性社員比率は上がらず、管理職へのパイプラインも細くなってしまいます。私がイメージする「真に女性が活躍する会社」は、幅広い職場・職種で女性が活躍する会社。ですので、これからは当社の心臓部である工場や研究所でリーダーとなる人材を増やしていく必要があると考えています。今後も女性技術系総合職の採用比率20%以上を維持し、着実に女性社員の総数を増やすとともに、技術系職種における女性管理職比率を採用時の女性比率と同様にすることを目指していきたいと思っています。三井化学は男女関係なく、がんばる人には応えてくれる会社ですので、ぜひたくさんの女性に飛び込んで来てほしいですね。
cross talk
化学系女性エンジニア座談会
仕事と職場、結婚・出産・育児。
それぞれにキャリアを重ねる3人の
女性エンジニアが
自らの働きと働く環境について語り合いました。


-
夏地
理工学研究科
基礎理工学専攻
2006年入社
合成化学品研究所
バイオ・メディカル
材料グループ
主任
研究員 -
荒木
理学部
化学専攻
2016年入社
茂原分工場
製造部
生産技術グループ -
鈴木
理工学研究科
化学工学専攻
2010年入社
茂原分工場
製造部
化成品・用役課

- 座談会行役安井
- 人事部ダイバーシティ推進室 室長
1990年入社
技術者の仕事とやりがい
- 進行役を務める人事部ダイバーシティ推進室の安井です。私も理系出身で、以前は農薬の研究をしていました。今日は技術者や研究者として働く女性の姿や想いを、皆さんに語っていただきます。まずは現在のお仕事についてお聞かせください。
-
安井
-
夏地
- 微生物酵素を用いて化学品を製造するための基礎研究に携わっています。大学では最先端のバイオテクノロジーに関わっていたので、今はそれをいかに実際のモノづくりに活かせるか、考えながら仕事を進めています。
-
荒木
- 私は学生時代には研究者になることを想像していたのですが、最初の配属先が生産技術部門でした。これもご縁と思ってプロセスエンジニアの道に進んだら意外に面白くて、当社に転職しても引き続き、設備設計や技術評価などの仕事をしています。
-
鈴木
- 大学から院まで化学工学を専攻し、その成果を活かせる場として生産技術を希望しました。だから当時の教科書なども全部仕事で使える状況です。もともと化学工場の規模の大きさ、カッコよさに惹かれて就職したので、それが24時間365日動いている、自分が設計して動かしているところで実際に製品ができていく、ということにすごくやりがいを感じています。
-
夏地
- 自分の関わったものが製品化されてお客様の手にわたった時って、それまでの苦労が全部吹き飛びますよね。私が理工学部に進んだのも、化学とバイオテクノロジーを融合させて、社会に役立つモノづくりがしたいという夢があったからです。
女性をとりまく職場環境
- 鈴木さんと荒木さんは、技術系総合職の女性として初めて茂原分工場勤務に進出したパイオニアですが、当初は難しさもあったのでは?
-
安井
-
鈴木
- 赴任して最初の自己紹介の時から、もの珍しさもあって注目されました。けれど皆さん興味はあっても話しかけにくい、みたいな雰囲気でしたから、これは自分からどんどん声をかけていかなければ、と。幸いにもお酒の付き合いが好きな人が多くて、一度繋がりができれば、いろいろな部署の人に面倒を見てもらえるようになりました。
-
荒木
- 引っ張りだこでしたね。今週も飲みに行くかって(笑)。良い意味で目立つというか、仕事の上でもすぐに反応や評価をもらえる感じでした。女性として不利な点はほとんど感じたことはなく、甘やかされたり下に見られたりすることもなかったです。
-
夏地
- 私が今いる研究所では女性の比率は四分の一くらいですが、入社当初の工場では非常に少なかったです。ただ大学もまわりは男性ばかりだったので、あまり気になりませんでした。そういう中で女性ならではの気配りというのは意識してきました。
- 重量物を扱うような「自分には無理」と思うような作業はありますか?
-
安井
-
鈴木
- 基本的には誰かがサッと出てきて、代わってくれました。
-
荒木
- 労働基準法があるので。
-
鈴木
- そういう守るべきルール以外では、男女は関係ないですね。特に総合職で入るということは、幅広い部署で責任ある仕事を任されるのだから、今後も女性が活躍できるポジションはいくらでもあると思います。
ライフイベントをめぐって
- 出産や育児が、自分の働き方に影響することは?
-
安井
-
鈴木
- 妊娠すると、産休や育休で一定期間休むことがわかっている前提で案件に取り組むことになりますよね。周囲に進捗をこと細かに伝えて、自分がいつ休みに入ってもいいように準備しないと厳しいです。
-
夏地
- 育休から復帰したあとでも、子供が急に熱を出して呼び出されることがあるので、自分の仕事が今どういう状況か、情報をパソコンの共有ドライブに入れて、職場の誰にでもわかるようにしています。
- 私の世代だと、働きながらの子育ては子供一人が限界という印象が強かったけど、最近は二人目、三人目を産むっていう人も多いですね。
-
安井
-
夏地
- 私は、第一子を産んで職場復帰した1ヶ月後に、第二子の妊娠がわかったんです。すぐまた産休に入るというのは、正直、上司に伝えにくい。すごく悩んで、ようやく事情を説明したところ、上司は拍手して喜んでくれました。仕事とライフイベントは別物、心からおめでとうと言ってもらえたことに、今でも感謝しています。子育てしながらも、仕事を続けたいという気持ちは強いです。
- 今うちの会社で、子供を産んだことを理由に辞めていく人はいません。みんな産休・育休を取って戻ってきます。復帰してからは、時短勤務制度を使って働く人もいれば、すぐにフルタイムで働く人もいます。皆さん制度をうまく利用して両立しています。
-
安井
-
鈴木
- 私は、看護休暇をよく使います。病院へ連れていったり、市の健診を受けさせたり。
- 当社は制度がいろいろ整っているので、ぜひ利用してください。女性社員だけではなく男性社員も積極的に制度を利用できるような意識啓発にも取り組んでいます。働く時間に制限があるのは女性だけじゃない。パパでも積極的に育児に参加したいと思う人は増えていますし、介護を担う男性社員も増えてきているので、みんなの意識が変わりつつあると考えています。
-
安井
これからの働き方を考える
-
荒木
- 私は子供がまだいないうちに、海外赴任を経験したいと思っています。できれば海外工場の立ち上げのような、大きなプロジェクトを手がけてみたい。そのために今、英語の勉強に加えて、異文化の人たちとのコミュニケーションを学ぶ研修を受けています。
-
鈴木
- 私の目標は、上流から下流まできちんとわかるプロセスエンジニアになること。この1年間やってきた用役プラントの面白さにようやく気づいたところなので、今はこの工場で場数を踏んでいきたいと思います。
- 工場とか研究所は当社の心臓部。化学メーカーとして本家本元のところだから、そこでキャリアを積める女性総合職がもっと増えてほしいですね。
-
安井
-
夏地
- 自分が関わった製品を、いかに多く世の中に出していけるか、それが一番の目標です。それに加えて、研究所の中に留まらず、いろいろなものを見たり、経験したりすることを心がけています。例えば、私は育休中に簿記の資格を取ったり、最近では社外のビジネス系研修を受けたりしました。中期長期的には研究以外の仕事にも関われたら面白そうと思います。
- キャリアチェンジを楽しめる人は得です。同じ会社に長くいると、いろいろな部署で培った人脈が、10年後20年後に全く関係ないところで繋がって役立ったりする。働き続けるって、面白いですよ。
-
安井
-
鈴木
- その頃まで自分を劣化させないようにしなくては(笑)。40代50代になっても...
-
夏地
- 輝いている女性でありたいですよね。一人の社会人として、社会に対して価値のある仕事をしていたいですよね。
-
荒木
- それはやはり家族の理解があってこそです。私も夫の応援があって、結婚後の転職に踏み切ることができました。
- 就職活動で会社選びが大切なように、人生をともにするパートナーを持つならば相手のキャリアも自分のキャリアと同じように考えてくれる人を選ぶことも大切、ということですね。
-
安井


数字から見る、女性社員の「今」
三井化学では様々な立場の
女性社員が活躍しています。
女性社員がどのようなポジションで、
どのような働き方をしているのか、
代表的なデータをご紹介いたします。









2019年実績
働く女性を支援する
三井化学の制度について
三井化学では、仕事と家庭の両立を支援する
様々な制度を用意しています。
特に育児に関わる制度と復帰までの流れを中心に制度の一部をご紹介していきます。
育児による両立支援制度




※印は法定を超える施策
その他・育児・介護に関する
制度、補助金
介護の制度
●短時間勤務措置※ ●在宅勤務制度
●介護休業(要支援状態でも取得可能)※
●介護休暇
●時間外労働の制限
●深夜業の制限 等
育児の制度
●通勤時の就業時間の変更・軽減
●会社託児所の設置※
●勤務中の休憩時間 等
介護の補助金
●介護休業給付金 ●介護援助金※
●子育て・介護支援
手配
●ホームヘルパー利用料補助※ 等
育児の補助金
●出産支援金※ ●出産育児援助金※
●育児援助金※ ●出産祝金
●出産手当金
●出産育児一時金 ●家族出産育児一時金
●出産見舞金※ ●児童手当
●ベビーシッター利用料補助※ 等
※印は法定を超える施策