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石油化学の急成長と大型化時代の到来

1960年〜1979年

1960年代に入り、大牟田工場での事業展開の主眼は、戦前から長い歴史を持つ合成染料や医薬品、農薬をはじめとする各種工業薬品の合理化・拡充に加え、高度な技術の蓄積と豊富な経験を活用した新製品を企業化することにあった。
それが、現在に至るまで約50年に亘り大牟田工場の主力事業の一角を占めるウレタン原料イソシアネートへの進出であった。
大牟田工場には、合成染料および染料中間体の製造を通じて、ニトロ化、アミノ化、塩素化などの有機合成技術が蓄積されており、原料となるガスの製造設備、取り扱い技術の保有など好条件が揃っていた。

1960(昭和35)年、三井化学工業は早期企業化を実現するため自社技術によるTDI試験設備を建設するとともに先進的技術を有するデュポン社へ技術導入を申し入れた。
デュポン社は大牟田工場の技術力を高く評価し、積極的に話し合いに応じて契約締結に至った。
そして技術導入後わずか2年足らずで工業化に成功した。
その後は幾度も設備増強と製造プロセス改良を重ね、増産を進めていった。
これが大牟田工場の特徴であり、長年の蓄積技術と技術者たちの汗と油にまみれた努力がそれを可能とした。

1968(昭和43)年、石油化学工業の急激な伸長と本格的な国際化に対応するため、協調、提携しつつも独自の発展を遂げてきた「三井化学工業」と「東洋高圧工業」は合併し、「三井東圧化学」を設立した。
両社の経営資源を余すところなく活用しての飛躍的な発展を意図した合併であった。
しかし1971(昭和46)年のニクソンショック、円の切り上げ、中東戦争を発端にした1973(昭和48)年の第一次石油危機は、安価な石油系原料とエネルギーに支えられた日本の産業経済全体を根底から揺るがすこととなり、三井東圧化学も抜本的な構造改善に迫られた。
同時に国内では公害が社会問題化したため、大牟田工場は環境対策にも積極的に取り組みながら社会と時代の激変に応えていった。

写真 新聞
写真 総合排水処理設備

1975(昭和50)年に横須工場に設置した総合排水処理設備

写真 建設中のTDIプラント

建設中のTDIプラント/1962(昭和37)年

写真 TDIプラント

1963(昭和38)年竣工のTDIプラント

写真 TDI出荷作業

TDI出荷作業/1963(昭和38)年

写真 MT-クロルプラント

ウレタン原料の製造時に発生する副生塩化水素から塩素を効率的に回収するMT-クロルプラント(自社開発した世界初の塩酸酸化法による塩素回収設備)/1988(昭和63)年

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