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地球温暖化とは?原因から影響、対策までわかりやすく解説
地球規模での課題となっている気候変動。これは二酸化炭素(CO₂)を始めとした温室効果ガスの影響による地球温暖化が大きく影響しています。地球温暖化をはじめとした気候変動を抑制すべく、再生可能エネルギーの導入など、温室効果ガスの排出削減に向けたさまざまな対策が求められています。そこで、改めて地球温暖化の原因や影響、その対策についてご紹介します。
地球温暖化とは
その定義と基本的な事実
地球温暖化とは、二酸化炭素(CO₂)を始めとした温室効果ガスの大気中の濃度が高まり、気温が上昇することを指します。
大気中に放出されたCO₂は主に①植物に吸収される、②海洋に吸収される、③大気中に残るという三つのルートをたどります。植物に吸収されたCO₂は光合成によって酸素とデンプンなど有機物に変換されます。一方、海洋では、大気のCO₂濃度(分圧)が海洋のCO₂分圧より高ければ大気のCO₂は吸収され、低ければ海洋から大気にCO₂が放出されます。全体で見れば海洋はCO₂を吸収していて、近年では炭素換算で年間18億トン程度のCO₂を吸収していることが分かっています。
また、炭素はさまざまな形で動物の身体や岩石、土壌に蓄積されています。動物や植物、魚、プランクトンなどが寿命をむかえると微生物によってCO₂、水、窒素などに分解されます。
このように、炭素は形を変えて大気、陸地、海洋などを循環しており、これを炭素循環と言います。最終氷期が終了した約1万年前から産業革命が起こるまで、大気中のCO₂濃度の変化は小さく、その変化速度も緩やかでした。また、炭素循環もおおよそ定常状態であったと考えられています。陸上では、森林の光合成により大気中のCO₂が有機物として取り込まれるとともに、有機物が土壌から河川へと流れ出し、海洋や湖沼を通じて大気へと放出されて均衡が保たれていました。また、海洋では、河川を通じて8億トンの炭素が流れ込むとともに、2億トンの炭素が堆積物として沈殿し、6億トンがCO₂として大気に放出されていたため、バランスが保たれていました。
歴史的な背景
地球のあらゆる場所に存在する炭素は、炭素循環によってバランスが取れていましたが、1750年頃から産業革命が起こり、工業化によって大きな影響を受けることになります。人間が石炭や石油といった化石燃料を大量に燃焼するようになり、大量の二酸化炭素(CO₂)が放出されるようになりました。
その結果、森林や海洋でのCO₂吸収量を、工業化に伴うCO₂排出量が上回るようになり、大気におけるCO₂の濃度が高まったことで、地球の平均気温が上昇し始めました。これが地球温暖化の仕組みです。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年に公表した第4次評価報告書では、「20 世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が非常に高い」ことが明らかにされました。
また、2021年に発表されたIPCC第6次評価報告書によれば、2011年から2020年の世界平均気温は1850〜1900年と比較すると1.09℃高くなっており、その上昇幅は海上よりも陸上の方が大きいことがわかっています。
地球温暖化の原因
温室効果ガスの役割
温室効果ガスと言えば、最も排出量が多い二酸化炭素(CO₂)のイメージが強いですが、他にもメタン(CH4)、一酸化二窒素(N₂O)、代替フロン等4ガスなどがあります。
こうした温室効果ガスには、実は大切な役割があります。地球の地表は、太陽からのエネルギーを受けて暖められています。暖められた地表は熱を放射しますが、その熱を温室効果ガスが吸収し、大気を暖めるのです。このように、温室効果ガスが熱を閉じ込めてくれるおかげで大気が暖められ、地球の平均気温が約14℃に保たれているのです。もしも大気中に温室効果ガスが存在しなければ、地表から放射された熱はそのまま宇宙空間に放出されるため、地球の平均気温はだいたいマイナス19℃になるだろうと言われています。
人間活動による影響
地球の環境を保つために重要な役割を担う温室効果ガス。しかし、温室効果ガスは、産業革命が起こった1750年あたりから、人間活動によりバランスが崩れ始めました。工業化によって石炭や石油などの化石燃料が大量に消費され、大量のCO₂が排出されるようになったのです。排出されたCO₂は森林の光合成に使われるほか、海洋にも吸収されますが、吸収されなかった分は大気に蓄積されていきます。大気中のCO₂の世界平均濃度は、産業革命以前は278ppm程度で推移していたと見られていますが、温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析によると、2022年時点では約1.5倍の417.9ppmまで高まっています。
増えているのはCO₂だけではありません。IPCC第6次評価報告書によれば、2019年の大気中のメタン(CH4)の濃度 は工業化前と比べて約156%高い1866ppb、一酸化二窒素(N₂O)は工業化前と比べて約23%高い332ppbとなっており、CO₂以外の温室効果ガスの大気中の濃度も高くなっています。
温室効果ガスの濃度が高まりすぎると、地表から放射される熱が宇宙空間に放出されず、溜まってしまい、平均気温が上昇します。こうして地球温暖化は進行しています。
出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書「世界規模及び大陸規模の気温変化」地球温暖化の影響
現在の大気中のCO₂濃度は過去200万年のうちで最も高くなっており、さらに世界の平均気温は過去2000年間には見られなかった速度で上昇しています。人間の活動によってCO₂をはじめとした温室効果ガスの排出量が増加し、地球温暖化が引き起こされました。その影響は多岐に渡ります。
1950年以降の北半球では春季の積雪面積が減少し、1990年代以降の氷河と海底の接触地点は後退しています。また、IPCC によると、1901年~2018年の間に、世界の平均海面水位は0.2m上昇し、海面水位の上昇率は年々高まっています。1901年~1971年の間は1年あたり1.3mmの上昇でしたが、1971年~2006年には1年あたり1.9mm、2006年~2018年には1年あたり3.7mmの上昇となっています。
他にも、人間活動とそれによって引き起こされた地球温暖化は、地球の気候や自然環境にさまざまな影響を及ぼしており、その対策が急がれています。
地球温暖化の現状については、「地球温暖化の現状とは?未来についてもわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
地球温暖化の対策や取り組み
地球温暖化が環境面にさまざまな影響を与えていることが明らかになった今、全世界で地球温暖化の対策が求められています。中でも重要なのが、二酸化炭素(CO₂)をはじめとした温室効果ガスの排出量を抑えることです。そこで日本でも2020年10月に菅義偉内閣総理大臣(当時)が所信表明演説で「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」ことを宣言しました。
カーボンニュートラルとは、地球上で排出される温室効果ガスと吸収される温室効果ガスが均衡な状態を指します。これは、人間活動などによって排出されるCO₂などの温室効果ガスの排出量を、森林などの植物による吸収量と等しくすることで、大気中の温室効果ガスを増やさないようにする(=温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする)という考え方です。カーボンニュートラルを実現するためには、①省エネとエネルギー効率の向上、②電源の脱炭素化や非電力部門のCO₂排出原単位(一定量のエネルギーを使用する際に排出されるCO₂排出量)の低減、③非電力部門の電化、④ネガティブエミッション(※)、⑤社会のバイオマス化などを組み合わせて取り組んでいくことになります。
地球温暖化対策推進法では2050年のカーボンニュートラルの実現について明記されており、地球温暖化の取り組みは法律で規定されています。また、日本政府は2021年4月、2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減を目指すこと、さらに50%削減の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました。地球温暖化の取り組みは今や、どの業界のどの業種にも共通した重要なミッションだと言えます。
出典:国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス「日本の温室効果ガス排出量データ」より経済産業省作成
※ネガティブエミッションとは
植林を進めて光合成に使われる大気中のCO₂の吸収量を増やしたり、「BECCS」(バイオマス燃料の使用時に排出されたCO₂を回収して地中に貯留する技術)や「DACCS」(大気中にすでに存在するCO₂を直接回収して貯留する技術)などを活用したりすることにより、大気中のCO₂を減少させること。
出典元:資源エネルギー庁「カーボンニュートラル」って何ですか?(後編)~なぜ日本は実現を目指しているの?」
個人ができる地球温暖化対策
地球温暖化は、今を生きるすべての人々にとって無関係でいられない問題です。そこで、地球温暖化の個人でできる取り組みをご紹介します。
地球温暖化を防ぐためには、二酸化炭素(CO₂)を始めとした温室効果ガスの排出を抑える必要があります。すぐにできるものとしては、節電や節ガス、徒歩や自転車など環境負荷の低い移動手段や公共交通機関を積極的に使うといった手段が挙げられます。
耐久性の高いものを長く使うなどして廃棄物を減らすリデュース、モノを繰り返し使うリユース、廃棄せずに資源に回すリサイクル、修理や修繕でモノを長く使うリペアなどによってゴミを減らすことも、CO₂を始めとした温室効果ガスの減少につながります。
また、モノを買うときは、バイオマス素材などを活用した環境配慮型製品を選ぶことも施策のひとつになります。カーボンニュートラルを実現するには、行政や企業に加え、私たち一人ひとりが日常的にできるエコライフを継続することが重要なのです。
地球温暖化の個人の取り組みについては、「地球温暖化を防ぐために「私たちができること」とは?具体的な対策も紹介」で詳しく解説しています。
三井化学では、「世界を素(もと)から変えていく」というスローガンのもと、 <「BePLAYER®」「RePLAYER®」>https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/index.htm |
- 参考資料
- *1:温暖化の科学 Q2 海から二酸化炭素(CO2)が放出された?|ココが知りたい地球温暖化 | 地球環境研究センター (nies.go.jp):
https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/22/22-1/qa_22-1-j.html - *2:気象庁 海洋の炭素循環:
https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/mar_env/knowledge/global_co2_flux/carbon_cycle.html - *3:環境省 2022年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について 2024年4月12日:
https://www.env.go.jp/content/000216325.pdf - *4:環境省 温室効果ガスのメカニズム:
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop2008/06-07.pdf - *5:全国地球温暖化防止活動推進センター デコ活 温暖化とは? 地球温暖化の原因と予測:
https://www.jccca.org/global-warming/knowleadge01 - *6:国土交通省|気象庁|大気中二酸化炭素濃度の経年変化:
https://www.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html - *7:経済産業省 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(自然科学的根拠)と従来のIPCC報告書の政策決定者向け要約(SPM)における主な評価:
https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210809001/20210809001-2.pdf