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地球温暖化の現状とは?未来についてもわかりやすく解説

地球温暖化の現状とは?のイラスト
地球温暖化が進む中、私たちはどんな未来に向かっているのでしょうか。温室効果ガスの増加や異常気象が頻発する今、科学的なデータでは気温上昇や海面上昇といった深刻な影響を示しています。このまま温暖化が進行すれば、地球規模の環境変化は避けられず、私たちの生活にも大きな影響が及ぶでしょう。この記事では、地球温暖化の現状を解説し、未来のために必要な解決策と、私たちが日常でできるアクションについて考えていきます。

地球温暖化の現状は――私たちの未来はどうなる?

「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」――2023年7月、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が気候変動に警鐘を鳴らした言葉です。その通り、WMO(世界気象機関)も、2023年7月の世界平均気温が観測史上最高を記録したと発表しました。

日本でも、2024年7月の日本の平均気温が最高記録を更新しています。来る日も来る日も猛暑日(最高気温が35℃以上の日)が続き、全国の4分の1で猛暑日の連続日数が過去最多となりました。それに伴い、熱中症による救急搬送者数も増加するなど、私たちの日常生活にも深刻な影響を与えています。これらのトピックからわかるように、地球温暖化は「将来の問題」ではなく、今まさに私たちが直面している現実なのです。

データが示す地球温暖化の進行――危機の深刻さを数字で見る

地球温暖化が加速していることを示すエビデンスはいくつかありますが、ここでは重要な指標として「地球の平均気温」「海水温の上昇」「大気中の二酸化炭素濃度」を見ていきます。

地球の平均気温
地球の平均気温は、地球温暖化を直接示す最も基本的な指標です。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した「第6次評価報告書」によると、産業革命前後の1850~1900年と比べて、2011~2020年の世界平均気温は1.09℃上昇しました。この報告書は「大気、海洋、雪氷圏、及び生物圏に広範かつ急速な変化が起こっている」と説明しています。

海水温の上昇
海水温の上昇もまた、地球温暖化の進行を示す重要なデータです。海は地球の熱の大部分を吸収しており、その温度変化は地球全体の熱エネルギー収支を反映します。1971年から2010年までの間、海面から水深75mまでの海水温は10年当たり0.11°Cの割合で上昇しています。特に、日本近海における海面水温の上昇は著しく、2023年までの約100年間で1.28℃の割合で上昇しており、これは世界平均の2倍以上の上昇率です。

大気中の二酸化炭素濃度
また、温室効果ガスの増加を直接的に示すのが、大気中の二酸化炭素(CO₂)濃度です。大気中のCOの世界平均濃度は、産業革命以前は278ppm程度で推移していたと見られていますが、温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析によると、2022年時点では約1.5倍の417.9ppmまで高まっています。このCO濃度の高まりは、工業化による石炭や石油といった化石燃料の大量消費など、人類の手によるものです。

これらの3つの科学的なデータからも、地球温暖化が急速に進行していることが示されています。

温室効果ガス排出――どこから来て、どれだけ増えている?

世界の二酸化炭素排出量(2021年)

出典:JCCCA世界の二酸化炭素排出量(2021年)

2019年の世界の温室効果ガス排出量は約59Gt-CO₂で、その内訳には二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N₂O)、フロンガスなどが含まれます。この中で最も大きな割合を占めるのがCO₂で、2021年には約332億5500万トンに達し、国別では中国の排出量が最も多く、アメリカ、インド、ロシア、日本と続きます。

CO₂の排出は、主に化石燃料の使用や産業活動によるエネルギー消費に起因しています。日本の2022年度のCO₂排出量は約103700万トンで、そのうちエネルギー起源は96400万トンと全体の84.9%を占めています。また、部門別で見ると、産業部門(工場等)からの排出が最も多く、運輸部門業務その他部門(商業・サービス・事業所等)、家庭部門と続きます。

地球温暖化がもたらす未来――これから私たちに何が起こるのか?

地球温暖化の影響は、既に世界中で観測されており、温室効果ガス排出量削減などの対策を講じなければ、今後さらに深刻化することが予測されます。温暖化の進行はさまざまな分野に変化を引き起こし、次のようなポイントで、私たちの生活や生態系に重大な影響を及ぼすと考えられています。

極端現象(異常気象)の増加
地球温暖化が進むと極端現象(異常気象)が多くなります。例えば、猛暑や豪雨、干ばつといった極端な気象現象が頻発し、私たちの生活やインフラにも大きな影響を与えるようになります。

生態系への影響
地球温暖化をはじめとした気候変動は、陸上と淡水に生息する動物や植物などの生物種の大部分について、絶滅のリスクが増えると予測されています。WWF(世界自然保護基金)によると、地球温暖化(気候変動)の影響を受けていると考えられている絶滅危機種は、2000年の約10種に対し、2024年7月時点で7040種にまで増加しており、生態系のバランスにも影響を及ぼしています。

海面上昇
地球温暖化の影響を受け、陸上の氷河や氷床に貯蔵されていた氷が融解して海に流れ込んでいることや、水温の上昇で海水の体積が膨張し、海面が上昇しています。これに伴い、海抜が低い地域や島国では洪水や浸水のリスクが高まり、そこに住む人々が移住を迫られる可能性があります。

食糧生産への影響
気温の上昇や異常気象は、農作物にも悪影響を与えます。特に、干ばつや洪水が続くことで、作物の収穫量が減り、品質も悪くなることが心配されます。このため、地球温暖化に歯止めをかけなければ、世界各地で食糧価格の上昇や、食料不足が深刻化に直面する可能性があります。

これらのリスクを低減するためにも、地球温暖化の防止に向け、世界が協力して対策を進めることが重要です。

地球温暖化の原因や影響については、「地球温暖化とは?原因から影響、対策までわかりやすく解説」にて詳しく解説しています。

地球温暖化を防ぐために――未来のためにグローバル連携が進む

未来のためのグローバル連携
地球温暖化の影響を軽減し、持続可能な未来を築くために、グローバルでさまざまな取り組みが進められています。

パリ協定
2015年にフランス・パリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)では、気候変動対策の国際枠組みである「パリ協定」が採択されました。これは歴史上初めて、気候変動枠組条約に加盟する196カ国すべてが削減目標・行動をもって参加することをルール化した公平な合意です。また、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑えることを長期目標として掲げるとともに、この目標に向け「今世紀後半の温室効果ガスの人的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成する」というカーボンニュートラルの原則もはじめて示されました。各国ではこの目標と原則をもとに、温室効果ガスの排出削減に向けた具体的な取り組みを加速させています。

再生可能エネルギーの推進
太陽光、風力、地熱などのクリーンエネルギーへの移行は、温室効果ガスの削減に大きく貢献します。日本を含む多くの国々で再生可能エネルギーの導入が進んでおり、このエネルギー転換によって地球温暖化の進行を食い止めることを目指しています。

エネルギー効率の改善
省エネ製品の開発や導入、そして公共交通機関の利用を促進することも温室効果ガスの削減につながります。工場やビルなどのエネルギー効率を高めるなど、サステナブル(持続可能)な経済活動を目指す取り組みも活発化しています。

森林保護や緑化の推進
森林はCO₂の重要な吸収源です。世界各地で森林保護や植林活動が行われており、都市部でも緑地を増やす取り組みが進んでいます。これにより、CO₂の吸収が促進されるだけでなく、生態系の保護にも貢献します。

5つのアクション――地球温暖化を防ぐために個人ができること

地球温暖化を防ぐために個人ができること

地球温暖化を防ぐために、私たち一人ひとりが日常生活からできる取り組みもあります。たとえ小さな行動であっても、地域から日本全体、そして世界に広がっていくことで、大きな変化をもたらすことが可能です。

省エネルギー
省エネ家電の使用や、不要な電気の消灯など、エネルギーの節約は誰でもすぐに始められるアクションです。エアコンや冷蔵庫、照明など、まずは家電の使用状況に意識を向けてみることが、エネルギーの無駄をなくすことにつながります。

エコライフ
移動手段の見直しやエコカーへの切り替えは地球温暖化の防止に効果的です。公共交通機関や自転車を使ったり、エコカーを利用したりすることでCO₂の排出を抑えられます。食生活では地元産の旬な食材を選ぶことで、食材の生産・輸送・保存にかかるエネルギーを抑えることができます。

3R+Renewable
ごみの分別を徹底し、リサイクル可能な資源を適切に処理することも大切です。3R(リデュース・リユース・リサイクル)を実践することで、廃棄物の削減につながります。また、現在はこの3RにRenewable(リニューアブル)という概念、つまり石油という枯渇性資源からバイオマスなど再生可能資源に切り替えていくことでカーボンニュートラル社会を実現しようという考えを加え、「3R+Renewable」により資源循環と地球温暖化防止への取り組みも推進されています。

環境教育と啓発
地球温暖化についての理解を深め、周囲に広めることも重要です。環境に関する情報を共有すること自体が、地球温暖化防止のための第一歩にもなります。情報の収集と共有の輪を広げることで、さらに自身の理解を深めながら、身近な人々と一緒に取り組みを進めることもできます。

このように個人でできる地球温暖化防止策は身近なところにたくさんあります。それをいかに一人ひとりが意識して行動に移すことができるか。未来に向けて皆さんが踏み出す一歩が、地球温暖化を食い止める大きな鍵を握っています。

地球温暖化の個人の取り組みについては、「地球温暖化を防ぐために「私たちができること」とは?具体的な対策も紹介」で詳しく解説しています。

三井化学では、「世界を素(もと)から変えていく」というスローガンのもと、
バイオマスでカーボンニュートラルと目指す「BePLAYER®」、リサイクルでサーキュラーエコノミーを目指す「RePLAYER®」という取り組みを推進し、リジェネラティブ(再生的)な社会の実現を目指しています。カーボンニュートラルや循環型社会への対応を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

「BePLAYER®」「RePLAYER®」https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/index.htm

<公開資料:カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー関連>https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/whitepaper/

参考資料
*1:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)と 従来の IPCC 報告書の政策決定者向け要約(SPM)における主な評価:
https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210809001/20210809001-2.pdf
*2:海面水温の長期変化傾向(日本近海)/気象庁:
https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/shindan/a_1/japan_warm/japan_warm.html
*3:国土交通省 気象庁 大気中二酸化炭素濃度の経年変化 :
https://www.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html
*4:Carbon Dioxide /NASA :
https://climate.nasa.gov/vital-signs/carbon-dioxide/?intent=121
*5:全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)まとめ IPCC第6次評価報告書に準拠 :
https://www.jccca.org/global-warming/knowleadge04
*6:環境省パンフレット「STOP THE 温暖化 2015」:
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop2015/
*7:地球温暖化による野生生物への影響 |WWFジャパン:
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/286.html
*8:温暖化の影響 Q3 海面上昇とゼロメートル地帯|ココが知りたい地球温暖化 | 地球環境研究センター (nies.go.jp):
https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/7/7-1/qa_7-1-j.html

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