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地球温暖化の影響とは?予測される未来をわかりやすく解説

地球温暖化の現状とは?のイラスト

地球温暖化が進むとどうなるのでしょうか?科学的データからも、気温上昇や海面上昇など影響明確に示されています。気候変動がより激しさを増すと、地球規模での環境変化は避けられず、私たちの生活にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。今回の記事では、地球温暖化の影響について解説し、気温上昇がもたらす身近な影響に焦点を当てます。また、私たちができる具体的なアクションについても考えます。

地球温暖化がもたらすさまざまな影響

「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」――2023年7月、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が気候変動に警鐘を鳴らした言葉です。実際、WMO(世界気象機関)も、2023年7月の世界平均気温が観測史上最高を記録したと発表しました。これらのトピックからわかるように、地球温暖化は「将来の問題」ではなく、今まさに直面している現実なのです。

温室効果ガス排出量の増加によって引き起こされる地球温暖化は、自然環境や人々の生活に深刻な影響を及ぼし、私たちが直面する課題はますます複雑化しています。地球温暖化が進むとどうなるのか。地球温暖化による具体的な現象を見ていくと、その影響が深刻化していることがわかります。ここでは、地球温暖化が地球や人々に与える影響について具体例を交えて詳しく見ていきます。

気温上昇

<世界の年平均気温偏差の経年変化(1891〜2024年)>世界の年平均気温偏差の経年変化

出典:気象庁「世界の年平均気温偏差」

温暖化の最も顕著な影響の一つは気温の上昇です。気象庁によると、日本における令和6年(2024年)の年平均気温偏差は、統計が始まった明治31年(1898年)以降、最も高い値となりました。日本の平均気温は、長期的には100年あたり1.35℃のペースで上昇しており、特に1990年代以降、高温となる年が増加しています。また、30℃以上を記録する真夏日の日数は、1910年から2019年までの100年で約6日の増加したことが分かっています。

自然災害の増加

世界の主な異常気象・気象災害(2015年~ 2021 年発生)

出典:国土交通省白書2022「気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化」

地球温暖化が進行し続けると、気候は大きく変動し、異常気象が頻繁に発生すると予想されています。近年、世界中で異常気象が頻繁に発生し、豪雨災害などの大きな被害を引き起こしています。日本でも「平成30年7月豪雨」や「令和元年東日本台風」、「令和2年7月豪雨」など、毎年のように豪雨災害が発生し、大きな被害をもたらしています。また、諸外国でも、台風やサイクロンによる洪水被害、異常高温による干ばつや森林火災といった深刻な影響が広がっています。

海面上昇の危機

記録的な状況になっているのは、気温だけではありません。2023年に、世界気象機関(WMO)は、1993年から続く衛星観測記録において、世界の平均海面水位が過去最高を記録したことを確認しました。

海面上昇が与える影響は、自然環境だけでなく、人々の生活や経済活動にも深刻な影響を与えることが懸念されています。特に、小島嶼開発途上国(SIDS)では、陸地が減り、住む場所を失った住民が他の地域に移住する必要が出てきています。また、ビーチやリゾート地、サンゴ礁などの観光地が被害を受けることで、観光業が収入源である地域では経済的打撃が大きくなる可能性があります。

これらの影響が重なることで、人々は住み慣れた場所を離れたり、より高い場所に避難したり、最終的には移住を余儀なくされることがあり、その結果、経済や生計、そしてコミュニティの崩壊にもつながります。

生態系への影響

IUCN(国際自然保護連合)の「レッドリスト(絶滅危惧種リスト)」(2024年時点)によると、気候変動の影響を受けていると考えられる絶滅危惧種は、ホッキョクグマをはじめとして7,000種以上に達しています。急速に進行する気候変動や頻発する異常気象が引き起こす環境の変化は、多くの生物を絶滅の危機に追いやっています。

また、異常気象の増加により生態系内の食物連鎖が乱れることがあります。例えば、気温上昇により昆虫の活動時期が早くなると、それを食べる鳥や動物の食料供給に影響が出ます。一方で、昆虫が繁殖過剰になると、農作物や森林に被害を与えることもあります。動植物間の関係が不安定となり、生態系全体のバランスが崩れる可能性があります。

食料生産への影響

地球温暖化による気温上昇や異常気象は、世界中の食料生産に大きな影響を及ぼします。例えば、高温や干ばつが続くと、水分不足や土壌の劣化が進み、農作物の生育に悪影響を与えます。また、大雨や洪水で作物が水浸しになり、収穫できなくなるリスクもあります。

さらに、温暖化による海水温の上昇は、漁業資源の移動や、漁獲量の減少にもつながります。これらは食料供給を減少させる要因となり、食料価格の高騰、飢餓や貧困層の拡大、さらには人類の存続にも影響する可能性があります。

地球温暖化は身近の生活にどう影響する?

未来のためのグローバル連携

地球温暖化は私たちの生活に多くの影響を与えており、日常的なものから将来にわたる深刻なものまで多岐にわたります。気温上昇や異常気象がもたらすさまざまな影響は、健康、経済、そして未来の世代に大きな変化をもたらすことが懸念されています。以下では、地球温暖化が私たちの生活に与える影響を見ていきます。

健康への影響

地球温暖化は、私たち人間の健康にも多大な影響を与えつつあります。WHO(世界保健機関)は、2030年から2050年にかけて、気候変動により、栄養不足、マラリア、下痢、暑熱ストレスが原因で年間約25万人の死者が増えると予想しています。

気温上昇と猛暑日の増加により、熱中症や心臓病、呼吸器疾患のリスクが高まります。特に高齢者や子ども、慢性疾患などを抱える人々は暑さに対する耐性が低く、より深刻な影響を受けることが懸念されます。

さらに、温暖化により異常気象が増えることで、感染症のリスクも高まると考えられています。熱帯地方で流行するデング熱やマラリアなどを媒介する蚊の分布が広がり、熱帯地方以外でもこれらの感染症が拡大する可能性があります。

経済の影響

温暖化は経済にも深刻な影響を及ぼします。気温上昇や異常気象が頻発することで、農作物の収穫量が減少し、食料供給が不安定になると、食料価格が高騰する可能性があり、特に貧困層にとっては生活が一層困難になるでしょう。

また、自然災害が増加することで、保険料の上昇やインフラの損傷が発生し、企業や政府の財政にも大きな負担がかかります。例えば、洪水や台風などの災害によって、工場や事業所が閉鎖されると、経済全体への影響が拡大します。

将来世代への影響

地球温暖化の進行に歯止めをかけられなければ、気温上昇や海面上昇、異常気象の影響がさらに深刻化し、将来世代はこれらの問題を解決するための膨大なコストを負うことになります。現時点で温暖化を抑制する努力を怠れば、将来世代が人間として豊かに暮らせる環境はますます遠のいてしまうといえます。

また、温暖化が進むことで、社会的・経済的格差が拡大する恐れがあります。環境難民(気候変動や環境破壊により居住地を離れなければならなくなった人々)が増加し、政治的不安や社会的な対立が強まる可能性もあります。これらの問題に対応するためには、国際的な協力と長期的な視点での取り組みが必要です。

地球温暖化の影響を最小限に抑えるために私たちができること

地球温暖化を防ぐために個人ができること

地球温暖化を抑制するために、私たち一人ひとりが日常生活からできる取り組みもあります。たとえ小さな行動であっても、地域から日本全体、そして世界に広がっていくことで、大きな変化をもたらすことが可能です。

省エネルギー

省エネ家電の使用や、不要な電気の消灯など、エネルギーの節約は誰でもすぐに始められるアクションです。例えば、エアコンの設定温度を1℃調整するだけでも省エネ効果があり、冷蔵庫も定期的に掃除して適切な温度に設定することで効率よく運転させることができます。エアコンや冷蔵庫、照明など、まずは家電の使用状況に意識を向けてみることが、エネルギーの無駄を減らす第一歩となります。

エコライフ

移動手段の見直しやエコカーへの切り替えは地球温暖化の防止に効果的です。公共交通機関や自転車を使ったり、エコカーを利用したりすることでCO₂の排出量を抑えられます。食生活では地元産の旬な食材を選ぶことで、食材の生産・輸送・保存にかかるエネルギーを抑えることができます。

3R+Renewable

ごみの分別を徹底し、リサイクル可能な資源を適切に処理することも大切です。3R(リデュース・リユース・リサイクル)を実践することで、廃棄物の削減につながります。また、現在はこの3RにRenewable(リニューアブル)という概念、つまり石油という枯渇性資源からバイオマスなど再生可能資源に切り替えていくことでカーボンニュートラル社会を実現しようという考えを加え、「3R+Renewable」により資源循環と地球温暖化防止への取り組みも推進されています。

環境教育と啓発

地球温暖化についての理解を深め、周囲に広めることも重要です。地球温暖化の現状を知り、環境に関する情報を共有すること自体が、地球温暖化防止のための第一歩にもなります。情報の収集と共有の輪を広げることで、さらに自身の理解を深めながら、身近な人々と一緒に取り組みを進めることもできます。

このように個人でできる地球温暖化防止策は身近なところにあります。私たち一人ひとりの小さな行動が積み重なれば、大きな変化を生み出すことができます。未来に向けて皆さんが踏み出す一歩が、地球温暖化を食い止める大きな鍵を握っています。

※地球温暖化の個人の取り組みについては、「地球温暖化防止に向けて私たちにできることは?身近な対策を紹介」にて詳しく解説しています。

三井化学では、「世界を素(もと)から変えていく」というスローガンのもと、
バイオマスでカーボンニュートラルを目指す「BePLAYER®」、リサイクルでサーキュラーエコノミーを目指す「RePLAYER®」という取り組みを推進し、リジェネラティブ(再生的)な社会の実現を目指しています。カーボンニュートラルや循環型社会への対応を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

「BePLAYER®」「RePLAYER®」https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/index.htm

<公開資料:カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー関連>https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/whitepaper/

参考資料
*1:WWFジャパン「地球温暖化による野生生物への影響」:
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/286.html
*2:国土交通省白書2022「気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化」:
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r03/hakusho/r04/html/nj010000.html
*3:公益社団法人日本WHO協会「気候変動」:
https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/climate-change-and-health/
*4:気象庁「気候変動監視レポート2023」:
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/monitor/2023/pdf/ccmr2023_all.pdf

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