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LCAを学ぼう!だれでもわかる、ビジネスに活かすライフサイクルアセスメント

LCA会話型コンテンツ_サムネイル 軽量化済み

製品やサービスの環境負荷を「ゆりかごから墓場まで」評価するライフサイクルアセスメント(LCA)。その重要性が高まる中、多くのビジネスパーソンにとってはまだ馴染みの薄い概念かもしれません。本コンテンツでは、LCAエキスパートと同じ会社に勤める若手女性社員との対話を通じて、LCAの基本から実務での活用まで、わかりやすく解説します。
なぜLCAが今、注目されているのか?企業の持続可能性にどう貢献するのか?実際の導入はどのように進めればいいのか?環境に配慮したビジネス展開に不可欠なLCAの知識を、親しみやすい会話形式でお届けします。これからのビジネスに必要な環境視点を身につけたい方必見のコンテンツです。

登場人物

 
 登場人物三井さん 三井さん:若手女性社員

 登場人物LCAエキスパート エキスパート:同じ会社の研究所に所属するLCA専門家

 

LCAとは

ほほえむ若手社員 最近、「LCA」という言葉をよく耳にするのですが、どういう意味なんでしょうか。エコとかサステナブルって話題で出てくるんですけど・・・。

ほほえむLCAエキスパート そのキーワードによく気が付いたね。LCAとは「ライフサイクルアセスメント」の略で、製品やサービスの環境影響を評価する手法のことなんだ。製品の原料調達から製造、使用、廃棄までの全過程(ライフサイクル全体)で環境に与える影響を定量的に評価することで、環境と非常に関係が深いんだ。

驚く若手社員 そうなんですね!なぜ、そんなことをする必要があるんですか?

ポイントを話すLCAエキスパート LCAを行う主な理由は、製品やサービスの環境負荷を包括的に理解し、改善点を見つけるためなんだ。例えば、ある製品の製造過程での環境負荷は小さくても、使用や廃棄時に大きな環境負荷がかかることがあるんだ。LCAを行うことで、そういった隠れた環境負荷を発見し、製品設計や事業プロセスの改善につなげることができるんだ。

LCAのプロセス

驚く若手社員 なるほど。でも、なんだかLCAを行うのは大変そうですね。

ほほえむLCAエキスパート 確かにそうなんだけど、国際標準化機構(ISO)によって手順が標準化されているんだ。ISO 14040シリーズが、LCAの国際規格となっていて、これに従うことで、誰でも同じ手順でLCAを実施できるんだ。

驚く若手社員 国際規格があるんですね!。具体的にはどんな手順で行うんですか?

ポイントを話すLCAエキスパート LCAは主に4つの段階で構成されているよ。そのプロセスとは、「目的と調査範囲の設定」、「インベントリ分析」、「影響評価」、「解釈」なんだ。それぞれの段階で何をするのか、簡単に説明しよう。

  <LCAのプロセス>
  • 目的と調査範囲の設定
    なぜLCAを行うのか、どの製品やプロセスを対象とするのか、どこまでの範囲を調査するのかを決めます。製品の温室効果ガス排出量を減らすための対策を見つけたいのか、それとも製品の使用後のリサイクルを改善したいのか、目的によって評価の範囲が変わります。何を目的とするのか、ポイントを絞って進めることが重要です。
  • インベントリ分析
    インプットとアウトプットで整理することです。製品のライフサイクル全体で使用される原材料やエネルギーをインプット、排出される物質などのデータをアウトプットデータとして収集し、定量化します。
  • 影響評価
    インベントリ分析で得られたデータを基に、環境への影響を評価します。
    例えば、地球温暖化への寄与度や生態系への影響などを数値化します。
  • 解釈
    計算結果を分析し、環境負荷の大きい部分や改善可能な点を特定し、提言をまとめたり、マーケティングなどに活かします。

ライフサイクルアセスメントの説明出典:日本化学工業協会「ライフサイクルアセスメント(LCA)-なぜやるの いつやるか」
を参考に三井化学で制作


ほほえむLCAエキスパート これらの段階を経て、製品やサービスの環境影響を総合的に評価するんだ。

LCA活用目的と意義

驚く若手社員 なんとなくわかったような・・・。でも、そんなに詳しいデータって本当に集められるんですか?

ポイントを話すLCAエキスパート 確かに、これらすべての実際の1次データを自社で収集するのは大変なんだ。そこで、多くの場合、LCAデータベースを利用することになる。これらの2次データベースには、いろいろな原材料や製造プロセスの標準的な環境負荷データが格納されているんだ。日本では、国立研究開発法人 産業技術総合研究所が開発した「IDEA」というデータベースがよく使われているよ。

ほほえむ若手社員 なるほど。LCAの結果って、どう活用されるんですか?

ポイントを話すLCAエキスパート 例えば、製品設計の改善、製造プロセスの効率化、環境負荷の少ない原材料の選択などに役立つんだ。また、環境ラベルの取得や環境報告書の作成にも使われる。さらに、生活者向けの情報提供にも活用されることもあるんだ。

驚く若手社員 へえ、幅広く使えるんですね。LCAはどの程度、完璧な方法なんですか?

ポイントを話すLCAエキスパート LCAはとても有効なツールでけど、完全ではなくて、いくつか課題もあるんだ。例えば、データの質と量の問題があって、すべての過程で正確なデータを得るのは難しいこと。また、影響評価の方法にも様々なものがあり、どの方法を選択するかで結果が変わることもあったりするんだ。

驚く若手社員 なるほど。課題もあるんですね。それでも、LCAを行う意義はあるんでしょうか。

ポイントを話すLCAエキスパート もちろん。LCAは完全な方法ではないけれど、環境負荷を包括的に評価する上で、現在もっとも有効な手法の1つなんだ。課題を認識しつつ、できる限り正確なデータと適切な評価方法を使用することで、有意義な結果を得ることができる。そして、LCAを通じて得られる知見は、サステナブルな製品設計や開発、企業経営に貢献することになるんだ。

ほほえむ若手社員 そうなんですね!具体的にどんな企業がLCAを活用しているんですか?

ポイントを話すLCAエキスパート 多くの企業がLCAを活用しているよ。例えば、自動車メーカーは車両の製造から使用、廃棄までのライフサイクル全体での環境影響を評価し、より環境負荷の少ない車の開発に役立てているんだ。電機メーカーも家電製品のエネルギー効率向上や、リサイクル性の改善にLCAを活用している。食品業界では、原材料の調達から包装、輸送までの環境負荷を評価し、サステナブルな商品開発に活かしているんだよ。

また、「カーボンフットプリント」は、LCAの考え方を応用して、製品やサービスのライフサイクル全体での温室効果ガス排出量を計算する手法なんだ。ほかにも、水の使用量と汚染に焦点を当てた「ウォーターフットプリント」、人間の活動が地球環境に与える影響を土地面積に換算して評価する「エコロジカルフットプリント」といった評価もあるよ。これらはすべて、LCAの考え方を基礎とし、特定の環境分野に焦点を当てて、その影響度合いを計測しているんだ。


カーボンフットプリントとは、Carbon Footprint of Productsの略称で、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組み。

商品・サービスのライフサイクルとカーボンフットプリントの仕組み出典:サステナブル経営推進機構 「CFPとはを参考に三井化学で制作


驚く若手社員 いろんな評価方法があるんですね。ただ、そんなにたくさんあると混乱しそうです。

ポイントを話すLCAエキスパート 確かにそうだね。でも、これらの手法は互いに補完し合う関係にあるんだ。例えば、LCAで全体の環境影響を評価した後、特に重要と思われるカーボンフットプリントやウォーターフットプリントで詳細に分析する、といった使い方ができるんだ。重要なのは、評価の目的に応じて適切な手法を選択することなんだ。

驚く若手社員 なるほど。私たちの会社でもLCAを導入する予定はあるんですか?

ポイントを話すLCAエキスパート 実は、我が社でもLCAの導入を検討しているところなんだ。環境への配慮は今や企業の社会的責任の一つであり、取り組まないことは企業リスクにもつながることになる。もはや、環境経営を進めないという選択肢はないんだ。LCAを通じて、我々の製品やサービスの環境影響を正確に把握し、改善していくことで、より持続可能なビジネスモデルを構築できるんだ。

笑顔の若手社員 そうなんですね!私に何か協力できることはありますか?

ポイントを話すLCAエキスパート ありがとう。まずは、LCAについてもっと学んでみよう。もうすぐ社内のLCA導入のプロジェクトもスタートするから、その勉強会に参加するのもいいね。新しい視点で貢献してくれることを期待してます。

笑顔の若手社員 わかりました!頑張って勉強します。LCAって、これからますます重要になりそうですね。

ポイントを話すLCAエキスパート その通り。特に、SDGsの達成やパリ協定に基づく温室効果ガス排出削減など、環境や社会課題解決が求められる中、社会の要請として、LCAの重要性は高まっているんだ。企業にとって環境経営の観点から、そして、機関投資家の意思決定にも影響を与えているんだ。

笑顔の若手社員 そうなんですね。私たちの仕事にも関わってくる可能性が高そうですね。これからもっと勉強してみます!ありがとうございました。

三井化学では、「世界を素(もと)から変えていく」というスローガンのもと、
バイオマスでカーボンニュートラルを目指す「BePLAYER®」、リサイクルでサーキュラーエコノミーを目指す「RePLAYER®」という取り組みを推進し、リジェネラティブ(再生的)な社会の実現を目指しています。カーボンニュートラルや循環型社会への対応を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

「BePLAYER®」「RePLAYER®」https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/index.htm

<公開資料:カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー関連>https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/whitepaper/

 

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