暮らしの中のサーキュラーエコノミー
2019年のレジ袋有料化以降、ファストフード店、コーヒーショップのプラスチックストロー廃止、プラスチック包装が紙パックに変わるなど、使い捨てプラスチックを削減する動きが活発になっています。資源を消費し廃棄するだけの一方通行な経済ではなく、廃棄物を減らし、資源を再利用するサーキュラーエコノミー(循環型経済)を目指し定着させるため、わたしたち消費者は今何をするべきなのでしょうか。暮らしの身近なサーキュラーエコノミーシステムを紹介しながら、考えていきましょう。
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2019年のレジ袋有料化以降、ファストフード店、コーヒーショップのプラスチックストロー廃止、プラスチック包装が紙パックに変わるなど、使い捨てプラスチックを削減する動きが活発になっています。資源を消費し廃棄するだけの一方通行な経済ではなく、廃棄物を減らし、資源を再利用するサーキュラーエコノミー(循環型経済)を目指し定着させるため、わたしたち消費者は今何をするべきなのでしょうか。暮らしの身近なサーキュラーエコノミーシステムを紹介しながら、考えていきましょう。
内閣府が2019年に実施したプラスチックごみ問題に関する世論調査では、全体の89%がプラスチックごみ問題に関心があると回答しました。また過剰だと思うプラスチック包装・製品として、「お弁当の小分け容器や飾り」「レジ袋」「通販の包装・緩衝材」「ストロー・かき混ぜ棒」などが多く選択されました。こうした使い捨てプラスチックは、使用後にはごみになってしまうことから、使用量を減らしていくことへの関心の高さが反映された結果だと考えられます。
プラスチックごみ問題への関心度
過剰だと思うプラスチック製容器包装・製品
身の回りでは容器包装、台所用品、家電、自動車・航空機などの分野で様々なプラスチック製品が使われています。食品や飲み物の容器包装は食品の品質を保つことで食品ロスの抑制に役立っており、自動車や鉄道、航空機の分野では、軽量化によって輸送時のエネルギー低減に大きく貢献しています。最近では不織布マスクなども毎日接していますね。プラスチックはガラスや金属などに比べて軽量で、ガスや水分を通さず、加工も簡単で大量生産に向いているといったメリットから、幅広い分野で活用されています。
環境負荷の面で考えても、例えばPETボトルをガラスびんに変えた場合、ガラスびんの方が重いため輸送に必要なエネルギーが大幅に増えてしまいます。原料採取から生産、使用、リサイクル、廃棄までを含めたライフサイクルでの環境負荷を考えた場合、プラスチックを使わないことで環境負荷を高めてしまうケースに注意しなければなりません。
ライフサイクルで環境負荷を考える
出典:プラスチック循環利用協会「プラスチックとリサイクル 8つのはてな」
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf3.pdf
その一方で先のアンケート結果に見られたような、使い捨てプラスチックのごみを減らしていくことへの社会的関心の高まりを受け、「プラスチック新法」が2022年4月から施行されました。商品の販売やサービスに付随して無償で提供される使い捨てプラスチックに関して、スプーンとフォークのほか、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストロー、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシ、衣料用ハンガー、衣類用のカバーの12 品目を「特定プラスチック使用製品」と定め、年間使用量が5トン以上の事業者に、消費者が受け取るかどうかの意思確認と、受け取る場合は有料化、さらに受け取らない人へのポイント還元などの優遇措置、再利用の呼び掛け、あるいは軽量化や代替素材への切り替えを義務化することになりました。
こうした動きを受け、大手コンビニチェーンでは、バイオマスプラスチック素材や木製品への切り替え、プラスチック使用量を削減した製品への切り替えなど、使い捨てプラスチックの使用量削減のため、様々な取り組みが始まっています。
また飲料メーカーでは、PETボトルからフリースやTシャツなどへのカスケードリサイクルではなく、PETボトル to PETボトルの水平リサイクルの取り組みを強化するなど、先進的な取り組みも数多く見られます。さらにその原料もバイオマス化が進むことで、バイオマスが循環する未来の姿が想像されます。
企業による取り組みが進む中で、私たちの生活では、どのような点に気をつけていけばいいのでしょうか。
日本では、家庭から出るごみは自治体によってルールが異なりますが、大別して資源、可燃ごみ、不燃ごみのいずれかに分別されて処理されています。プラスチックに関しては、焼却時のエネルギー回収(サーマルリサイクル)も含めると84%(2018年)が有効利用されているため、まずは自治体ごとのルールに従ってきちんと分別し、風雨や鳥害などによる環境への流出が起こらないようにごみ出しすることが基本です。その上で家庭からの排出だけでなく、お花見やバーベキューなど、屋外でのレクリエーションの際に自然環境へのごみの流出を防ぐため、ごみの持ち帰りを徹底することも重要です。
家庭から出る廃プラスチックの流れ(大型ごみ、家電などを除く)
出典:プラスチック循環利用協会「プラスチックとリサイクル 8つのはてな」
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf3.pdf
中でもPETボトルでは、日本は88.5%(2021年度)という世界最高のリサイクル率を誇っています。欧州では39.6%(2019年度)、米国では18.0%(2020年度)に過ぎず、日本のPETボトル回収~リサイクルのシステムは飛びぬけて優秀という事ができます。PETボトルをきちんと分別してごみ出しすることによって、こうした優れたシステムを活用してリサイクルし、環境に貢献することができるのです。
さらにスーパーや家電量販店で実施されている白色トレイやPETボトル、電池、使用済みインクカートリッジなどの個別回収も、各実施企業が行う確実なリサイクルに貢献することができるため、積極的に協力していきたいですね。
また新しい試みのひとつとして、使い捨てされていた洗剤やシャンプーなどの日用消耗品や食品などのこれまで使い捨てられていた容器や商品パッケージを、耐久性の高い素材に変え、繰り返し利用を可能にする新たな商品提供システム「Loop(ループ)」(テラサイクル社)にイオンが積極的に取り組んでいます。利用者は他の商品と同じように対象製品を購入し、使用後に所定の返却場所へ返却すると、Loopが回収・洗浄し、再度商品が充填され店舗に並ぶことになります。消費者にとってはスマートフォンアプリを通じて容器代が返金されるという仕組みで、今後こうした新しいシステムの利用が広がり、使い捨てプラスチックの削減につながっていくことが期待されます。
三井化学では、「世界を素(もと)から変えていく」というスローガンのもと、バイオマスでカーボンニュートラルと目指す「BePLAYER®」、リサイクルでサーキュラーエコノミーを目指す「RePLAYER®」という取り組みを推進し、リジェネラティブ(再生的)な社会の実現を目指しています。カーボンニュートラルや循環型社会への対応を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。 <「BePLAYER®」「RePLAYER®」>https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/index.htm |
"Sustainable Challenge for Packaging"をコンセプトに、三井化学グループの環境配慮型包材の概要を、リサイク、リニューアブル(再生可能)のカテゴリーでご紹介した資料です。
このホワイトペーパーでは、環境への配慮(環境価値)を製品・サービスの価値に結びつけ、ブランドの価値も向上させている企業の11事例を紹介しています。環境価値の製品価値への組み込み・ブランド価値向上に向けたヒントを得るための事例集として活用いただけると幸いです。
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