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資源のリサイクル

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大量生産、大量消費社会を経て、持続可能な社会への変革が求められています。持続可能な社会へ向けて、資源のリサイクルは重要なテーマです。古くからの代表的な工業素材でリサイクルが産業化されている鉄鋼、アルミ、紙、そして比較的新しい素材であるプラスチックの資源循環について概観しながら、リサイクルにおける様々な課題について考えていきましょう。

鉄鋼のリサイクルは「循環型社会のトップランナー」

鉄鋼はごみ焼却灰の中からでも磁力選別を使って簡単に選別できることや、酸素吹込みのような簡単な精錬で不純物を除去でき、新造品と変わらない製品を作り出せることから、何度でもリサイクルすることができる資源です。2017年度の国内の粗鋼生産量1億484万トンのうち、24%にあたる2,559万トンが電炉でリサイクルされた再生材です。身近な鉄鋼製品であるスチール缶のリサイクル率は、2004年に87%だったのが2020年度には94%に達しています。スチール缶をはじめとする鉄鋼製品は各地の製鉄所を中核としたマテリアルリサイクルのチェーンが収益性のある産業として確立しており、「循環型社会のトップランナー」と言われるほどです。

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鉄鋼製品はこのようにリサイクルに関しては非常に優秀である一方、鉄鉱石を還元して新たに鉄を作る高炉プロセスで大量の二酸化炭素を排出することが課題となっており、水素による二酸化炭素を排出しない還元技術などのイノベーションが模索されています。また現在は高炉還元剤としてプラスチックの代表的リサイクル製品であるRPF(固形燃料)が活用されていますが、高炉プロセスのカーボンニュートラル化が進展する中で、今後は固形燃料にもカーボンニュートラル性が求められる可能性があります。

アルミニウムのリサイクルはアルミ缶で94%

アルミニウムの場合、製錬に大量の電力を使うことから、2度のオイルショックを経てエネルギー価格が高騰した日本では1990年代以降、ボーキサイトから製錬する新地金の国内生産は減少し、現在では100%海外から輸入するようになりました。アルミ缶やスクラップから再生地金を作るときに必要な電力は原料となるボーキサイトからの製錬で新地金を作るときに比べ、わずか3%で済むため、国内ではより省エネルギー性の高い再生地金の生産が中心となっています。2020年に国内消費された地金327万トンに対して、国内生産の再生地金は37%にあたる122万トン、輸入される再生地金が17%の57万トンと、再生地金が全体の55%を占めています。
他の元素と化合しやすい性質を持つアルミは不純物を除去することが難しく、鉄に比べてリサイクルしにくいといわれますが、家庭、町内会、学校、小売店、事業所からのきめ細かい分別回収システムやリサイクル技術の向上によって、代表的な製品であるアルミ缶では2020年度94.0%と、極めて高いリサイクル率を誇ります(缶以外の用途や海外輸出を含む数値。アルミ缶からアルミ缶を再生するCAN To CANの再生率は71.0%)。

img_learn10_02出典:アルミ缶リサイクル協会
http://www.alumi-can.or.jp/publics/index/98/

紙のリサイクルは回収率80%以上、利用率は66%

紙は木材を原料とするパルプから作られるため、リサイクルを進める上で森林資源保護の観点が重視され、1970年代からリサイクルへの取り組みが強化されてきました。現在では木材=バイオマス資源であることから、カーボンニュートラルの視点で容器・包装への利用が見直されています。紙類は新聞、ダンボール、雑誌、飲料用紙パックなど製品の種類が多く、リサイクルに際しては、品質や特徴に応じた種類ごとの分別・回収が重要となります。日本における古紙の回収率は1970年に40%だったものが現在では80%を超えており、回収古紙の利用率は66%に達しています。

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出典:(公財)古紙再生促進センター
http://www.prpc.or.jp/recycle/waste_paper/

品質の高いリサイクル製品を作るために、製紙原料となる回収古紙に混ぜてはいけない禁忌品が多い点が紙のリサイクルの特徴です。ピザの箱など食品残渣のついたもの、紙コップなど防水加工されたもの、ワックス等でコーティングされたものなどは、分別の際に回収古紙に混入しないように注意しなければなりません。しかしこうした問題をクリアしている日本の回収古紙は世界的に品質が評価され、回収古紙のうち20%が輸出されて海外で消費されています。

プラスチック資源リサイクルの現状

プラスチックには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PET樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル、ナイロン、ポリカーボネート、フェノール、メラミン、ポリウレタン、エポキシなど、身近に使われているものだけでも20種類以上の性質も用途も異なるプラスチックが含まれているので、原料としてリサイクルするためには、それぞれの素材ごとに集めて処理する必要があり、鉄やアルミのように一筋縄ではリサイクルすることができません。
そんななかでも飲料などの容器として使われるPETボトルは、プラスチック製品の中で最もリサイクルが進んでおり、日本は88.5%(2021年度)という世界最高のリサイクル率を誇っています。欧州全体では39.6%(2019年度)、米国では18.0%(2020年度)ですから、日本は飛びぬけて優秀といえます。
PETボトルのリサイクルがこれほど進んでいるのは、平成7年(1995年)に制定され同12年(2000年)に全面施行された「容器包装リサイクル法」に合わせ、製品の製造・販売を行う関係業界と、分別・回収を担う市町村・消費者が協力して、20年以上の時間をかけてリサイクルシステムを構築・発展させてきた成果といえます。PETボトルは、自主基準により無色透明で着色しないようなルールが形成されています。ラベルやキャップを取り除けばPET樹脂という単一素材でできており、使用後の汚れも少ないため簡単な処理でフレークやペレットなどのリサイクル原料に加工することができます。リサイクル原料の用途も、新たな飲料用PETボトル(ボトルtoボトル)に加え、繊維製品(フリースやTシャツなどの服、自動車内装材、カーペットなど)、シート製品(食品用トレイ、卵パック、ブリスターパックなど)、成型製品(結束バンド、建築用材など)など多様な製品に利用されています。
しかし他のプラスチックでは製品形態も使用状況も多種多様で単一素材の分別回収が難しいため、プラスチックを溶かして原料として使うマテリアルリサイクルがPETボトルほど進んでおらず、色々なプラスチックが混合した状態から油化、高炉還元化、コークス炉化学原料化、ガス化などのケミカルリサイクル、RPF(固形燃料)化や他のごみとともに焼却するエネルギー回収(サーマルリサイクル)などが行われています。2019年におけるプラスチック全体のリサイクル手法は、マテリアルリサイクルが22%、ケミカルリサイクルが3%、エネルギー回収が60%、未利用が15%となっています。

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出典:(一財)プラスチック循環利用協会
https://www.pwmi.jp/library/26.html

資源リサイクルの課題

鉄鋼のようにリサイクルしやすい性質の素材や、アルミのようにリサイクルの方がはるかに経済的な素材では、リサイクルは産業として自立できるだけの経済的合理性があるために、古くからリサイクルが進んできました。古紙の場合では、回収率は高いものの、再生しきれない部分も多いため、リサイクルは製品の種類ごとに複雑なシステムで行われています。いずれの分野でもリサイクル産業は50年以上の長い時間をかけて成熟してきました。
しかし素材自体の歴史が浅いためリサイクルへの取り組みの歴史も浅いプラスチックでは、単一製品で強力なリサイクルシステムが構築されているPETボトルを除けば、リサイクル手法ごとに多くの課題を抱えています。これについては別稿で解説していきます。

 

三井化学では、「世界を素(もと)から変えていく」というスローガンのもと、バイオマスでカーボンニュートラルと目指す「BePLAYER®」、リサイクルでサーキュラーエコノミーを目指す「RePLAYER®」という取り組みを推進し、リジェネラティブ(再生的)な社会の実現を目指しています。カーボンニュートラルや循環型社会への対応を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

「BePLAYER®」「RePLAYER®」https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/index.htm

<公開資料:カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー関連>https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/whitepaper/ 

 

 

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