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廃プラスチックのリサイクルとは?3つの方法と企業の取り組み事例

一般社団法人プラスチック循環利用協会によると、2023年に廃棄されたプラスチックの量は769万tで、そのうち有効利用された量は688万tです。有効利用率は約9割と高い水準にある一方で、「量」だけでなく、より環境負荷が低く資源価値を維持できる手法(マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル)への転換も重要なテーマとなっています。また、法規制の強化などにより、企業にはより高度なプラスチック資源循環が求められています。
今回の記事では、廃プラスチックリサイクルの基本知識から、マテリアル・ケミカル・サーマルの3つのリサイクル手法について、メリット・デメリットや活用事例を解説します。
廃プラスチックのリサイクルとは?企業に求められる理由
廃プラスチックとは、使用後に廃棄されたプラスチックを指します。廃プラスチックには大きく2種類あり、1つは私たちが生活のなかで使用して廃棄するペットボトル、レジ袋、カップラーメンや弁当の容器などの「一般廃プラスチック」。そしてもう1つが、製造・加工・流通などの事業活動の過程で発生する「産業廃プラスチック」です。
<廃プラの資源循環状況>
出典:一般社団法人 プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基本知識2025」p.7
廃プラスチックの排出量は、近年、年間約800万t前後で推移しており、その処理方法や有効利用が課題となっています。従来、廃プラスチックは、中国や台湾、東南アジア諸国へと輸出されていましたが、各国が輸入禁止や規制を始めたことで、国内で完結する処理が必要になりました。
また、これまで廃プラスチックの国内処理はサーマルリサイクルに頼る割合が大きかったものの、この方法では焼却に伴いCO₂が排出されます。そのため、今後はマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルを優先させることで、資源を有効利用し、環境負荷を低減しながら処理していくことが求められています。
さらに、2022年4月より新たに「プラスチック資源循環法(プラ新法)」が施行され、基本方針として企業は次の4つの行動が求められるようになりました。
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3つめの「自ら製造・販売したプラスチック使用製品の自主回収・再資源化を率先して行う」で示されているように、製造・販売企業が自ら積極的にリサイクルを推進するための仕組みや技術を投入していくことが求められています。
この法律により、事業者はプラスチック製品の設計から廃棄に至るまでの全工程で資源循環を意識することが義務付けられました。
※廃プラスチックについては「廃プラとは?廃プラスチックが抱える課題と課題解決のための取り組みをわかりやすく解説」にて詳しく解説しています。
3つのリサイクル方法の特徴とメリット・デメリット
廃プラスチックのリサイクル手法は、その処理プロセスによって「マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つに大別されます。
マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)
マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)とは、廃プラスチックを物理的処理(洗浄、選別、粉砕、溶融し粒状にするペレット化)によりプラスチック製品の原料として再利用する方法です。
メリット・デメリット
CO₂の排出量削減や天然資源の消費抑制といったメリットがあります。一方、プラスチックに含まれる汚れや不純物を除去する手間がかかる点や、マテリアルリサイクルを繰り返すことでプラスチックの品質が低下する可能性がある点などのデメリットもあります。
主な再資源化製品・用途
作業着、ベンチ、建築資材、繊維、シート、ボトル、文具など
※マテリアルリサイクルについては、「マテリアルリサイクルとは?具体例や現状の課題_これからのリサイクルについて解説」にて詳しく解説しています。
ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルとは、廃プラスチックを化学的に分解して化学製品の原料として再利用する方法です。
メリット・デメリット
マテリアルリサイクルでは処理が難しい、汚れが付着したプラスチックや複数の素材が組み合わさった複合プラスチックでも処理できる点がメリットです。分子レベルまで戻すため、出来上がるプラスチックの品質はバージン材(新品)と遜色ありません。これにより、食品容器などの衛生面が重視される製品への再利用も可能になります。
ただし、処理には高度な技術と大規模なプラントを要するため、コスト面が課題となります。
主な再資源化製品・用途
鉄を作るときの還元剤、化学製品の原料、ガス、油など
※ケミカルリサイクルについては、「ケミカルリサイクルとは?メリットや課題について解説」にて詳しく解説しています。
サーマルリサイクル
サーマルリサイクルは、廃プラスチックをそのまま、あるいは固形燃料(RPFなど)に加工して焼却し、その際に発生する熱エネルギーを回収して利用する方法です。
メリット・デメリット
他の2つの手法では再生が不可能な汚れの激しいプラスチックや、分別の難しい混合廃棄物でも処理できる点がメリットです。日本では最も普及しています。
しかし、焼却に伴いCO₂が排出されるため、カーボンニュートラルの実現に向けて、より環境負荷の低い手法への転換が求められています。
主な再資源化製品・用途
固形燃料、原燃料、温水(プール、浴場)、暖房、電気など
※ケミカルリサイクルについては、「サーマルリサイクルとは?メリットや課題、持続可能な社会に向けて新たな取り組みを解説」にて詳しく解説しています。
廃プラスチックの再利用や活用事例
廃プラスチックを再び資源として有効活用するためには、プラスチックの状態や汚れの度合い、そして最終的な成果物に応じて、最適な手法を選択することが重要です。
「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つの手法について、それぞれの代表的な手法や具体的な活用事例を紹介します
<プラスチックのリサイクル手法と成果物>
出典:一般社団法人 プラスチック循環利用協会「プラスチックとリサイクル 8つのはてな」P.10
マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)の代表例
マテリアルリサイクル方法は大きく2つに分けられます。
① 水平リサイクル(レベルマテリアルリサイクル)
水平リサイクルは、廃棄物を同じ製品の原材料として再利用するリサイクル方法です。
例えば、プラスチックの水平リサイクルで、最もポピュラーなのは「ボトルtoボトル」水平リサイクルです。
これは、使用済みペットボトルを再びペットボトルに再生する手法で、資源を循環させ続けることが可能になります。
※「ボトルtoボトル」水平リサイクルについては、「ペットボトルの100%サステナブル化に向けたサントリーの挑戦」にてサントリーホールディングス株式会社の取り組みを紹介しています。
② カスケードリサイクル(ダウンマテリアルリサイクル)
カスケードリサイクルは、リサイクル前の製品から品質を下げたものにリサイクルする方法です。「カスケード」とは、日本語では「滝」を意味する言葉で、滝が流れ落ちていくように別の製品に段階的にリサイクルすることをイメージして名付けられています。
例えば、ペットボトルから食品用トレイや卵パック、洗剤用ボトルなどがあげられます。
水平リサイクルは高度な品質管理が求められますが、カスケードリサイクルは比較的幅広い廃プラスチックを受け入れられるメリットがあります。
回収されたプラスチックを物流用パレットや建築資材に加工するケースが一般的です。
ケミカルリサイクルの代表例
ケミカルリサイクルの技術は、大きく分けて5つあります。
① 油化
油化は、廃プラスチックを酸素のない環境で熱分解し、ナフサや他の化学原料に生成し直す(油に戻す)方法です。ナフサから生成されるエチレンやプロピレンは、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)といった新しいプラスチック製品の原料となります。
※マテリアルリサイクルに適さない廃プラスチックを独自手法でケミカルリサイクルする油化装置の技術については、「マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの両輪で循環経済の実現を目指す」にて、株式会社CFPの取り組みを紹介しています。
② ガス化
ガス化は、プラスチックを一度、熱で分解して水素や一酸化炭素などのガスにする方法です。廃プラスチックの中でさまざまな種類のプラスチックが混合していても分解できます。また、酸素を遮断した状態(または調整された状態)で熱分解を行うため、直接燃焼によるCO₂排出を抑制できる点が特徴です。
③ コークス炉化学原料化
コークス炉化学原料化は、廃プラスチックを蒸し焼きにして、コークスや炭化水素、コークス炉ガスを作る方法です。コークスは燃やしたときに出るエネルギーが大きく、製鉄所の高炉の燃料や還元剤として使われます。
④ 高炉原料化
高炉原料化は、高炉において廃プラスチックに含まれる炭素と水素を還元剤として利用し、従来還元剤として使用されているコークス(石炭)を代替することで、資源節約とCO₂削減を実現する技術です。
⑤ 原料・モノマー化
原料・モノマー化は、廃プラスチックを化学的に分解(解重合)し、原料の「モノマー」に戻す方法です。分解によって不純物を取り除けるため、再び新品同様のプラスチックとして同じ製品に何度もリサイクルでき、石油資源の節約につながります。
サーマルリサイクルの代表例
サーマルリサイクルの事例として最も身近なのは、ごみ焼却施設での余熱利用です。焼却時に発生する蒸気を利用して発電を行い、施設内の電力を賄うだけでなく、近隣の公共施設へ電力を供給するケースも多く見られます。また、廃プラスチックを固形化したRPF燃料は、石炭の代替燃料として製紙工場などで活用されています。
サーマルリサイクルは焼却時のCO₂排出が課題です。あくまでもエネルギー回収にとどまり、「原料としての資源循環」にはなりません。
このため、熱回収が避けられない場合は、化石燃料由来のプラスチックを燃やすのではなく、大気中のCO₂を増やさない「バイオマスプラスチック」への転換を進め、その廃棄過程で熱回収を行うことが推奨されています。
三井化学はサーキュラーエコノミー実現のためにリサイクルを推進しています
近年、廃プラスチックの有効利用率は上昇しているものの、いまだにリサイクルされずに排出されてしまう廃プラスチックが多く、地球環境問題としても大きな課題となっています。そこで、廃プラスチックを原料として再利用することで資源の循環率を高めるために、さまざまな企業が「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つのリサイクルに取り組んでいます。
三井化学では、サーキュラーエコノミー実現のために「RePLAYER®」という取り組みのもと、リサイクル推進に取り組んでおり、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルを駆使し、廃プラスチック削減に向けて行動しています。
廃プラスチック削減や循環型社会への対応を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
持続可能な社会に向けて行動する「BePLAYER®」「RePLAYER®」はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=iLKmKUbMMvU
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- 参考資料
- *1:一般社団法人プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基本知識2025」:
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf - *2:一般社団法人プラスチック循環利用協会 プラスチックのはてな「ケミカルリサイクル」:
https://www.pwmi.jp/library/library-494/ - *3:一般社団法人プラスチック循環利用協会「プラスチックとリサイクル8つの『はてな 』」:
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf3.pdf