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プラスチックの原料「ナフサ」とは?プラスチックの種類や課題と、プラスチックのこれからも解説

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プラスチックはレジ袋や文房具、自動車、家電、パッケージ、衛生用品など、さまざまな製品に利用されており、いまや人々の生活に欠かせない素材です。プラスチックの原料には、原油を精製した際に得られる「ナフサ」が使われていますが、地球環境の観点からは課題もあります。

そこで本記事では、ナフサの概要やプラスチックができる仕組みを紹介したうえで、プラスチックの種類、これからのプラスチックの課題解決に重要なナフサのバイオマス化についても解説します。

プラスチックの原料となる「ナフサ」とは

多くのプラスチックでは、主原料にナフサと呼ばれる炭化水素(炭素と水素からなる化合物)が用いられています。ナフサとは、原油を蒸留・分離した際に得られる石油製品のひとつで、さらに熱分解を進めることでさまざまな基礎化学品を取り出すことができます。

ナフサは「粗製ガソリン」とも呼ばれ、文字通りガソリンを取る際に出てくる副産物のようなものですが、キャンプ好きにはホワイトガソリンの愛称で知られ、ランタンやバーナーなどで使用するため、なじみのあるものです。ナフサの状態で海外から輸入するケースもあれば、原油を海外から輸入して、国内でナフサを作るケースもあります。

ナフサを使ってプラスチックができる仕組み

ナフサを用いてプラスチック製品が作られるまでの仕組みを、流れに沿って紹介します。

1.原油を精製する

まずは、油田から採取された原油を、石油精製工場の蒸留塔で熱します。その際、沸点の違いを利用して、ガソリン、ナフサ、軽油、灯油、ジェット燃料、重油、アスファルトなどの石油製品に分離します。例を挙げると、ナフサの沸点は30180度、重油・アスファルトの沸点は350度以上です。

資源エネルギー庁の「令和3年度(2021年度)におけるエネルギー需給実績(確報)」によると、2021年度の石油製品生産量に対するナフサの割合は8.0%となっています。ちなみに、同年度の石油製品生産量のうち、最も割合が高いのはガソリンの26.9%になります。

2.ナフサからプラスチック原料を作る

次に、ナフサクラッカーという設備で、ナフサを約850度で熱分解し、気体にします。その気体の蒸留を繰り返すことで、成分の重さごとに分類して、エチレンやプロピレン、ブタジエンなどの基礎化学品を取り出します。

続いて、石油化学誘導品工場にて、基礎化学品を原料として、様々な化学品やプラスチックを作っていきます。例えば、エチレンやプロピレンを原料として、重合と呼ばれる分子結合を行うことで、ポリエチレンやポリプロピレンというプラスチックが作られていきます。ポリエチレンはレジ袋や包装材、シャンプーや洗剤の容器などに、ポリプロピレンは自動車部品や家電製品、包装用のフィルムなどに、使用されます。

3.プラスチック原料から製品を作る(熱可塑性プラスチックの場合)

プラスチック原料は、運搬・保管・加工を行いやすいように、約35mmの粒状(ペレット)になっていることが多いです。そのペレットからプラスチック製品を作る流れは、成形機にペレットを入れて、熱して溶かし、金型に流し込み、冷却すれば金型通りの形のプラスチック製品が完成するというものです。バレンタインデーにチョコレートを手作りするのと同じですね。

なお、製品の利用後のリサイクルの観点も重要です。プラスチックのリサイクル方法には、「サーマルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「マテリアルリサイクル」の3種類があります。

  • サーマルリサイクル

廃プラスチックを焼却して発生した熱を、発電や熱源に利用するリサイクル方法。

  • ケミカルリサイクル

廃プラスチックを化学的に分解して、プラスチックの原料として再利用するリサイクル方法。
廃プラスチックを熱分解により油に戻して化学品の原料として再利用する「油化」や、廃プラスチックを分子レベルまで分解してガス化し、化学品などの原料として再利用する「ガス化」などの手法がある。

  • マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)

廃プラスチックを破砕・洗浄などの処理を行った後、プラスチックの原料として再利用するリサイクル方法。プラスチック製品の製造工程で発生した廃プラスチックは、コンテナやベンチ、土木シートなどさまざまな製品にリサイクルされている。

上述のとおり、ひと口にリサイクル方法といってもさまざまな方法があります。

プラスチックにはどのような種類がある?

プラスチックの種類について、大きく2つに分けて紹介します。

熱可塑性プラスチック

先述した熱可塑性プラスチックとは、加熱すると溶けて軟化し、冷却すると固くなる性質のプラスチックで、加工しやすく、またリサイクルできることが特徴です。耐熱性のレベルに応じて、汎用(はんよう)プラスチック、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンプラと3つに大別できます。

身近な製品に使われている汎用プラスチックを例に挙げると、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などがあります。なかでもポリエチレンは、油や薬品に強く加工しやすいのが特徴です。そのため、日用品に多く用いられ、人々の生活に深く浸透しています。

熱硬化性プラスチック

熱硬化性プラスチックは、加熱すると次第に硬化して形状が固まり、再度加熱しても溶けません。そのため再成形ができないプラスチックで、耐熱性や耐薬品性にとても優れていることが特徴です。主な種類としては、ポリウレタンやシリコーン樹脂、メラミン樹脂などが該当し、電気部品や機械部品、自動車塗料などに使われます。

これからのプラスチックはどうなる?課題と解決策について

ここからは、化石資源である石油由来のナフサを原料とするプラスチックが抱えている環境に対する課題と、その解決策となるバイオマスプラスチックについて見ていきましょう。

プラスチックが抱える環境課題

プラスチックのライフサイクルにおいては、石油の採掘・運搬からナフサの精製、ナフサからプラスチックを製造する過程でエネルギーが必要となるため、二酸化炭素が発生します。また、炭化水素を主成分とする原油は、地中で炭素を固定化していたものです。よって、原油を新たに掘り起こして製造された石油製品であるプラスチックを燃やすことで、プラスチックに含まれる炭素分が酸素と結合して二酸化炭素となり、大気中の二酸化炭素が増えることになります。

二酸化炭素などの温室効果ガス(GHG)排出による地球温暖化への影響は、世界的に深刻な課題となっています。

バイオマスプラスチックが課題解決の鍵

バイオマスプラスチックとは、生物(植物や動物)由来の再生可能な有機資源(バイオマス)を原料とするプラスチックです。バイオマス資源は、従来のプラスチックの原料である化石資源と比べて、短いサイクルで再生産できる、つまり、再生可能で持続的に使えるという特徴があります。バイオマスプラスチックに含まれる炭素分は、原料となるバイオマスがその成長過程において大気中の二酸化炭素を固定したものです。そのため、焼却した場合に排出される二酸化炭素は大気中に戻っただけであり、大気中の二酸化炭素は増減しない「ニュートラル」な状態と捉えられます。

バイオマスプラスチックは、通常のプラスチックに比べて二酸化炭素の排出量を抑えられるため、カーボンニュートラルの達成に貢献します。また、限りある化石資源の使用量削減につながるのです。

三井化学は、環境に配慮したバイオマスプラスチックの普及を進めています

石油から得られるナフサは、ポリエチレンやポリプロピレンをはじめ、多くのプラスチック製品に欠かせない原料です。ただし、化石資源であることや、ライフサイクルにおいて二酸化炭素を放出することなど、いくつかの環境課題もあります。

そこで、環境に配慮した製品作りを目指す人たちに大きな注目を集めているのがバイオマスプラスチックです。

三井化学では、使用済みの植物油などの廃食油から作られたバイオマスナフサ(バイオマス由来の炭化水素)を原料にプラスチック素材を生み出し、社会のバイオマス化を推進しています。

詳しく知りたいという企業担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。持続可能な社会に向けて行動する「RePLAYER®」「BePLAYER®」はこちら

 


<公開資料:カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー関連>
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/whitepaper/ 

 

参考資料
*1:カーボンニュートラルで環境にやさしいプラスチックを目指して(前編)|経済産業省 資源エネルギー庁:
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/plastics_01.html

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