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二酸化炭素を減らす方法とは?家庭や社会全体でできる取り組み

二酸化炭素排出量削減のステップ
地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素(CO₂)は、私たちが日々使う電気やガス、自動車の利用、製品の製造・廃棄といったさまざまな生活や経済活動の中で排出されています。現在、地球温暖化対策として、国際社会・国・自治体・企業などあらゆるレベルで二酸化炭素を減らす取り組みが進められています。
今回の記事では、なぜ今二酸化炭素削減が必要なのかを改めて確認し、今日からできる削減対策として、個人・家庭での工夫から、企業・産業界の先進的な取り組み、国や社会全体での施策まで、具体的に紹介します。

なぜ今、二酸化炭素を減らす必要があるのか?

急増した二酸化炭素と地球温暖化の関係

GOSATによる二酸化炭素の全大気平均のうどとその年増加量

出典: 環境省「地球全体の二酸化炭素濃度の年増加量が過去14年間で最大に ~いぶき(GOSAT)による2024年の観測速報~」

産業革命以降、人類は石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を大量に使用するようになりました。化石燃料を燃焼する際に、二酸化炭素(CO₂)が多く排出されます。その結果、大気中の二酸化炭素の平均濃度は、産業革命前と比べて2022年時点で約50%も増加しています。環境省、国立環境研究所、JAXAが共同で開発・運用する温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測によると、2024年にはCO₂濃度が過去最高値を記録しました。

地球の表面は、太陽から届くエネルギーによって暖められています。この熱は、赤外線として宇宙空間へ放出されますが、大気中に含まれる温室効果ガスがその一部を吸収し、再び地表へ放射することで、地球に熱をとどめる役割を果たしています。この仕組みが「温室効果」と呼ばれるものであり、地球の平均気温を約14℃に保ち、生物が生きられる環境を維持しています。

本来は生命を守るはずの温室効果ですが、その働きが強くなりすぎると問題が発生します。特に、産業革命以降の人間活動によって大気中の二酸化炭素の濃度が急激に上昇したことで、宇宙へ逃げるはずだった熱が過剰に地表にとどまり、地球の平均気温が上昇しています。この現象が、私たちが現在直面している地球温暖化です。

二酸化炭素排出量がもたらす影響

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書(2013~2014年)によると、陸地と海洋を含めた世界の平均地上気温は、1880年から2012年の間に約0.85℃上昇しました。また、過去30年間の各10年間の平均気温はいずれも1850年以降で最も高い水準を記録しており、地球温暖化が継続的に進んでいることが明らかになっています。

このような背景から、二酸化炭素の排出を削減することは、地球温暖化の進行を抑えるための重要な対策となっています。地球温暖化によって引き起こされる気候変動は、猛暑や豪雨、干ばつなどの極端な気象現象を頻発させ、私たちの暮らしや社会インフラに深刻な影響を及ぼしています。

個人・家庭でできる二酸化炭素削減の具体的な方法

「二酸化炭素の排出量削減」と聞くと、企業や行政の大規模な取り組みを想像するかもしれません。しかし、実は私たち一人ひとりの生活の中にも多くの二酸化炭素を減らす方法があります。ここでは、個人や家庭で実践できる具体的な方法を紹介します。

日常生活での省エネ・節電

<家庭からの二酸化炭素排出量(世帯当たり、燃料種別)>
家庭からの二酸化炭素排出量(世帯当たり、燃料種別)

出典: 全国地球温暖化防止活動推進センター「家庭からの二酸化炭素排出量(2023年度)」

家庭からの二酸化炭素排出の46%は、電気の使用によるものです。その使い方を少し工夫するだけでも、CO₂の削減につながります。例えば、使っていない家電の電源をこまめに切ることで、待機電力によるムダな消費を減らすことができます。エアコンの設定温度にも注意し、冷やしすぎ・暖めすぎを避けることで、快適さを保ちつつエネルギーの使用を抑えることができます。

さらに、契約電力を再エネ電気プランに切り替えることも、個人が実践できる有効な二酸化炭素対策のひとつです。現在、多くの電力会社が、太陽光や風力といった自然エネルギー由来の電気を選べるプランを提供しています。契約を切り替えるだけで、間接的に二酸化炭素の排出量を減らすことが可能になります。

移動手段の見直しとエコドライブ

<エコドライブの4つのポイント>
エコドライブの4つのポイント

出典:独立行政法人 環境保全機構「エコドライブのすすめ!」p.6

移動手段の選び方も、日々の二酸化炭素排出量に大きく影響します。車の利用が当たり前になっている地域でも、短距離であれば徒歩や自転車、公共交通機関を意識的に利用するだけで、排出量を確実に減らすことができます。

車を使う場合でも、急加速や急ブレーキを避け、燃費を意識した「エコドライブ」を心がけることで、二酸化炭素の排出量を少しずつ抑えることが可能です。実際に、通常の運転の排出量を100%とした場合、エコドライブではガソリン車の二酸化炭素排出量を12%削減できることがわかっています。

買い物と食生活で意識すること

日々の買い物や食生活では、私たちが気づかないうちに多くのCO₂が排出されています。例えば、地元で生産された食材を選ぶことは、簡単にできる対策のひとつです。遠方から運ばれてくる食品は、その分多くの燃料を消費し、二酸化炭素を排出するため、地産地消を意識することで環境への負荷を軽減できます。

また、買い物の際には過剰な包装を避け、リサイクル可能な素材を選ぶことも大切です。さらに、使い捨てではなく長く使えるものを選ぶことで、製造や廃棄に伴う二酸化炭素排出を減らすことにつながります。

企業・産業界で進む二酸化炭素削減の取り組み

企業や産業界における二酸化炭素排出削減への取り組みは、近年ますます加速しています。技術革新やエネルギー転換、資源の再利用といった多角的な施策が進められる中で、持続可能な経営と環境保全の両立が一層求められています。こうした取り組みは、環境への貢献にとどまらず、企業価値の向上にもつながっています。

省エネ化と再生可能エネルギーの導入

多くの企業が取り組める対策の一例として、オフィスや工場などにおける省エネ化が挙げられます。例えば、LEDランプは、従来の白熱電球に比べて約85%も消費電力を削減できます。消費電力が少ないと、伴って二酸化炭素の排出量も抑えられるため、環境への負荷の軽減につながります。さらに、LEDは寿命が長いため、交換の頻度が少なくて済み、廃棄物の削減にも貢献します。

再生可能エネルギーの導入による二酸化炭素の削減も、企業に求められている重要な取り組みの一つです。企業が事業活動に使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的な協働イニシアチブ「RE100」に加盟している日本企業は、2025年8月時点で90社を突破しており、今後もその数は増加すると見込まれています。再生可能エネルギーの導入方法としては、再エネ電力を取り扱う電力会社への契約切り替えが比較的手軽で実行しやすい手段です。また、自社の施設に太陽光発電システムを設置するなど、発電設備を自前で導入する企業も増えてきています。

製造プロセスの革新と効率化

エネルギー源を変えるだけでなく、生産工程自体の見直しや革新も進められています。最新の自動化技術やIoTを活用することで、設備の稼働状況をリアルタイムで把握し、無駄なエネルギー消費を削減する取り組みが広がっています。また、AIを用いた生産計画の最適化により、資源の無駄遣いを抑えつつ、生産効率を高めることが可能です。

資源の循環利用(サーキュラーエコノミー)への移行

近年、「使い捨て」から「循環型」への転換が、二酸化炭素削減の観点からも大きな注目を集めています。サーキュラーエコノミー(循環型経済)は、資源の投入や消費を最小限に抑えながら、すでに使用された資源(ストック)を有効活用し、サービス化などを通じて新たな付加価値を生み出す経済活動と定義されます。

企業においても、製品の設計段階から再利用やリサイクルを前提とした取り組みが進んでおり、廃棄物の発生そのものを抑える工夫がなされています。さらに、廃棄物の再資源化や副産物の有効活用に加え、消費者と連携した回収スキームの構築など、循環型社会の実現に向けた具体的な動きが広がっています。

※サーキュラーエコノミーについては、「サーキュラーエコノミーとは〜」にて詳しく解説しています。

CO₂分離・回収・利用・貯留(CCUS)技術の進化

CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)技術は、「CCS」と「CCU」の2つの言葉を合わせたもので、二酸化炭素(Carbon dioxide)を分離・回収(Capture)し、貯留(Storage)または有効活用(Utilization)する取り組みを指します。

・CCS(Carbon dioxide Capture and Storage):二酸化炭素(CO₂)回収・貯留
・CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization):二酸化炭素(CO₂)回収・利

CCUSは、カーボンニュートラル(二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの人為的な「排出量」から、人為的な植林や森林管理などによる「吸収量」を差し引き、合計を実質的にゼロにする)を達成するためのアプローチとして注目されています。

<CCUSの技術>
CCUS技術

出典:環境省「CCUSに必要な主な技術」

えば米国では、二酸化炭素を古い油田に注入することで、油田に残った原油を圧力で押し出しながら、同時に二酸化炭素を地中に貯留する技術が実用化されています。

国・社会全体で推進される二酸化炭素削減の施策と展望

政府・自治体の政策と目標

日本政府は「2050年カーボンニュートラル」の実現を宣言しており、2030年までに温室効果ガスを2013年比で46%削減する中間目標を掲げています。この目標に向けて、エネルギー基本計画の見直しや、再生可能エネルギーの拡充、ゼロエミッション車(ZEV)の普及、カーボンプライシング制度の導入検討など、幅広い政策が進められています。

また、地方自治体でも独自の気候変動対策を打ち出す動きが広がっており、環境基本条例の制定、地域エネルギー事業の立ち上げ、公共施設の脱炭素化など、地域の実情に応じた取り組みが展開されています。

森林吸収源対策とグリーンインフラの推進

国土の約7割を森林が占める日本では、二酸化炭素吸収源として森林の活用が進められています。2021年10月に決定したNDC(Nationally Determined Contribution:自国が決定する貢献)では、地球温暖化対策計画に基づき、2030年度に2013年度比26%減の温室効果ガス削減目標を定めており、その26%のうちの2%を森林吸収源対策により確保することとしています。間伐や植林などの持続可能な森林管理を強化し、森林の健全性の維持と炭素吸収能力の向上を推進しています。

さらに都市部では、グリーンインフラの概念を取り入れた開発が進んでいます。屋上緑化や壁面緑化、雨水の循環利用、都市公園の整備など、自然の力を活かして環境負荷を抑える手法が注目されています。これにより、都市のヒートアイランド現象の緩和や、災害へのレジリエンス強化にもつながっています。

国際的な協力と枠組み

気候変動は、一国だけで解決できる問題ではなく、国際的な協力が不可欠です。こうした背景のもと、気候変動対策の国際的な枠組みである「パリ協定」では、2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界的な取り決めが示されました。その中で、「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」という、将来の気温上昇に関する共通の長期目標が掲げられています。

国際的な取り組みの一つとして、「二国間クレジット制度(JCM)」があります。これは、途上国を中心としたパートナー国に日本の優れた環境技術を導入することで、相手国の温室効果ガス排出の抑制に貢献するとともに、その成果の一部を日本の温室効果ガス削減実績として活用できる制度です。JCMでは、削減量や吸収量に応じて「クレジット」が発行され、他国や企業間での取引が可能となります。日本が持つ技術力を国際的に展開することで、グローバルな排出量削減に貢献しながら、自国の気候変動対策にも資するという、双方向のメリットを生み出しています。

気候変動への対応は長期的な取り組みであり、国際的な連携と国内の努力を両立させながら、持続可能な形で進めていくことが今後の鍵となります。

三井化学は二酸化炭素排出実質ゼロの社会を目指します

化学プロセスの二酸化炭素排出量では、クラッカーでの熱分解プロセスが最も多い排出源になります。三井化学では、クラッカーの熱分解の熱源を、これまでのメタンガスといった化石由来燃料から、燃焼しても二酸化炭素を排出しないアンモニアへ転換する検討を開始しています。これにより化学品・プラスチック製造における低炭素化を目指しています。

また、社会の低炭素化に向けてScope3削減に貢献する原料のバイオマス化も進めるべく、バイオマス化でカーボンニュートラルの実現を目指すコミュニケーションブランド「BePLAYER®」の取り組みも強化しています。

我々だけではなく、お客さま、その先のお客さまを含めたバリューチェーン全体での低炭素化、そして地球環境の保全に貢献し、リジェネラティブな世界の実現に向けて、具体的な取り組みを進めています。

貢献し、リジェネラティブな世界の実現に向けて、具体的な取り組みを進めています。

バイオマスプラスチックとは https://youtu.be/nq8G6Cg9TOg?si=SHhXxXu4KVRwvg2h

三井化学では、「世界を素(もと)から変えていく」というスローガンのもと、
バイオマスでカーボンニュートラルを目指す「BePLAYER®」、リサイクルでサーキュラーエコノミーを目指す「RePLAYER®」という取り組みを推進し、リジェネラティブ(再生的)な社会の実現を目指しています。カーボンニュートラルや循環型社会への対応を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

「BePLAYER®」「RePLAYER®」https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/index.htm

<公開資料:カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー関連>https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/whitepaper/

 

参考資料
*1:WMO(気象庁訳)「温室効果ガス年報」:
https://www.data.jma.go.jp/env/info/wdcgg/GHG_Bulletin-19_j.pdf
*2:環境省「地球全体の二酸化炭素濃度の年増加量が過去14年間で最大に ~いぶき(GOSAT)による2024年の観測速報~」:
https://www.env.go.jp/press/press_04307.html
*3:環境省「IPCC 第5次評価報告書の概要-第1次作業部会(自然科学的根拠)-」p.12:
https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf
*4:全国地球温暖化防止活動推進センター「家庭からの二酸化炭素排出量(2023年度)」 :
https://www.jccca.org/download/65499
*5:独立行政法人 環境保全機構「エコドライブのすすめ!」:
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/05/pdf/pdf_55210.pdf
*6:デコ活「こだわる楽しさ エコグッズ」:
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/action/goods/
*7:JCLP「RE100・EP100・EV100 国際企業イニシアチブについて」:
https://japan-clp.jp/climate/reoh
*8:林野庁「地球温暖化対策の推進」:
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/ondanka_taisaku.html

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