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バイオマス製品を普及させるには?普及に向けた取り組みや活用事例を解説

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現在、化石資源の代替資源としてバイオマスが注目を集めています。地球環境にやさしく再生可能なバイオマス資源ですが、普及は思うように進んでいません。今回はバイオマスの現状を踏まえつつ、今後の見通しや普及に向けた取り組みをお伝えします。

化石資源はあらゆる場面で活用され、私たちの日常生活に便利さや快適さを提供しています。しかし、地球温暖化につながる要因のひとつとして、近年では化石資源の使用を控えようとする動きも活発化しています。そのなかで化石資源の代替資源として注目を集めるようになっているのが、バイオマスです。温暖化に影響を与える焼却時の二酸化炭素の排出が理論上ニュートラルなうえ、再生可能な資源でもあるバイオマスですが、普及は思うように進んでいません。そこで今回はバイオマスの普及に向けた取り組みや活用例をお伝えします。

バイオマス普及の現状と今後の見通し

バイオマスは地球環境にやさしく、さまざまなメリットがある資源ですが、現在はバイオマス発電やバイオマスガス発電などの普及が進みはじめている状況です。持続可能な社会のためには環境問題への対応が必要であることは、誰もが理解していることでしょう。そのため、今後は消費者の意識も徐々に高まっていくと考えられます。また、電力と同様に化石資源を使用するプラスチック製品についても、これまで課題であったバイオマスプラスチック製品の品質の問題をクリアできる新しいバイオマスプラスチックの考え方である「マスバランス方式」の登場により、普及が進むことが期待されています。

バイオマス製品の普及に向けての取り組み

多くのメリットを持つバイオマスを普及するために、国や民間企業はさまざまな取り組みを進めています。ここではその動きについて見てみましょう。

農林水産省による「バイオマスの活用の推進」

農林水産省では、内閣府や総務省、経済産業省などと連携し、バイオマス産業都市の選定・支援など、バイオマスの活用を推進しています。現状の製品・エネルギーの産業規模である約57兆円のうち、バイオマス産業の市場規模は約5,300億円と、その約1%です。しかし将来的には、国産バイオマスを活用した関連産業分野における需要を開拓し、約10%程度(5.7兆円)とすることを目指しています。(金額は2015年度時点)。

また、2021年には、省庁が連携して将来のバイオプラスチック導入ロードマップも作成されました。将来的に目指す姿としては、2020年時点での国内樹脂投入量837万トンのところ、2030年までにここにバイオマスプラスチックを200万トン導入するほか、自動車や建設、電気・電子など幅広い用途でセルロースナノファイバーの普及・利用を目指し、世界で2030年に2.2兆円、2050年には5.9兆円の市場形成を見込む、などがあります。

参照:バイオマスの活用をめぐる状況|農林水産省(PDF)

環境省、経済産業省、農林水産省、文部科学省による「バイオプラスチック導入ロードマップ」

環境省、経済産業省、農林水産省、文部科学省が合同で進める「バイオプラスチック導入ロードマップ」では、「プラスチック資源循環戦略(令和元年5月)」に基づいて、持続可能なバイオプラスチックの導入方針と導入に向けた国の施策を示しています。同ロードマップでは、2030年までにバイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入を目指すことが掲げられています。具体的なロードマップは次のとおりです。

  • 利用促進

先進的な利用目標を集約したバイオプラスチック導入目標集の作成やビジネスマッチングの促進、公正・公平なリサイクルの仕組みの検討などを実施。また、2030年までには、グリーン購入法特定調達品目における判断の基準、バイオ由来製品に係る需要喚起策の検討、地方公共団体による率先調達の推進等を実施。

  • 消費者への訴求

持続可能性を考慮した認証・表示の仕組みを検討し、消費者にとって分かりやすい形で運用していく。また、バイオプラスチック製品の率先利用及び正しい理解の訴求を継続的に実施する。

このほか、研究開発やそれぞれの施策へのフォローアップなどを継続的に実施していくことを目指しています。

参照:バイオプラスチック導入ロードマップ|環境省

 

民間企業による「バイオプラスチック導入目標集」

民間企業による取り組みとしては、「バイオプラスチック導入目標集」として環境省が取りまとめています。それを見てみると、自社製品の容器や包装などにバイオプラスチックを導入する取り組みがすでに多くの企業で開始されています。

さらに普及を後押しする仕組みとしてプラスチックへの「マスバランス方式」の導入があります。既存の設備を活かしながら、さまざまなプラスチックを石油由来品と全く同等の物性でバイオマス化させる、「バイオマスナフサ」を活用したマスバランス方式によるバイオマスプラスチックが登場しています。

マスバランス方式とは、原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法で、「物質収支方式」とも呼ばれています。例えば、バイオマス由来の原料を「3トン」、石油由来の原料を「7トン」の割合で「製品A10トン」作った場合、3トン分の製品Aにバイオマス特性を割り当てて100%バイオマス由来製品とみなすことが可能なのです。

つまり、原料が混合されてできあがった製品でもインプットしたバイオマス量に応じたアウトプット量を、「ある特性(バイオマス特性)を持つと見なすことができる」とするのが、マスバランス方式のポイントです。

マスバランス方式であれば新たに巨大な設備を建設せずともバイオマスプラスチックを製造することができるため、巨額な投資が不要であり、石油由来のプラスチックと全く同じ物性を持ち、且つこれまでバイオマス化が難しかった種類のプラスチックでもバイオマス化が可能になります。こうしたことから、プラスチックへのマスバランス方式の適用は、今後のバイオマスの普及に向けて大きな期待が寄せられています。

マスバランス方式は、プラスチック以外では、紙のFSC認証、パームオイルのRSPO認証、カカオ豆のフェアトレードの仕組み、また近い方式では再生可能電力(ブック&クレーム方式)などで活用されており、それぞれマスバランス方式を活用することで、より良い社会・環境の実現に大きく貢献しています。

参照:バイオプラスチック導入目標集|環境省

三井化学のバイオマス製品についての取り組み

三井化学では、「世界を素から変えていく」をキーメッセージに、バイオマスでカーボンニュートラルを目指す、「BePLAYER®」。リサイクルでサーキュラーエコノミー実現を目指す「RePLAYER®」に取り組んでいます。

BePLAYER®」とは、石油由来原料からバイオマスへの転換で、カーボンニュートラル社会の実現を目指す取り組みです。

具体的には、「バイオマスナフサ導入によるマスバランス方式のバイオマスプラ・化学品の拡充」「セグリゲーション方式によるバイオマスプラ・化学品の拡充」「植物培養、大腸菌触媒などによる製造プロセスのバイオ化」などに取り組んでいます。

すでに、202112月から日本初となるバイオマスナフサからのバイオマス化学品・プラスチックの製造と販売を開始し、バイオマス市場の開拓を進めています。

三井化学のバイオマス化によって社会のカーボンニュートラル実現を目指すアプローチについて、詳しくは「カーボンニュートラルに向けた三井化学の道筋」をご覧ください。

三井化学は環境問題解決のためにバイオマス製品の普及を進めています

化石資源を原料とするプラスチックに比べ、バイオマスプラスチックはまだまだ普及していません。国や先駆的な民間企業による普及への取り組みは進んではいるものの、全体としてはまだまだこれからというのが現状です。今後、広く普及させるためには長期的な視野が必要となります。

ただ、地球温暖化への対応は喫緊の課題であり、いずれ枯渇するリスクの高い化石資源だけにいつまでも頼っていくわけにはいきません。できることから社会のバイオマス化を進めて行くことが、環境問題を解決していくうえでも重要なポイントと言えるでしょう。

三井化学では、これまでの経験や実績をもとにバイオマスプラスチック・製品の普及を積極的に推進しています。バイオマス製品の開発・利用をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

持続可能な社会に向けて行動する「RePLAYER®」「BePLAYER®」はこちら

 


<公開資料:カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー関連>
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/whitepaper/ 

 

 

参考資料
*1:バイオマスとは?|九州農政局:
https://www.maff.go.jp/kyusyu/kikaku/baiomasu/teigitou.html

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