Group-wide Strategy
CSOメッセージ

常務執行役員CSO 伊澤 一雅

幅広いステークホルダーの皆様から
信頼される企業グループとなるべく、
CSOとして変化をリードするとともに、
しっかりとその役割を果たしてまいります。

常務執行役員CSO

伊澤 一雅

※本メッセージ内で言及している項目です。

三井化学グループの企業価値向上
三井化学グループの企業価値向上 図

※図の全体像については、CEOメッセージをご覧ください。

ピンチイン・ピンチアウトで拡大してご確認いただけます。

CSOとして全社部門での連携を取りながら、VISION 2030の
基本戦略を推進します。

三井化学グループの事業がますますグローバルに拡大し、複雑化していく中で、このたび新たにCSO(Chief Strategy Officer)として全社戦略の推進・実行を支えていくこととなりました。私の考えるCSOの役割は、財務KPIや投資採算をしっかりと見極め、全社の事業ポートフォリオを最適化すること、同時に持続的に価値を創造できる企業を目指し、非財務KPIの活用を通じて経営の質を改善していくということです。CSOのStrategyには「戦略を立案する」「戦略を実行する」という2つの意味合いが含まれますが、VISION 2030の実行フェーズにおける当面のミッションは、財務・非財務の双方の視点から、VISION 2030の基本戦略を確実に遂行することであると考えています。

CSOの任に就いて以来、本部長などとも議論し、自身のあるべき立ち位置を考えてきました。私もこれまで事業本部に身を置いていたためよく理解できますが、各本部にはそれぞれの組織としての固有の論理や力学のようなものがあり、戦略実行の際の独自のプライオリティがあります。グループが目指すべきビジョンと各本部の力点をよくすり合わせながら、さらに俯瞰的な視点をもって本部間のシナジー発揮を促すことも私の重要な役割です。

三井化学グループの企業価値向上
三井化学グループの企業価値向上 図

※図の全体像については、CEOメッセージをご覧ください。

ピンチイン・ピンチアウトで拡大してご確認いただけます。

VISION 2030基本戦略の実行により、大きく変わっていく
三井化学グループの姿。

加速する外部環境の変化を受けて、VISION 2030の基本戦略は、今までの三井化学グループから変わっていかなければならない、という危機感が反映されたものとなっています。とりわけダイナミックな変化につながるのが、事業ポートフォリオ変革の追求とソリューション型ビジネスモデルの構築です。

事業ポートフォリオ変革の追求では、成長領域における事業領域の拡大・深耕を掲げ、例えばライフ&ヘルスケア・ソリューション事業を第一の収益の柱とするなど、新たな目標を掲げています。ライフ&ヘルスケア・ソリューションは2030年度にコア営業利益900億円を目指します。当然、既存事業の拡大のみならず、M&Aや社外提携による新事業基盤の獲得など、インオーガニックな成長も必要となります。一方、当社グループの過去のM&A案件を振り返ると、必ずしも成功と見えないものもあり、投資家の皆様から厳しいご意見を頂戴することもありました。しかしながら、グループ内における過去事例の分析や外部の方からいただいたご意見に関する議論を積み重ねてきたことにより、案件見極めの精度、PMI等の実行力は以前よりも着実に高まっているとの手応えを感じています。また、モビリティソリューション事業では、素材メーカーとしての技術力に加えて、強化してきたソリューション機能を活かし、モビリティ関連の社会要請の変化を捉えた製品・サービスを提供するビジネスモデルへの転換を掲げています。

もう一つの大きな変化が、ICTソリューション事業の新設です。ICT関連ビジネスが飛躍的に拡大しているというメガトレンドを受けて、これまで各事業に散逸していたICTに関連する製品や技術、人材を結集しました。これにより、他事業と大きく異なるICT分野特有の市場環境の変化や技術革新のスピードに対応していくと同時に、様々な技術的・人的シナジーが生まれることを狙っています。

また、次世代事業創出の中心組織として、グループ内での新規事業の開発を担ってきた新事業開発センターも、新しい体制で再スタートしました。今般新設したCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の活用などを通じて、外部の知見を積極的に取り入れてグループ内の資源を新たな形で活かすとともに、スタートアップ企業等パートナーとのスピード感の共有を通じて、新事業・新製品創出の確度を高めていきます。本取り組みは、イノベーションの土壌となる企業文化変革の起点ともなり得ると考えています。

ソリューション型ビジネスモデルの構築では、従来の素材提供型ビジネスからの脱却を掲げています。これまでよりも目線を上げて、私たちを取り巻く社会の変化を迅速に捉え、お客様、ひいては社会の課題解決に貢献する素材の提供とその用途の提案、さらにはサービスを融合させたソリューションを提供するというアプローチをとっていきます。これを実現するためには、現場での仕事の仕方も変わっていかなければなりません。今まで以上に柔軟でチャレンジングな発想が重要になりますので、各本部レベルでの変化を促していきます。

社会課題解決への貢献を差別化戦略と捉え、付加価値を
生み出していく。

当社グループは、「ESGに関する諸課題から、ビジネス機会を探索し、事業活動を通じた課題解決を図っていくこと、将来リスクを認識し対処するとともに、企業として遵守すべき社会的責任を果たしていくことにより、社会および当社グループの持続可能な発展を目指す」ことをESG推進方針としています。

これに基づき、VISION 2030策定にあたり、私たちの目指す未来社会を再設定し、マテリアリティを見直しました。マテリアリティに対しては、新たに指標を設定し(非財務KPI)、事業評価・投資判断等に活用するなど、財務・非財務を統合した経営を進めています。各非財務KPIについては、それぞれ担当の役員を定め、達成状況だけでなく、環境変化を踏まえた進捗の解析や、目標の妥当性検討も含めて、ESG推進委員会や全社戦略会議等でしっかりとレビューしていきます。

非財務KPIの一つとして、当社グループの特長的な取り組みであるBlue Value®・Rose Value®製品についても、2030年に向けて全社レベルおよび本部レベルで売上収益比率をKPIに設定しています。Blue Value®・Rose Value®製品はまさに社会価値、企業価値の創造を体現したものです。2011年の構想開始から約10年、各本部においてこの取り組みの重要性や社会への貢献価値についての意識も高まっています。社内横断的に連携し、情報を共有することで新たな認定製品・用途を拡大する取り組みも進めています。私はBlue Value®・Rose Value®を一種の差別化戦略と考えています。実際、これらの製品は、お客様の製造コスト低減や防災・減災、フードロスの削減といった、具体的な損失の数値化が難しい事象に対する当社独自のソリューション提供につながっています。こうした点をさらに深化させ、製品設計やマーケティングの段階からBlue Value®・Rose Value®の観点を組み込むことで、今後その成果が利益貢献の形ではっきりと表れてくると考えています。

基本戦略の一つでもあるサーキュラーエコノミーへの対応強化としては、前述のBlue Value®製品の拡大やデジタル技術の活用、九州大学との連携によって設立したカーボンニュートラル研究センターでの取り組みなどがあります。本戦略への対応は、ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業の役割が重要です。当社グループは、化学製品バリューチェーンの上流にあたるナフサクラッカーに代表される石化製品・基礎化学品の製造設備を持っていることが大きな特長であり、当該事業の存在が成長領域における付加価値創造の下支えとなっています。カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの実現を目指し、バイオマスナフサの導入、ケミカルリサイクルやマテリアルリサイクル、GHG排出の多くを占めるナフサクラッカーでのGHG排出量削減の技術開発など、チェーンとしての強みを活かすべく、当社グループならではの先進的な技術確立へのチャレンジを進めています。こうした技術の社会実装が拡大すれば、環境対応という側面での製品差別化が進み、循環型社会の実現へとつながっていくため、そのインパクトは非常に大きいと考えています。

三井化学のDNAである革新を続けていくことで、信頼される
企業グループへ。

SDGsをはじめ、世界中が様々な社会課題の解決に注目する中で、化学メーカーとして、当社グループには大きな責任があると思っています。また一方で、今こそグループの歴史の中で培ってきた技術力を最大限に発揮するチャンスでもあります。GHG排出等のマイナス影響をゼロに戻すだけではなく、しっかりとプラス影響を積み上げていく、そうした思いがVISION 2030に反映されています。企業グループ理念にもある通り、これまでの歴史の中で技術革新を通じて社会課題を解決してきた当社グループにとって、革新こそがDNAであるということは、私が常日頃から社員にも伝えていることです。もちろん変化にはリスクが伴います。しかし、リスクを上手く管理しつつしっかりと足元の利益を積み上げる、そして、社員一人ひとりが財務・非財務双方の視点を意識して少しずつ良い変化を起こしていくことができれば、当社グループの存在価値を多くの方々に理解していただけるのではないかと考えています。幅広いステークホルダーの皆様から信頼される企業グループとなるべく、私も経営企画部とESG推進室を担当するCSOとして、変化をリードするとともに、しっかりとその役割を果たしてまいります。