ARTICLE記事

  • HOME
  • バイオマスマークとは?取得のメリットや認定審査の流れを解説

文字サイズ

  • 標準

バイオマスマークとは?取得のメリットや認定審査の流れを解説

「バイオマスマーク」_89514692_M-1

バイオマスマークは、原料にバイオマスを使用した商品に付与される認証マークです。企業が取得することで、自社ブランド力の向上や消費者の購買意欲促進などの効果が見込めます。今回は、バイオマスマークの概要や取得のメリット、認定審査の流れ、ポイントを解説します。

近年、環境保護に向けて取り組む企業が増加するなかで、「バイオマスマーク」が表示されている商品も多く見かけるようになりました。しかし、バイオマスマークとは何を意味しているのかご存じでしょうか。

バイオマスマークの意味や特徴を知ることで、環境に配慮した消費や企業運営に向けた行動を起こしやすくなります。

本記事では、バイオマスマークの概要や取得のメリットを紹介したうえで、バイオマスマーク商品の認定審査の流れ、取得する際のポイントも詳しく解説します。

バイオマスとは何か

バイオマスとは「動植物に由来する、化石資源を除いた再生可能な有機性資源」を指します。大きく分けると、次のような3つに分けられます。

  • 廃棄物系バイオマス

生ごみ等の食品廃棄物、廃食用油、農業残渣、パルプ工場廃液(黒液)、家畜排せつ物、下水汚泥、建築廃材など

  • 未利用バイオマス

林地残材、稲わら、もみ殻、麦わらなど

  • 資源作物

さとうきび、てんさい、とうもろこし、なたねなど

上記のようなバイオマスを活用することで、環境に配慮した製品作りや代替エネルギーとしての利用が可能となります。

バイオマスマークとは?

広報用バイオマスマークデータ

次に、バイオマスマークの定義や、似たような名前のマークであるバイオマスプラマークとの違いについて解説します。

バイオマスマークの定義

前提として、バイオマスマークは一般社団法人日本有機資源協会で認定を受け、使用することができます。バイオマスマークは、バイオマスを10%以上(乾燥重量比)使用しており、品質が関連法規、基準、規格などに適合している商品に付与が可能になります。レジ袋や食品容器などの日用品、インキ、衣料品など、多くの商品が認定されていますので、普段の買い物でも目にする機会もあると思います。

ただし、動植物の粗製品や食品、医薬品は、バイオマスマークの対象外です。

同協会では2006年からバイオマスマークの本格運用を開始しており、2023年6月19日時点の認定商品数は計1,767となっています。

バイオマスプラマークとの違い

BP_Japanese_4C

バイオマスマークと同様、バイオマス由来の有機性資源を活用したプラスチック製品に付与できる「バイオマスプラマーク」という識別表示制度があります。

バイオマスプラマークは日本バイオプラスチック協会が運営しており、マーク取得の基準として「対象をプラスチックに限り、バイオマス由来プラスチック成分を25%以上含むこと」になっており、バイオマスマークでの「バイオマス由来成分10%以上」の基準とは異なっています。

マークはBiomass Plasticの頭文字「BP」がモチーフになっています。(バイオマスマークは四葉のクローバーがモチーフ)

なお、バイオマスプラマークを使用申請する場合には、同協会の会員である必要があります。

バイオマスマークもバイオマスプラマークもバイオマスを使用していることは同じですが、その認定製品や基準が少し違うのですね。

バイオマスマークを取得するメリット

次に、バイオマスマークを取得する2つのメリットについて見ていきましょう。

自社のブランド力を高められる

自社商品にバイオマスマークを付与することで、企業として社会貢献に取り組む姿勢を打ち出せ、自社製品のブランド力向上が期待できます。

企業としてバイオマスマークを付与した商品を積極的に展開することで、環境に配慮したイメージの強化にもつながるでしょう。

消費者の購買意欲を促進できる

バイオマスマーク商品は、環境問題に関心を寄せる消費者に対して効果的に訴求できます。というのも、「環境や社会に悪影響を与える商品は買わない」と考える消費者が少なくないためです。

20224月の三井化学の調査によると、買い物においてバイオマスプラスチック製品を積極的に選ぶという人の割合は、全体で44%、環境負荷を意識している層に限ると71.7%に上っています。この調査結果からも、自社でバイオマスマーク商品を提供することは、消費者の積極的な選択意向となり、最終的には売り上げに対する貢献も期待できると考えられます。

(ご参考:2022年4月 「環境問題、買い物するときにどれだけ意識する?」 )

バイオマスマーク商品認定審査の流れ

ここからは、一般社団法人日本有機資源協会のサイトを参考に、バイオマスマーク商品の認定審査の流れについて紹介します。

参考:申請書類 | 一般社団法人日本有機資源協会

1.申請書類を準備する

バイオマスマークの新規認定審査を受ける際は、次の3つの書類を用意しなければなりません。

  • バイオマスマーク認定申請書

申請事業者に関する情報、商品名、型式、環境負荷、マークの使用期間などを記入

  • バイオマスマーク認定申請商品原料構成表

申請商品の原材料名と構成割合などを記入

  • バイオマス度計算書

バイオマスマーク認定申請商品原料構成表をもとに算出したバイオマス度を記入

なお、認定後に認定内容を変更したり、広報用バイオマスマークを使用したりする際は、別途書類が必要となります。

2.審査を申し込む

申請書受付の締切日は、毎月20日(休日は直前営業日)に設けられているため、それまでに申し込みが必要です。2023年度の申請書受付締切スケジュールは次のとおりです。

2023年度の申請区分

申請書受付締切日

7月分

2023720日(木)

8月分

2023818日(金)

9月分

2023920日(水)

10月分

20231020日(金)

11月分

20231120日(月)

12月分

20231220日(水)

1月分

2024119日(金)

2月分

2024220日(火)

3月分

2024319日(火)

審査後、合格通知の発送・マークの使用契約を締結できるまでの期間は、おおむね2カ月とされています。ただし、申請数によっては長引くケースもあるので、申請期間には余裕を持っておくことが大切です。

3.審査結果を受け取る

審査に通れば、バイオマスマークを取得できます。なお、バイオマスマークの取得や使用、更新に際しては次のような費用が必要です。

  • バイオマスマーク認定審査料:22,000/
  • バイオマスマーク変更審査料:11,000/
  • バイオマスマーク使用料:132,000/件(バイオマスマーク使用契約締結日から2年毎)
  • バイオマスマーク使用更新料:5,500/件(バイオマスマーク使用契約更新時ごと)

バイオマスマークの取得・使用で知っておきたいポイント

バイオマスマークの取得、および使用に際して知っておきたいポイントをそれぞれ解説します。

バイオマスマーク取得時のポイント

原料が有機性資源であっても、バイオマスマーク認定が受けられる商品は、バイオマス割合が乾燥重量10%以上で、品質と安全性が担保された商品に限られます。また、木材をそのまま使った紙や机などの商品については、認定対象外となっているので注意が必要です。

なお、認定審査を受ける商品について、サイズ違いで複数の種類がある場合、バイオマス原料と構成割合が同一であれば、ひとつの申請で問題ありません。

バイオマスマーク使用時のポイント

バイオマスマーク使用時は、原則的にロゴデータと同じ緑色を使用する必要があります。ただし、印刷色数が制限されている場合やデザインの都合があるような場合、単色塗りつぶしに限って他色への変更も可能です。自社の商品デザインやブランドイメージに応じて、使用色を検討してみるのもよいでしょう。

三井化学はバイオマスに向けた取り組みを始めています

これからの企業運営においては、環境への配慮が欠かせません。自社商品にバイオマスマークを付与することや、企業としてバイオマスマークを付与した商品を積極的に展開することは大きな意義を持つでしょう。

そうしたなかで三井化学は、「素材の素材まで考える」をキーワードに、「脱プラ」から「改プラ」の取り組みを推進しています。具体的にはプラスチックの原料であるナフサを、石油由来からバイオマス由来のバイオマスナフサに代替させる「素材の素材から変えていく」アプローチです。このように再生可能なバイオマス資源を活用したバイオマスナフサを原料とすることで、「脱プラ」から「改プラ」へのアプローチを実践しているのです。

プラスチックという素材は生活の中に深く溶け込んでいます。バイオマスナフサを使ったバイオプラスチックへの転換は、カーボンニュートラルへの新しい道筋として、今後ますます注目される取り組みといえます。

持続可能な社会に向けて行動する「RePLAYER®」「BePLAYER®」はこちら

 


<公開資料:カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー関連>
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/whitepaper/ 

 



参考資料
*1:バイオマスとは?|九州農政局:
https://www.maff.go.jp/kyusyu/kikaku/baiomasu/teigitou.html
*2:バイオマスマーク使用と表示 | 一般社団法人日本有機資源協会:
https://www.jora.jp/faq/questions/biomass-mark/
*3:バイオマスマーク認定商品 | 一般社団法人日本有機資源協会:
https://www.jora.jp/biomass_list/
*4:バイオマスを使うメリットは? | 一般社団法人日本有機資源協会:
https://www.jora.jp/faq/7052/
*5:申請書類 | 一般社団法人日本有機資源協会:
https://www.jora.jp/biomassmark/application_documents/
*6:認定審査申請 | 一般社団法人日本有機資源協会:
https://www.jora.jp/faq/questions/biomass-mark/biomass-mark-application/
*7:バイオマスマーク | 一般社団法人日本有機資源協会:
https://www.jora.jp/biomassmark/
*8:バイオマスマーク使用と表示 | 一般社団法人日本有機資源協会:
https://www.jora.jp/faq/questions/biomass-mark/
*9:入会のご案内|日本バイオプラスチック協会:
http://www.jbpaweb.net/admission/index.html

関連記事

DOCUMENTS資料ダウンロード

NewsPicks Brand Design主催イベント『脱プラを再検討~循環型ビジネスへの新アプローチ~』

NewsPicks Brand Design主催イベント『脱プラを再検討~循環型ビジネスへの新アプローチ~』

サステナビリティ領域で活躍する有識者や1か月間脱プラ生活を実践した起業家とともにプラスチック問題を解決に導く新たなアプローチと、その実装方法まで議論し、プラスチック問題に対する現実解を読み解きます。

三井化学グループのリニューアブルな包装材料

三井化学グループのリニューアブルな包装材料

三井化学グループのリニューアブル(再生可能)な各種包装材料についてご紹介している資料です。

三井化学グループの包装リサイクルソリューション

三井化学グループの包装リサイクルソリューション

三井化学グループが手掛ける、入口(設計)から出口(再生材料)に至るまでの包装リサイクルソリューションの詳細をまとめた資料です。

三井化学グループの環境配慮型包材(概要)

三井化学グループの環境配慮型包材(概要)

"Sustainable Challenge for Packaging"をコンセプトに、三井化学グループの環境配慮型包材の概要を、リサイク、リニューアブル(再生可能)のカテゴリーでご紹介した資料です。

環境への取り組みが製品・ブランドの価値を高める 事例11選

環境への取り組みが製品・ブランドの価値を高める 事例11選

このホワイトペーパーでは、環境への配慮(環境価値)を製品・サービスの価値に結びつけ、ブランドの価値も向上させている企業の11事例を紹介しています。環境価値の製品価値への組み込み・ブランド価値向上に向けたヒントを得るための事例集として活用いただけると幸いです。

DOCUMENTS資料ダウンロード

NewsPicks Brand Design主催イベント『脱プラを再検討~循環型ビジネスへの新アプローチ~』

NewsPicks Brand Design主催イベント『脱プラを再検討~循環型ビジネスへの新アプローチ~』

サステナビリティ領域で活躍する有識者や1か月間脱プラ生活を実践した起業家とともにプラスチック問題を解決に導く新たなアプローチと、その実装方法まで議論し、プラスチック問題に対する現実解を読み解きます。

三井化学グループのリニューアブルな包装材料

三井化学グループのリニューアブルな包装材料

三井化学グループのリニューアブル(再生可能)な各種包装材料についてご紹介している資料です。

三井化学グループの包装リサイクルソリューション

三井化学グループの包装リサイクルソリューション

三井化学グループが手掛ける、入口(設計)から出口(再生材料)に至るまでの包装リサイクルソリューションの詳細をまとめた資料です。

三井化学グループの環境配慮型包材(概要)

三井化学グループの環境配慮型包材(概要)

"Sustainable Challenge for Packaging"をコンセプトに、三井化学グループの環境配慮型包材の概要を、リサイク、リニューアブル(再生可能)のカテゴリーでご紹介した資料です。

環境への取り組みが製品・ブランドの価値を高める 事例11選

環境への取り組みが製品・ブランドの価値を高める 事例11選

このホワイトペーパーでは、環境への配慮(環境価値)を製品・サービスの価値に結びつけ、ブランドの価値も向上させている企業の11事例を紹介しています。環境価値の製品価値への組み込み・ブランド価値向上に向けたヒントを得るための事例集として活用いただけると幸いです。

CONTACT