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駒澤大学「Re Dharma」:廃プラから生まれた巨大だるまが繋ぐ「縁」の物語

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駒澤大学経営学部の青木ゼミが、学内で集めたペットボトルキャップを再利用して巨大なだるまを制作する「Re Dharma(リダルマ)」プロジェクトを始動させました。

三井化学との共創により、技術的困難を乗り越え完成した高さ1.4メートルのだるまには、箱根駅伝への応援や駒大生のさまざまな活躍を応援する「縁」への想いが込められています。

今回の記事では、ゼミ生たちの対話を通じて、プロジェクトの全容と「サステナビリティをポップに伝えたい」という彼らの情熱を紐解きます。

話し手

橋本 駿
経営学部 青木ゼミ ゼミ長
本田 大雅
経営学部 青木ゼミ
眞壁 はな
経営学部 青木ゼミ プロジェクト・リーダー
菅野 慎治
経営学部 青木ゼミ
戸室 真歩
経営学部 青木ゼミ 副ゼミ長

 

青木ゼミが挑むRe Dharmaプロジェクトの概要

「再生」への願いを込めたネーミングとプロジェクトの目的

まずは青木ゼミが今回実施した「Re Dharma」がどのようなプロジェクトか教えてください。

眞壁さん 駒澤大学(以下、駒大)の青木ゼミはSDGsにおけるマーケティングを取り扱っており、ゼミに所属する13人のうち8人がRe Dharmaプロジェクトに参加しています。

Re Dharmaは「駒大生社会連携プロジェクト」という、大学の取り組みの一環として実施しました。学生支援センターから、ペットボトルのキャップがたくさんあるという相談があり、そのキャップを使って何かできないかなということで、プロジェクトの企画を考えました。

菅野さん ちなみに、プロジェクト名の「Re Dharma」は僕が発案した造語です。アニメ作品『東京喰種:re』のオマージュとして、主人公が「自分自身を再生・再構築していく姿」を、資源が形を変えて循環していくリサイクルのプロセスに重ね合わせました。

また、リサイクルを意味する「Re」と、駒澤大学と縁の深い禅宗の祖である達磨大師(Dharma)を掛け合わせています。

菅野さん菅野さん

前身「給水器プロジェクト」から受け継がれたサステナブルなDNA

皆さんがこのプロジェクトに参加したきっかけは何だったのでしょうか?

橋本さん 僕は、ペットボトルのキャップが新しいモノになると考えたらワクワクして。楽しそうだな、という純粋な興味から参加したいと思いました。

戸室さん 私はもともと、先輩たちがペットボトルのごみ削減のために企業と連携して学内に給水器を設置した実績を知り、私もゼミ活動を通じてサステナブルな取り組みに携わることができるのがいいなと思って、青木ゼミに入りました。

今回のプロジェクトは、「みんなで駅伝を応援しよう」というのが最初の趣旨でした。もともと私はそれほど駅伝に詳しかったわけではなく、お正月にやっているなという程度の認識だったのですが、駒大生になった今では明確に応援できるものができたのが嬉しくて、旅先でもテレビをつけて応援しています。

青木ゼミの活動を通じて、実際に応援という形で貢献できれば、後で振り返った時に「これは私がやったんだよ」と胸を張れますし、何より駒大のことをもっと好きになれるなと思いました。こんなことができるのは青木ゼミならでは、だと思います。なので、プロジェクトは紆余曲折ありましたが、このプロジェクトを1年かけてしっかりやってきて良かったなと思います。


給水器プロジェクト
2019年、駒澤大学・青木ゼミの学生は、学内で排出されるペットボトルごみの実態調査を実施。その結果、1日に約2,000本ものペットボトルが廃棄されていることが判明。

現状を可視化するため、回収したペットボトルを使って世界地図を描くインスタレーションを学内の壁面に制作。海洋汚染やプラスチック問題を象徴的に表現し、「海が汚れている」「プラスチックが流出している」というメッセージを伝えた。

その後、ペットボトルのごみ削減に向けた具体的なアクションとして、期間限定で給水器を導入し、校舎内に設置。学生からは好評で、その後水道設備の増設も行われ、現在ではキャンパス内4か所にウォーターサーバーが設置されている。

 

「達磨大師」の教えと駅伝を繋ぐ「縁」の文字に込めた想い

どのような経緯で「だるまを作る」というアイデアに至ったのでしょうか?

橋本さん 最初は、三井化学さんからできることをヒアリングし無限の可能性を感じたので、陸上競技部の選手が使う靴や駅伝応援グッズに生まれ変わらせたいと思いました。でも、プロジェクトを進めていく中で箱根駅伝には連盟で定められた色々な規定や制約があり実現が難しいことが分かり、別の案はないかとチームで模索していました。

戸室さん その後、大仏を作る案なども考えていたのですが、実用性や学内に置いた時の見栄えも考えて、可愛らしくて親しみやすく、駒大生に協力をお願いして駅伝選手への応援メッセージを届けよう!と考え、だるまになりました。また、駒大は仏教系の大学のため、禅宗の祖である「達磨大師」を起用することにも意味がありました。

橋本さん だるまには「七転び八起き」や「不滅の精神」という、「何度でも挑戦する」といった意味が込められているため、駅伝の応援の他にも駒大生の活躍や大学全体を盛り上げていけたらいいなと。だるまに直接メッセージを書き込む案もあったのですが、消さなければいけなかったり様々な場面でも活用したかったため、赤い紙にメッセージを書いて自分たちで貼ってもらう過程を通して、赤いだるまが完成していく形にしました。

Re Dharmaの画像ットボトルキャップを再利用して生まれたRe Dharma

だるまに書かれている「縁」という文字には、どのような想いが込められているのでしょうか?

本田さん 最初は「勝」「祈」「願」といった、駅伝の勝利に直結する文字も案にありました。ですが、学長と相談する中で、駒澤大学ならではの「禅的・仏教的な視点」を大切にしようという話になり、「縁」はいかがかと助言をいただいたんです。

仏教には、すべての物事は関係性において成り立つという「縁起(えんぎ)」という重要な教えがあります。「駅伝で襷を繋ぐ」ことも、「駒大の先輩から後輩へ伝統を繋ぐ」ことも、そして今回私たちが三井化学さんや青木先生と出会えたことも、すべてがひとつの大きな「ご縁」です。そこで、最終的には、「縁」という一文字に、私たちの想いを集約させました。

菅野さん 「縁」を僕自身も実感する出来事がありました。僕が1/5サイズ(全高30㎝)のRe Dharmaを箱根駅伝の応援に持って行った際、そこで出会った駒大の応援団長が同じ福島県出身だったことも縁なのですが、駒大の応援団が自校だけでなく、他大学の選手も一生懸命応援している姿を見て、スポーツが持つつながりの素晴らしさを実感しました。

橋本さん 駒大生は授業が終わるとすぐに帰宅する傾向がありますが、これを卒業式や入学式、オープンキャンパスなどのイベントにも活用して、その都度みんなからのメッセージを集めていきたいです。Re Dharmaを通して大学への愛着や、コミュニケーションのきっかけになればいいなと思っています。

捨てられるはずの800kgを宝物に。SNSと現場の工夫で乗り越えた回収の壁

Instagram活用とごみ箱の配置変更。学生を動かしたマーケティング視点

今回集まった約800㎏のペットボトルキャップはどのように回収したのですか?

菅野さん 約700㎏は元々学内にあったものでした。ワクチン寄付のために別のサークルが集めていたのですが、回収コストが見合わず廃棄されそうになっていたものを活用しました。

そこに僕たちが新たに集めた100kg程度を加えています。回収にあたっては、駒大生がいつも見ている学生支援センターのInstagram(フォロワー約8,500人)で「こういった活動を行っているのでペットボトルキャップの回収にご協力ください」といったストーリー投稿を何度か流していただきました。また、プラスチックのリサイクルの動画を三井化学に提供してもらい、食堂などで流してもらうようにしました。

学内12箇所のごみ箱の横に専用の回収箱を設置する際には配置を工夫し、ペットボトルのごみ箱のすぐ横に回収箱を置かせていただくことで、学生が回収に参加しやすい動線を作りました。さらに、回収箱に「箱根駅伝の応援になる」ことを明記して動機付けをした結果、気づけば回収できたキャップの数が増えていきました。

学内から寄せられた期待とポジティブな反応

ペットボトルキャップの回収を進めているときや、Re Dharmaができあがった後など、学生や教職員からはどのような反応がありましたか?

菅野さん 「やっぱり青木ゼミだな」という反応が多かったです。色々取り組んでいるゼミだと認知されているのを感じました。

眞壁さん ゼミの活動を見てもらえる機会は少ないので、ゼミが日常的に活動している姿を見てもらう良い「縁」になりました。キャップを集めていたことを知っている方からは「キャップがだるまになったんだ!」と驚きの声をいただきました。

菅野さん 年末には駒沢パーククォーターという駒沢大学駅付近の商業施設にも設置していたのですが、一般の方々も応援メッセージをたくさん書いてくださったり、写真を撮ってくださいました。駒大生として駒沢の町と「縁」でつながる良い機会でした。また、三井化学の方や3Dプリンターでの制作に協力してくれた株式会社アークの方も来てくれていました。

橋本さん 自転車置き場への通り道に設置できたので、駒沢に住む人たちに多く見てもらえたと思います。僕がいた日は隣にあるスタジオの見学に来ていた方々も、たくさんメッセージを書いてくれました。

3Dプリントで巨大だるまを創る。三井化学との「共創」と試行錯誤

再生プラスチックを用いた高さ1.4mの巨大だるまの制作

Re Dharmaの3Dデザイン画Re Dharmaの3Dデザイン画

再生プラスチックでの3Dプリントという挑戦はいかがでしたか?また、実物を見ての感想は?

菅野さん 僕の知っている3Dプリンターは卓上サイズだと思ってましたし、キャップの素材であるポリエチレンは本来3Dプリンターの原料として適していないと教えてもらっていたので、1.4mのだるまの実物を見た時は本当に圧倒されました。

戸室さん ブロック状に分かれてくると思っていたら、上下2個のパーツを重ねるだけで完成したので、その設計のアイデアと技術力の高さに感動しました。

橋本さん 思っていたより可愛くて「めっちゃいいじゃん」と。学生が通る場所に置くと、みんな「なんだこれ」と足を止めて、それをきっかけにメッセージを書いてくれました。

青木ゼミは、今回のプロジェクトのように企業と一緒に活動することは多いですか?

橋本さん 去年は学内に活動を閉じていましたが、今年は「大学外の組織と連携する」というのがテーマでした。今回は青木教授から三井化学さんに声をかけてもらいました。ゼミのもう1つのチームも別の企業と一緒にプロジェクトを進めています。

実社会のプロジェクト運営から得た工程管理と技術的学び

今回、企業と一緒にプロジェクトを実行してみて、いかがでしたか?

橋本さん 学びの連続でした。正直、企業の方々には学生ゆえの甘さでご迷惑をおかけしてしまった場面もあり、大きな反省もあります。ただ、去年まではゼミ内だけで完結していた活動から、今回は外に向けて発信し、社会と繋がる一段上のレベルに挑戦でき、社会人になる前にこの厳しさと醍醐味を経験できたことは財産となりました。

橋本さん橋本さん

菅野さん 僕は、スケジュール管理の厳しさを学びました。最初は後手後手になり、三井化学さんに催促される状況でしたが、納期を守ることやホウレンソウ(報告・連絡・相談)の重要性を学びました。

戸室さん 制約などによってできなかったことも多く、士気が下がってしまう期間もありました。それでも、時間があれば、対面やオンラインでも積極的にプロジェクトメンバーとコミュニケーションを取り、気持ちを切り替えてプロジェクトを進めていきました。どうやって士気を上げてゴールを見据えてやっていくか。それはすごく難しい部分であり、やりがいを感じた部分でした。

トライアンドエラーの連続でしたが、私たちがやりたいと言ったことに協力してくれた三井化学さんや青木ゼミの環境がなければ、ここまで辿り着けなかったと思います。

戸室さん戸室さん

本田さん 箱根駅伝の規定や、学内でのRe Dharmaの今後の管理をどうするかといった、自分たちの責任の範囲外のことで交渉しなければならない壁を乗り越えるのが難しかったです。

最後は、実際にキャップから作っただるまを大学に見せたことで、学生や教職員の反応が変わり、納得してもらい理解を得ました。

眞壁さん 難しかったこともありますが、学生と一緒に何かをしようという遊び心を持って受け入れてくださり、協力してくれた三井化学さんに感謝しています。

一方、大学という組織との調整の難しさを感じる場面もあり、物事を一つ進めるには、色々な立場の人と折り合いをつけていく必要があるんだな、と知ることができました。

眞壁さん眞壁さん

資源循環の実践がもたらした学生の意識変革

Re Dharmaに参加する前は、「サーキュラーエコノミー」や「プラスチック問題」に対して、どのような印象を持っていましたか?

本田さん 参加前は、サーキュラーエコノミーの「循環」という言葉からリサイクルを含めた3Rを連想していました。また、プラスチック問題に対しては、ストローの紙化や海洋汚染をイメージしていました。特に、プラスチックに関しては、自然界の色々なところに残ってしまう問題があると思っていました。僕の家の畑にも10年前のプラスチックのビニールなどが残っていたこともあり、便利だけれど処理に困ってしまうもの、という感じでした。

菅野さん 僕は、エアガンが好きなのですが、エアガンのBB弾はプラスチックなので、外に放置するとそのまま残ります。そして、高校生の時に、残ってしまうのは見栄えが悪いと思い、値段が高い「バイオマス弾」という土に還る弾を使っていました。身近なところですが、プラスチックに関して、環境負荷の低いものを選ぶように少し意識していたと思います。

身近なプラスチックごみや廃棄の仕組みを考えるきっかけに…

プロジェクト後でご自身や周りの認識や行動は変わりましたか?

菅野さん お恥ずかしい話、これまでは意識していなかったのですが、このプロジェクトを経て僕はちゃんとごみを分別するようになりました。三井化学の浜松のリサイクル設備も案内していただき、リサイクルの難しさも知ることができました。

本田さん 僕は、納豆のパックを自分で洗ってから捨てるようになりました。また、自治体によって分別ルールが違う点などに疑問を持つようになりました。理系の友人から「分別しすぎによって、たくさん化石燃料を使わないと焼却できなくなっている」という話を聞いて、「何が本当にエコなのか」という視点を持つようになりました。

本田さん本田さん

サステナビリティを「ポップで楽しい体験」へ。学生たちの展望

今後の展望や、挑戦したいことを教えてください。

眞壁さん SDGsは「綺麗ごと」というイメージがありましたが、それ以上に難しい部分も今回のプロジェクトに携わる中で感じました。でも、アップサイクルで新しい何かが出来上がると「面倒くさい」が「ポップで楽しい体験」に変わります。この「楽しさ」を発信し続けていきたいです。

本田さん リサイクルと聞くと難しそうですが、僕が家でリサイクルのために納豆のパックを洗うようになったなど、実は身近なことに関わっていて、難しいことではないんだよ、ということを伝えていきたいです。

戸室さん 今回、プロジェクトの一環で、学内の清掃を担当している会社にインタビューしました。そこで、「学生がごみの分別ができていない」という現場の苦労を知りました。駒大の分別意識がまだ高くないので、Re Dharmaを活用して、リサイクルやSDGsをポップに、でもしっかり伝えていきたいです。

菅野さん Re Dharmaのサブタイトルは『僕のヒーローアカデミア』のオマージュで、「さらに向こうへ(Plus Ultra)」です。作った側もメッセージを書いた側も、みんなでさらに向こうへ行けるように。

今回のプロジェクトもRe Dharmaを有名にするのが目的ではなく、サステナビリティやリサイクルなどに関心を持ってもらうきっかけ作りとしてやっています。マーケティング・ゼミの学生らしく、ハッシュタグも活用してしっかり発信・拡散していきたいです!
(※この取材内容は2025年2月時点のものです)

取材時のダイジェスト版動画も提供しています。ぜひ、こちらからご視聴ください。

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三井化学では、「世界を素(もと)から変えていく」というスローガンのもと、バイオマスでカーボンニュートラルを目指す「BePLAYER®」、リサイクルでサーキュラーエコノミーを目指す「RePLAYER®」という取り組みを推進し、リジェネラティブ(再生的)な社会の実現を目指しています。カーボンニュートラルや循環型社会への対応を検討している企業の担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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