ICTソリューション

事業本部長メッセージ

成長市場のニーズを捉え、ユニークな製品を生み出す。

専務執行役員 ICTソリューション事業本部長 平原 彰男

専務執行役員
ICTソリューション事業本部長

平原 彰男

ICTソリューション コア営業利益・ROICの目標

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三井化学グループは、2022年4月に、各事業本部にあったICT分野の製品やサービスを集約し、ICTソリューション事業本部を新たに立ち上げました。半導体・実装、イメージング、電池材料など長期的な成長が見込まれる市場に対して、当事業本部が中心となり、新たなソリューションを提供していきます。強い競合が存在するこの市場で、優位性を発揮していくためには、新たな付加価値を持つユニークな製品をスピーディーに生み出していくことが非常に重要となります。そのための研究開発基盤をさらに強化するべく、私たちがこれまで培った分子設計・合成技術をはじめとするコア技術を結集・連携させる中心機関として、ICTソリューション研究センターを新設しました。

様々な部門から集結した社員間の連携は、とてもスムーズに進み、開発テーマもどんどん生まれてきており、さらに社内外の組織とのシナジーの期待も高まっています。こうした連携を通じ、ICTと親和性の高いモビリティや、ヘルスケア領域等と関連したBlue Value®・Rose Value®製品の展開も、今後加速していく見込みです。

今三井化学グループは、VISION 2030のもと、これまでの殻から脱却し、ダイナミックに進化しようとしています。その先陣となり、グループ全体を牽引していける存在となれるよう、今後も当事業本部は果敢にチャレンジを続けます。

Blue Value® ・Rose Value®製品の状況

ICTソリューション事業本部の製品は、持続可能な地球環境を支えるAI、Beyond 5G等の進化に寄与することで、「まちの持続可能性確保」や「くらしの快適性向上」に貢献します。

2021年度は、当事業本部における売上収益のうち、Blue Value®製品が30%超、Rose Value®製品が50%超を占めています。今後も、社会要請の変化に合わせて既存認定製品群の性能・品質をさらに強化するとともに、新たな認定製品の開発を進めていきます。

売上収益および売上収益比率の推移
売上収益および売上収益比率の推移 図

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半導体・実装ソリューション:イクロステープ™―幅広い製品ラインナップでQOL向上に貢献―

イクロステープ™は半導体製造工程における、シリコンウエハ裏面研削時の表面保護テープであり、世界トップシェアを有します。

半導体市場は、AI活用の広まり、IoT化の進展、自動車や産業・インフラ分野などでも脱炭素・再生可能エネルギーへの取り組みなど、電子機器の高機能・高効率化により、引き続き高い成長が見込まれます。

当社グループは、このような半導体需要の拡大に的確に対応すべく、2023年10月営業運転開始を目指し、台湾工場において能力増強(現在の2倍以上に)を行い、国内の名古屋工場と合わせ、イクロステープ™の大幅な供給能力の拡充を図るとともに、BCP体制の強化にもつながります。また、これらの用途に加え、新領域への開発にも注力しており、耐熱性やピックアップ性を両立した機能性ダイシングテープや熱剥離粘着テープなど高い提案力で新たな製品を提供し、事業領域拡大を目指します。

半導体製造工程
半導体製造工程 図

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三井ペリクル™ ―ポートフォリオ拡充と技術開発で世界No.1ペリクルメーカーへ―

EUVペリクル

EUVペリクルは、回路線幅7nm以下の超微細化が進む先端デバイスに用いられる半導体への超短波長である極端紫外線(EUV)露光技術に対応したフォトマスクの防塵カバーです。

当社グループは、半導体リソグラフィーで世界No.1のASML社から独占ライセンス契約を受け、世界で唯一のEUVペリクルの商業生産を2021年4月に開始し、量産化へ向けて順調に稼働しています。また、継続的な技術開発によりEUV透過率改善を図り、顧客の生産性向上に寄与していきます。

三井ペリクル 図

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旭化成(株)のペリクル事業を取得

ペリクル事業では、LSIペリクル*1市場における高精細化や品質保証水準の高度化へ対応するため、一層の技術開発および継続的な追加投資が必要となっていることから、2022年5月、高度な技術と強固な事業基盤を持つ旭化成(株)のペリクル事業の取得を決定しました。同社はFPDペリクル*2市場におけるNo.1プレイヤーとして市場を牽引するとともに、LSIペリクル市場においても、製造工程の改良・生産能力の増強等を推し進め、特に先端品(液浸ArF)市場において近年シェアを拡大しています。

本事業取得のシナジー効果により、ペリクル事業の技術基盤の強化および製品ラインナップ拡大を図り、世界No.1の総合ペリクルメーカーを目指していきます。

*1 LSIペリクル:半導体向け。

*2 FPDペリクル:液晶・有機ELパネル向け。主な用途はスマホ、タブレット、PC、TV。

ペリクルの原理
ペリクルの原理 図

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イメージングソリューション:アペル®―能力増強や新市場への製品投入でさらなる成長を目指す―

アペル®は、ポリオレフィン樹脂と非結晶性樹脂の性能を融合させた、当社独自の環状オレフィンコポリマー(COC)で、非結晶性ポリオレフィンの中でも、最も高い屈折率を有しており、優れた光学特性から、透明性の高い光学レンズや光学部材に適し、高い評価を得ています。また、多眼化が進むスマートフォンカメラレンズを主用途として販売を拡大しており、加えて車載カメラレンズ(センシングカメラ、ビューカメラ、ドライブレコーダー、バックビューモニタなど)や、XR(AR/VRなど)デバイス用部材やヘッドアップディスプレイ用部材(集光レンズ、コンバイナーなど)への用途拡大を図っています。

当社グループは、このような新用途への展開や、2022年8月の新プラント営業運転開始により、急成長する市場ニーズに着実に対応し、さらなる事業拡大を図っていきます。

イメージングソリューション:アペル 図

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新事業・新製品創出に向けた競争力強化

新事業・新製品創出に向けた競争力強化 図

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当社グループは、ICT事業に関連する研究開発機能において現保有技術の整理と今後さらに強化すべき課題の抽出を行うとともに、新事業および新製品創出に向けた競争力の強化のための基本方針を策定しました。強化のポイントとしては、競合他社との差別化を図るため、川上の無機合成、有機合成などの「分子設計・合成技術」を将来のコア技術として位置づけ、組織的に蓄積、強化します。同時に、川下の顧客プロセス適合性評価や技術サービスなど、顧客評価立ち合いが可能なインフラ整備を行っていきます。

さらに、ICTソリューション研究センターの新設により、当社グループのコア技術を結集し、製品優位性(Uniqueness)を追求していきます。