ライフ&ヘルスケア・
ソリューション
事業本部長メッセージ
新体制のもと、本部一丸となってグローバルな社会課題・
ニーズに応えていきます。
常務執行役員
ライフ&ヘルスケア・
ソリューション事業本部長
田中 久義
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ライフ&ヘルスケア・ソリューション事業は、旧フード&パッケージング事業から農業化学品事業を切り離し、旧ヘルスケア事業と統合した事業セグメントです。これらの事業は同じ技術基盤を共有しており、生産面も含めた様々なシナジーが発揮できることを期待しています。健康・衛生意識の高まり、食資源不足や安全・安心な食の提供など、当事業本部が貢献しうる社会課題やニーズは幅広く、高い技術力・研究開発力を活かした幅広い製品群と、それらを通じた市場ネットワークを強みとして活かしながら、事業ビジョンの実現を目指します。2025年にはコア営業利益650億円、ROIC11%以上という高い目標を掲げており、継続的な事業基盤・市場の拡大および需要増に対応した能力増強を行うとともに、M&A等も活かした新技術・新製品の開発を加速していきます。またこれにより当事業本部がライフケアソリューション分野を中心として展開しているRose Value®製品群を、ウェルネス・メディカルソリューションにおいても拡大していくことで、2030年の売上収益比率目標85%の達成を目指します。今後はM&A・社外連携を通じた事業拡大を見据え、PMIなどの施策を確実に実行できる社内人材の育成が急務ですが、VISION 2030策定に際し、若手社員も交えて議論を重ねてきたことで、事業ビジョンを自分ごととして捉える空気が醸成できており、今後も本部一体となって事業を推進していきます。
Blue Value® ・Rose Value®製品の状況
当事業本部では、Rose Value®製品としてビジョンケア材料、パーソナルケア材料、不織布、オーラルケア材料、農業化学品等が認定されており、くらしの快適性向上や食料の生産性向上に貢献しています。特にコロナ禍においても農業化学品の需要は拡大しており、殺虫剤ジノテフランおよびテネベナール®の販売拡大に取り組んでいます。2022年度以降はオーラルケア領域のデジタル化に対応した新製品の開発・投入に努めていきます。Blue Value®製品については、三井化学グループは、排水処理で使用される高分子凝集剤の原料となるアクリルアマイドを環境負荷の低いバイオ触媒法により製造しており、また当該製造技術のライセンスと高活性バイオ触媒の供給をグローバルに展開することにより、世界のGHG排出量削減にも貢献しています。加えて、プラスチックの使用量を削減した中空不織布(エアリファ®)の販売拡大や植物由来の原料を使用したメガネレンズ材料(Do Green™)のラインナップ強化を進めていきます。
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ライフケアソリューション:ビジョンケア―幅広い製品ラインナップでQOL向上に貢献―
世界をリードするメガネレンズ材料
当社グループは、低屈折率から高屈折率まで、幅広くプラスチックメガネレンズ材料を展開しています。特に、高屈折率メガネレンズ材料の「MR™」は、世界のトップブランドレンズの品質を裏付けるレンズ材料ブランドとして高い評価を受けています。また、高品質ハードコート材を有する関係会社SDC Technologies社、防曇コート材に強みを持つFSI Coating Technologies社のほか、2020年に超撥水・反射防止コート材を持つCOTEC®社を新たに買収し、コーティング・ソリューションの強化を図っています。
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今後の成長戦略
重点市場の米国市場では、コストコ社によるMR™を用いたレンズの標準採用などを通じたポリカーボネート材からの転換推進、中国市場では、主要メガネ小売店でのMR™認知度向上による市場シェア拡大を目指します。また、環境ニーズに応えるために、植物由来レンズ材料であるDo Green™製品の屈折率1.60市場への上市により、ポートフォリオを拡充しています。同時に、高屈折率レンズの需要拡大に応えるため、大牟田工場の能力増強も予定しています。今後も、革新的なレンズ材料、コーティング材料、そして新技術を通じて、メガネを必要とするすべての人に、最良の視界品質QOV*を提供する製品開発に取り組んでいきます。
* QOV(Quality of View)とは、視力の最適化や快適な見え方、目の健康管理、病気予防など目に関わる生活の質、満足度の尺度です。
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ウェルネスソリューション:農業化学品―新原体を加えた成長ドライバーでさらなる事業拡大へ―
三井化学アグロ(株)のグローバル展開
三井化学アグロ(株)は、分子設計、有機合成、生物評価において、長年の実績に基づく高度な農薬創製技術を有し、独自性の高い新規原体の創製と製品開発を行っています。
現在、海外事業基盤を強化しており、具体例として、重要害虫に優れた効果を示すジノテフランは、最大市場であるブラジルの農業生産者の期待が高く、販売拡大に注力しています(登録国数:農業41か国、非農業28か国)。また殺虫剤テネベナール®を有効成分とする製品群は、登録国を拡大中です(同:農業10か国、非農業5か国)。さらに、ベクターソリューション事業は、新興国への展開を通じてQOL向上に貢献します。
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Meiji Seikaファルマ(株)の農薬事業を取得
三井化学アグロ(株)は研究開発を基盤に、変化をリードし製品・サービスを通じてサステナブルな食と生活に貢献するグローバル・ソリューション・カンパニーを目指しています。
2022年1月にMeiji Seikaファルマ(株)から農薬事業((株)MMAG)を取得したことにより、①新たな成長ドライバー・人材の獲得、②国内市場でのプレゼンス強化、③海外ポートフォリオ・ライセンス強化、④環境配慮型ポートフォリオの拡充、⑤創薬力の強化が実現し、事業成長のスピードアップが期待されます。特に三井化学アグロ(株)の保有する成長ドライバーであるジノテフラン、テネベナール®に、(株)MMAGの保有するプロベナゾール、フルピリミン、グルホシネートPが新たに加わります。環境配慮型原体を含む原体ポートフォリオも一層拡充し、国内および海外重点国(ブラジル/インド/東南アジア)に展開していきます。
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メディカルソリューション:オーラルケア/整形外科材 ―培った開発・技術力を活かし整形外科領域に本格参入―
オーラルケア
オーラルケア分野は、金属から樹脂への材料転換が進んでいます。当社グループはここに素材開発力を投入し、歯科医・技工所が求める革新的な製品・サービスの提供により、歯科治療におけるQOL向上への貢献を目指しています。
当社グループは40年前にサンメディカル(株)を設立し、歯科臨床知見や歯科材料技術を蓄積しながら、生体親和性が高く臨床実績のあるスーパーボンド®等の特徴のある製品を開発・上市してきました。さらに、自社のポリマーサイエンス技術に加え、Kulzer社のグローバルプレゼンスと歯科材料技術、Dentca社のデジタル関連技術を組み合わせることで、修復材、義歯および3Dプリンター等の注力領域に新製品を投入し、着実に成長を続けています。特に3Dプリンター領域では、歯科医・技工所に対して歯科臨床知見を活かしたソリューションを提供し、様々な用途に対応したインクラインナップを拡充していくことで、歯科治療ワークフローのデジタル化に貢献していきます。
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整形外科領域への進出
整形外科領域は、健康寿命延伸とQOL向上ニーズを背景に、今後も市場拡大が見込まれます。また、技術トレンドとしては金属から樹脂といった材料転換が進んでおり、当社グループは同様のトレンドにある歯科材料で培った生体親和性や安定性に優れる素材技術等を活用し、整形外科材料の開発を進めています。今後は材料転換や治療手法の転換等新たなソリューションを提案していきます。
2021年12月、当社グループは整形外科領域への参入に向け、(株)日本エム・ディ・エムに出資し、資本・業務提携契約を締結しました。これにより、①同社のネットワークを活かした臨床ニーズ情報の収集強化、②共同での新製品開発の加速、③同社の日米販路および薬事等の医療事業基盤の活用、が見込まれます。
両社のシナジー追求に向け、当社より役員・社員を派遣しているほか、両社メンバーからなる各種ワーキンググループを立ち上げ、共同開発等の取り組みを開始しています。今後、開発品の上市とともに、さらなるM&A・提携による事業基盤の拡充を通じて、整形外科事業の拡大を図っていきます。
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不織布主要製品であるシンテックス®MBは、独自の細繊維化技術を活かし、最先端の半導体用CMPスラリーや、MLCCの製造工程等に異物濾過用途に使用されています。2023年4月よりシンテックス®MBの製造プラントを増設し、今後の需要増に対応していきます。