モビリティ
ソリューション

事業本部長メッセージ

モビリティ分野の大変化をチャンスと捉え、新たな事業機会の獲得に取り組みます。

常務執行役員 モビリティソリューション事業本部長 小守谷 敦

常務執行役員
モビリティソリューション
事業本部長

小守谷 敦

モビリティソリューション コア営業利益・ROICの目標

ピンチイン・ピンチアウトで拡大してご確認いただけます。

当事業本部は、旧モビリティ事業本部から、ICTと親和性の高い機能性ポリマー事業を移管し、新たな体制でスタートしました。現在、モビリティ分野はサステナビリティ意識の高まりなどを背景に、CASE・MaaSと言われる大きな変化の真っただ中にあります。こうした外部環境に対し、当事業本部では、グループの持つ高い技術力・品質や幅広い材料ラインナップを活かした素材提供型ビジネスと、素材・サービスを融合したソリューション型ビジネスを通じ、社会課題の解決に貢献していきます。素材提供型ビジネスでは、今後の需要増に対応するべくグローバルでの生産体制の全体最適化を進めると同時に、競争優位性の発揮できる高成長・サステナビリティ領域への資源集中に取り組みます。ソリューション型ビジネスでは、他社との連携も通じて、先行開発の段階で量産開発までを視野に入れた提案を行うコンセプトプッシュ型ビジネスと、素材メーカーとしての技術・知見を活かしたサービス提供による事業機会探索を推進します。上記戦略の実行により、環境課題に対応したBlue Value® 製品の売上収益比率向上とともに、サービス等の提供によるRose Value®製品の拡大にも寄与していきます。今後は、全社で進めているDX・CX戦略を当事業本部内にも落とし込む、いわば事業本部単位でのCXを通じた業務効率化や組織健康度の向上にも取り組み、事業ビジョンの実現を目指します。

Blue Value® ・Rose Value®製品の状況

当事業本部は、世界的な環境意識の高まりに呼応するバリューチェーンの開発トレンドにリンクして、自動車の軽量化、省エネルギー、易リサイクル性、再生可能エネルギー用途での機能向上に寄与する開発に取り組んでいます。2021年度はサプライチェーンを通じて製造・加工エネルギー低減に資する製品などを中心にBlue Value®製品を拡大しました。今後も引き続き、マテリアルリサイクルへの対応など、サーキュラーエコノミー実現に資する製品・サービスの創出や販売・開発・生産戦略の推進を通じて、Blue Value®製品の性能・品質を強化し、当該分野での貢献に努めます。

売上収益および売上収益比率の推移
売上収益および売上収益比率の推移 図1

ピンチイン・ピンチアウトで拡大してご確認いただけます。

素材提供型ビジネス:エラストマー重合製品:タフマー®―他用途展開・高付加価値化による収益力強化と、需要伸長に向けた供給体制の強化―

三井化学グループのタフマー®は、自動車用バンパー・インパネ用材料向けとして世界シェア2位、アジアシェア1位を誇っています。

タフマー®は柔軟性や軽量といった特長を持ち、幅広い用途に対応する樹脂改質材・軟質成形材料です。現在、各国政府が推進する再生可能エネルギーの普及を背景に、太陽電池市場は急速に拡大しており、タフマー®はその封止シート向けに採用が拡がっています。太陽電池用封止材用途では、従来のEVA系封止シートと比較して、タフマー®は長期間の出力維持が期待でき、総発電量向上が見込まれるほか、吸水率が低いため耐水性が向上し、厳しい環境下でも発電を持続できるという利点があります。

今後の太陽光発電市場の伸長や、さらなる他用途展開による成長需要の獲得を目指し、12万tの生産能力増強(2024年度完工予定)を意思決定し、供給体制の強化を図っていきます。

売上収益および売上収益比率の推移 図2

ピンチイン・ピンチアウトで拡大してご確認いただけます。

マテリアルリサイクルの取り組み

―リサイクルシステムの構築により、サステナブルな社会の実現に貢献―

当社グループでは、ケミカルリサイクルおよびマテリアルリサイクルの社会実装実現に向け、自治体やブランドオーナーとの連携を通じて、資源の回収から再資源化の実証実験を行うとともに、リサイクル関連技術の開発に取り組んでいます。

この一環として、当事業本部では、プラスチックのリサイクル工程において自動車の燃料タンク等に採用されているアドマー®を添加することにより、リサイクル材に対し相溶性の付与および耐衝撃性の低下を抑制する取り組みを行っており、これにより、プラスチックリサイクルのさらなる普及への貢献が見込まれます。

マテリアルリサイクルの取り組み 図

素材提供型ビジネス:複合材料製品:PPコンパウンド―高いグローバルシェアと技術力を活かし、成長市場を捉える―

グローバルに高いシェアを誇る当社グループの自動車材PPコンパウンドは、成形性に優れるポリプロピレンに、エラストマーやタルク等をコンパウンドすることで耐衝撃性と剛性を向上した材料です。PPコンパウンドはバンパーやインストゥルメンタルパネル等に採用されており、特に原料に遡り樹脂そのものを設計する技術等により様々な顧客ニーズに応える高品質な製品を提供し高い評価を得てきました。現在は、1台当たり約50~60kg使用されていますが、今後加速するEV化による車体の軽量化ニーズは強まり1台当たりの使用量はさらに増加すると見込まれます。当社グループは、世界主要地域で9つの生産拠点*1と7つの研究拠点*2を有し、自動車メーカーのグローバル戦略にスピーディーに対応できる体制を構築しています。また、近年では従来のPPコンパウンドだけでなく、金属からの代替素材としてガラス長繊維強化ポリプロピレンの提供によりバックドアやスライドドア等の樹脂化への採用が進んでいます。今後も、電気自動車に向けたさらなる軽量化や社会課題の解決に向け、当社グループの技術優位性と供給能力を活かしながら、需要拡大や新たなシェアの獲得に合わせて、成長市場を確実に捉えてさらなる事業強化を図ります。

*1 オランダ、中国、インド、日本、タイ、米オハイオ州、米テネシー州、メキシコ、ブラジル

*2 オランダ、中国、インド、日本、タイ、米オハイオ州、米テネシー州

素材提供型ビジネス:複合材料製品:PPコンパウンド 図, 世界自動車生産台数

ピンチイン・ピンチアウトで拡大してご確認いただけます。

ソリューション型ビジネス:モジュールコンセプト提案型ビジネス―これまで培ってきた技術と知見を活かし、新たなビジネスモデルの確立を目指す―

現在モビリティ領域において、CASEやMaaSの進展により、自動車に求められるニーズの多様化や、モビリティ産業における開発プロセスの効率化、水平分業化や異業種の参入といった事業環境の大きな変化が起こっています。こうした中で、当事業本部では新たな事業機会を捉えるためのモジュールコンセプト提案型ビジネスの構築を進めています。これは、さらなる自動車の軽量化や快適性の向上等のニーズに対し、先行開発の段階から量産技術を担保したモジュールコンセプトを提案し、量産段階における素材提供だけでなく、量産開発の各過程においてサービスを提供していくものです。

当社グループがこれまで(株)アークの完全子会社化などを通じて強化・獲得してきた設計、解析機能、金型設計といったソリューション機能に、素材メーカーとしての技術・知見を組み合わせ、さらに社外パートナーとの連携も活かしながら進めていきます。すでに現在、外装、内装等におけるコンセプト提案が進行しています。当事業本部では、このようにVISION 2030で掲げたソリューション型ビジネスモデルへの変革に向け新たなビジネスモデルの確立を急ピッチで進めることで、モビリティ領域における社会課題の解決と事業機会の獲得を実現します。

ソリューション型ビジネス:モジュールコンセプト提案型ビジネス 図

ピンチイン・ピンチアウトで拡大してご確認いただけます。