現代社会に不可欠な素材であるプラスチックの資源循環を加速させ、リデュース・リユース・リサイクルを強化し循環型社会への移行を目指すRePLAYER®、枯渇性資源の石油に代わってバイオマス由来化学品やバイオマスプラスチックの社会浸透を目指すBePLAYER®、三井化学はこの両輪でサステナブルを超えたリジェネラティブ(Regenerative:より良い状態に積極的に再生していくこと)な未来の実現を目指します。
目次
循環型社会の実現に向けて
一口に循環型社会と言っても、地球で生活する一人ひとりが、この社会の向かう先やあり方について理解し、行動を変えていかなければ実現できるものではありません。
循環型社会とはどのような社会なのだろう?
カーボンニュートラルを実現するには、何を変えていかなければならないのだろう?
こうした課題は大きくて難しそうだし、自分ゴトとして理解しにくい話だと思います。
三井化学はプラスチック素材を製造するメーカーとして、こうした問題に当社がどのように取り組んでいるかを発信すると同時に、さまざまな立場の意見もわかりやすく伝え、豊かな循環型社会の実現の姿を皆さまと一緒に描いていきたいと考えています。
地球で暮らす一人ひとりが循環経済を実現するPLAYERである
私たちは豊かな循環型社会、カーボンニュートラル社会を目指して行動する人たちを「PLAYER(プレイヤー)」と捉え、共に解決に向けて行動していきたいと考えています。
また、その実現は大変な道のりですが、皆で知恵を出し合い協力しあえば、この大きな課題も乗り越えていけると信じています。そのためには正確な情報の発信と共有が大切です。
私たちはそうした未来を拓くためのコミュニケーションを2つのブランドを通して積極的に行っていきたいと思います。
BePLAYER®とは
BePLAYER®(ビープレイヤー)とは、カーボンニュートラルの実現に向けて社会のバイオマス化を推進する取り組みです。
たとえば、バイオマスナフサを使用することで、さまざまな素材のバイオマス化を推進し、カーボンニュートラル社会の実現を目指します。
温暖化問題の解決に向けて、ステークホルダーやすべてのPLAYER(行為者)の皆さまと共に社会のバイオマス化を進めることでGHG排出量の削減を目指していきます。
バイオマス化学品やバイオマスプラスチックへの理解と市場開拓―――これが私たち三井化学に託された大きな課題です。
現時点では、世界でも日本でもバイオプラ(バイオマスプラ+生分解性プラ)の普及率はわずか1%未満にとどまっています。
三井化学が進める素材の素材を見直すことで社会のバイオマス度を高めるバイオマスナフサのアプローチは、これまで以上にバイオマスプラの種類や供給量を増やすことが可能になります。
市場を開拓していくには、私たちの活動に賛同し協力してくれる仲間-PLAYER-を増やし、共に活動の場を広げていくことが必要です。
今をまさに素材の転換期と捉え、三井化学はバイオマスへの移行を率先して取り組み、推進する旗振り役として活動していきます。
カーボンニュートラルの実現に貢献する素材や技術の提供を通して、生活者の皆さまのより低環境負荷なライフスタイルの実現に貢献していきたいと思います。
RePLAYER®とは
RePLAYER®(リプレイヤ―)は、サーキュラーエコノミーの実現に向けて廃プラ等の廃棄物を資源として有効活用するリサイクルを推進する取り組みです。
日本では850万t(2019年)の廃プラスチックが排出されています。(※1)
※1:プラスチック循環利用協会、プラスチックリサイクルの基礎知識2021:https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf
一方、そのリサイクル率は、熱回収によるサーマルリサイクル(60%)を除くと、素材としてそのまま再生利用されているマテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)は22%(186万t)、ガス化や油化などのケミカルリサイクルは3%(27万t)で、合わせて25%にとどまっています。
もちろん、プラスチックの中でもペットボトルについては、分別回収が進んでおりリサイクル体制が確立されていることから、88.5%(2020年)と世界的に見ても非常に高いリサイクル率を実現しています。(※2)
※2:PETボトルリサイクル推進協議会、PETボトルリサイクル年次報告書2021:https://www.petbottle-rec.gr.jp/nenji/new.pdf
しかしながら、それ以外のプラスチック製品のリサイクルについては、まだまだ課題が多いのが実情です。
その理由の1つは、ペットボトル以外のプラスチックは素材別の分別回収の対象ではないことが挙げられます。というのもプラスチックには、たくさんの素材があり見た目だけではなかなか判別が難しいことがあります。また、種類が多いため分別が煩雑にもなりますし、回収も非常に難しい作業となってしまいます。
2つ目は、パッケージなどには必ず印刷がされていることが挙げられます。
商品の包装に使われることが多いプラスチックですが、パッケージは商品の中身を守る役割だけでなく、中身を紹介するための広告として機能しています。そのためさまざまな色で印刷が施されています。印刷されたプラスチックをマテリアルリサイクルすると、すべての色が混ざり合って、グレーや黒っぽい原料となります。そうするとリサイクル後の用途が限られてしまうという課題があります。
三井化学グループでは、印刷されたフィルムからインキを除去して透明なフィルムに戻し、リサイクルする技術を開発しています。
(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/special/packaging_solutions/pdf/01_RECYCLE_RePLAYER.pdf)
3つ目は、パッケージの多くは単一素材ではなく複合素材であることです。プラスチックにはそれぞれ異なる機能があります。例えば、ナイロンには強度やバリア性、ポリエチレンにはシール性、耐薬品性など―――。
それらの異なる特徴を組み合わせて、目的の機能を持たせています。一見1枚のフィルムに見えても、実は異なる素材が何層にも組み合わさっています。
こうした複合素材であることが、リサイクルをより難しくしています。
三井化学では、単一の素材で複合素材相当の機能を持たせた「モノマテリアル化」の研究を進めています。グループの素材や技術を横断的に集め、よりリサイクルしやすい製品設計の提案や技術の開発を進めています。
また、複合素材はマテリアルリサイクルでプラスチック原料に戻した際に、異なる素材が混在するため、プラスチック原料としての品質が一定化しません。
そうした課題に対し、異なる素材同士でも混ざりを良くするための相容化技術や相容化改良素材の提案を行うことで、リサイクル品の品質を向上させ、社会のリサイクル率を上げるための活動を進めています。
これら課題をひとまとめに解決する可能性を秘めたリサイクル方法がケミカルリサイクルの技術です。
現状では技術的な課題がまだまだ多いのも事実ですが、ガス化や油化、あるいは直接モノマーに戻すことによって、廃プラなどの廃棄物を原料として新たに化学品やプラスチックを作り出す技術開発も進めています。
こうした新素材、リサイクルシステム、そしてバリューチェーンの開発を通じて、循環経済の輪を大きく、そして太くしていこうというのがRePLAYER®の取り組みになります。
BePLAYER®、RePLAYER®ともに、素材の素材まで考えるという私たちの方策は、カーボンニュートラル、そしてサーキュラーエコノミーの実現という大きな目標に向けた、重要なチャレンジです。
未来に向けて両輪で走る―――リジェネラティブな社会を実現するために
BePLAYER®とRePLAYER®は車輪の両輪です。再生可能資源の活用とストック資源の有効活用、これらが同時に進行することでサステナブルを超えたリジェネラティブな循環型社会が実現します。
私たちは素材の会社だからこそ、そうした未来へ貢献していけるとともに、大きな責任があると考えています。
リジェネラティブな循環型社会の実現に向けて、化学の力を結集して問題に対峙し解決の糸口を見つけていきたいと思います。
「BePLAYER®」は、通常のプラスチックよりも値段は高い。でもその分、志も高い。
「RePLAYER®」は、社会実装への課題は大きい。でもその分、未来への貢献も大きい。
私たち三井化学はパートナー企業や生活者の皆さまとともに、一歩ずつ、でも着実に、素材の素材から世界を変えていきます。