そもそも、なぜ銀製のアクセサリーは黒ずんでしまうの?
蝉の声も一段と大きくなり、いよいよ夏本番! ファッションも軽やかになる季節になりました。そんな季節のちょっとしたおしゃれに役立つシルバーアクセサリーですが、久しぶりに見てみると黒ずんでいたことはありませんか? じつはこの黒ずみ、簡単な方法できれいに落とせるんです。夏の暑さにも負けず汗をぬぐいながら、カガクに詳しい「モルおじさん」が今回も詳しく解説します。
そもそも銀製のアクセサリーは、どうして黒ずんでしまうのかご存知でしょうか? その原因は、アクセサリーの銀の原子と、皮膚や髪の毛のタンパク質に含まれている硫黄の原子が結びつく「硫化反応」にあります。この反応によって、銀が「硫化銀」という黒いサビになってしまうのです。
では、もとのきれいな銀に戻すには、どうしたら良いのでしょう。ここから、その方法を解説します!
いざ、検証! 銀のピカピカを取り戻すキーアイテムは「アルミ箔」
まず、容器のなかに水を入れて、さらに重曹(食塩でもOK)を少し入れてかき混ぜます。重曹によって水中に「電極」をつくることができます。この電極とは、簡単にいうとプラスとマイナスの電子が集まる、電気が流れやすい場のことです。
次に、丸めたアルミ箔を入れ、そこヘ黒ずんだアクセサリーを入れます。
すると化学反応が起きて、アルミ箔がマイナス極、硫化銀がプラス極の電池になります。アルミ箔は水中のプラス電子を帯びて溶け出し、硫化銀はマイナス電子とくっついてもとのきれいな銀になっていきます。前者の化学反応は、「アルミニウムの酸化反応」で、後者は「硫化銀の還元反応」といいます。
硫化以外の変色(汚れ、塩化など)で黒ずんでいる場合は、完全にきれいに戻らない可能性もありますが、硫化銀であれば、この方法できれいな銀に戻るはず。
また、使用した重曹水は、水質汚染で問題とされるBOD(※1)やCOD(※2)の値がゼロで環境ホルモンも含んでいないため、汚れを取ったあとの水をそのまま台所などに流しても自然環境への負荷はほぼありません。
お気に入りのアクセサリーを長く使うためにも、ぜひ今回の方法を試してくださいね!
※1 BOD:Biochemical Oxygen Demand(生物化学的酸素要求量)微生物が水中の有機物を分解したときに消費する酸素量のこと
※2 COD: Chemical Oxygen Demand (化学的酸素要求量)水中の有機物を酸化剤で酸化した際に消費される酸素量のこと