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素材や化学にまつわる素朴な疑問をひも解く連載「カガクのギモン」。今回は、「炭酸飲料にラムネを入れると吹き出すのはなぜ?」という疑問にカガクに詳しい「モルおじさん」が答えます。
※ 本記事は、2016年秋号として発刊された三井化学の社内報『MCIねっと』内の記事を、ウェブ向けに再編集して掲載しています。
イラスト:ヘロシナキャメラ 編集:生駒奨(CINRA)
炭酸飲料の「シュワシュワ」はどうやってできる? 二酸化炭素と液体の不思議な関係
うだるような暑さが続く今日このごろ。汗をかいて喉が渇いたときに飲みたくなるのが炭酸飲料ですよね。夏はついついサイダーやコーラを買ってしまう、という人も多いのではないでしょうか。
ところで、インターネットの動画サイトには、炭酸飲料にラムネ菓子を入れる動画がたくさんアップロードされていますよね。飲み物が勢いよく飛び出す様子が爽快な人気企画です。みんな一度は試したことがある身近な現象ですが、そもそもなぜ起こるのでしょうか? 今回も、カガクに詳しい「モルおじさん」が解説します。
暑い日はついつい炭酸飲料を飲んでしまう、カガクに詳しい「モルおじさん」
まず、炭酸飲料はどうしてシュワっとしているのでしょうか? それは圧力をかけて、二酸化炭素を溶け込ませているから。そして、液体に溶け込ませることができる二酸化炭素の量は、圧力の強さに比例します。これを「ヘンリーの法則」といいます。
炭酸飲料は、容器を振らずにフタをそっと開ければ吹き出さずに飲むことができます。これは、フタを開けることで圧力が弱まっても、ある程度は安定状態が保たれて、二酸化炭素が溶けたままでいてくれるから。この状態を「過飽和」と呼びます。しかし、過飽和状態はちょっとした刺激で簡単に崩れ、二酸化炭素は泡(気体)になり膨張します。
ラムネが二酸化炭素に与える影響とは? 身近なお菓子が持つ目に見えない秘密
いよいよ、「なぜラムネを入れると吹き出すのか」を考えていきましょう。じつは、ラムネ菓子の表面には細かい粉や目に見えない小さな穴がたくさんあります。こうした細かな要素が、液体に無理やり閉じ込められた二酸化炭素が膨張するキッカケ(カガク用語で「核」といいます)になるのです。
膨張した二酸化炭素はビンやペットボトルのなかで行き場を失い、飲み口から外に飛び出します。飲み口は小さく細いので、噴水のように勢いよく吹き出すのです。
身近なもの同士でも、組み合わせると大きな反応が起きるのがカガクの醍醐味のひとつ。暑すぎる夏にはソーダの噴水を浴びたくなるかもしれませんが、食べ物&飲み物を粗末にするよりは、普通に飲んで涼むほうがいいかもしれません。
モルおじさんのひとこと
今回は、炭酸水にラムネを入れると噴き出す原因がラムネ菓子の表面にある沢山の穴であることを紹介しました。じつは「穴」というのは炭酸水を噴射するだけでなく、防音、衝撃吸収、消臭、断熱、フィルター、化学反応の触媒など、さまざまな効果を発揮しています。例えば防音するために一役買っている吸音材にはグラスウールやウレタンスポンジなどの穴の開いた材料が使用されています。
防音に着目したMOLpのプロダクトに、『/OF -321 IDEA CAVE 』 があります。一般的な吸音材は高周波しかカットできないため、オフィスなどに防音環境を整備しても低周波を防ぎきれないという問題がありました。そこで『/OF -321 IDEA CAVE』には、特定の音のみを小さくする技術を使用。われわれ「おじさん」(ある年齢以上の男性)が発する特有の音(低周波)を低減させるための装置として企画しました。
さらにIOT照明やワイヤレス給電製品を採用し、内部も心地よい空間に仕上げています。おじさん特有の周波数を防ぐことで、おじさんも周りの人も心地よくお仕事ができるようにしているんです。モルおじさんもいま『/OF -321 IDEA CAVE』に入って、優雅に「モルおじさんのひとこと」を書いています。