ロボットハンドの開発・製造
ゲルと金属の一体成形技術で拍手音を再現
バイバイワールド株式会社様
コミュニケーションロボットのエンターテイメント性を追求する上で、ロボットのスキンやハンドに人間に近い柔らかい素材を使用したいというニーズが増加しています。
人間の肌に近い柔らかさを再現した素材は、主にロボットの触り心地の向上に貢献しますが、さらに人間らしい動作音を再現することもできます。
バイバイワールド社の「ビッグクラッピー」は、拍手と音声を掛け合わせることで人を楽しませる拍手ロボットです。ハンドの形・大きさを従来モデルと変えずに、より人間の拍手に近い音を実現したいという顧客要望に応えるため、音響テストで人間の拍手音を解析したうえ、新たなウレタン系ゲル素材のエラストマー材料を開発しました。その結果、素材変更だけで、ビッグクラッピーの拍手音を改良することに成功しました。
拍手音再現のための最適な材料開発と一体成形技術
拍手音を再現するために、ゲル素材の分子構造を変化させ、素材の特性を制御することで最適な材料を開発しました。また、開発した素材を金属と一体成形することで、柔らかくも耐久性の高い部品の製造が可能となりました。
拍手ハンドの材料設計
ゲル素材の分子構造を変化させることで、硬度・粘性・弾性を制御し、硬さや反発性の異なる拍手ハンドのサンプルを作成
音響の解析
時間-周波数特性解析を行い、人間の拍手音に周波数の近い素材を選定
お客様のフィードバックをもとに最終決定
音響テストで人の拍手に近い周波数特性を再現できる組成を絞り込んで複数のサンプルを作成。三井化学とバイバイワールド両社で官能評価を実施し、拍手ハンドに最適なエラストマー材料を最終決定
成形品の提供
金属(ハンドの骨)とゲル素材を一体成型し、ハンドを部品としてバイバイワールド社に供給
ビッグクラッピーの紹介
バイバイワールド社 エンターテインメントロボット「ビッグクラッピー 2020」
ハンドの形や大きさはそのままに素材のみを変更し、より人間の拍手に近い音を実現しました。
当社開発によるウレタン系ゲルで成形
当社開発によるウレタン系ゲル材料を用いてロボットハンドを成形しました。
従来モデルのハンドと開発品の拍手の解析
当社開発のウレタン系ゲル材料を用いたハンドの拍手音(右)は、従来のハンドの拍手音(左)と比べて広い周波数帯で音圧レベルが高く、人の拍手音の周波数特性(右 紫の点線部分)に近いことが分かります。
三井化学のロボット開発ソリューション
三井化学では、材料開発・選定、設計開発、部品加工、評価/分析といったロボット開発に必要なソリューションをワンストップで提供しております。
ロボット開発において抱えている技術課題に対し、これまでに培った樹脂素材の豊富な知見を活かし解決します。