事例紹介

温度制御機能を持つ、
柔軟なロボット外装材の開発

フランス国立科学研究センター

コミュニケーションロボットの外装材には、触り心地が良く快適で、人に安心感を与えるような素材や機能が求められます。
フランスのモンペリエ大学、フランス国立科学研究センター(CNRS)による共同研究機関であるモンペリエコンピューターサイエンス、ロボット、マイクロエレクトロニクス研究所(LIRMM)では、人間が温かさや冷たさを感じられるコミュニケーションロボットの研究開発を行っており、三井化学はこの研究に協力し、独自素材を開発してLIRMMに提供しました。

温度調整機能付きソフトロボット外装材
フランス LIRMM 大澤友紀子氏、Abderrahmane Kheddar氏,
三井化学 飯田健二、景岡正和、金原悠帆による共同開発
出典:https://www.youtube.com/watch?v=toOw2RDNx7I

LIRMMと温度制御装置を共同開発

ウレタンゲル/ウレタンフォーム積層の界面にソフトな熱媒流路パターンが内包された二層構造の柔軟な素材をLIRMMに提供。LIRMMが液体流路内の水を温熱/冷却する温度制御装置と循環装置を取り付けることで、この素材に温度調整機能を持たせ、触ると温もりや冷たさを感じる外装材を開発しました。研究結果は、LIRMMの公式Youtubeで公開されており、今後、コミュニケーションロボット分野での採用が期待されています。

応力解析 LIRMM:
温熱・冷却タンクで温度調節された水を外装材の微細な流路に循環させることで外装材の表面温度を調整する仕組みを開発
出典:https://www.youtube.com/watch?v=toOw2RDNx7I
動的構造解析 三井化学:
温水・冷水を流す微細な流路を配した、フォームとゲル積層の柔軟素材を開発
出典:https://www.youtube.com/watch?v=toOw2RDNx7I

熱伝導性と柔軟性を両立するためにウレタンゲルとウレタンフォームを積層

当プロジェクトでは、コミュニケーションロボットに人間の温もりを与えるために、外装材に柔軟性のある触感を与えるとともに、温度を制御する機能を持たせることが必要でした。

そのため、温度制御装置開発にあたり、熱伝導性と柔軟性を高めるため、ウレタンゲル、ウレタンフォームの両素材を積層して使用しています。

  • ウレタンゲル:一般的なウレタンゲルよりも熱伝導率を上げた設計にしており、外装材の外側にのみ熱を伝導します。
  • 熱媒流路:温水・冷水が流れることで外装材の温度を調節します。
  • ウレタンフォーム:外装材の内側に熱が伝わらないよう、断熱性のウレタンフォームを内側に積層しています。
  • 一般的に、熱伝導率を上げるには硬い材料を用いますが、ウレタンゲル/ウレタンフォームを積層構造により、熱伝導率が良く柔らかい外装材を開発しました。

表面温度調整機能付きの柔軟な外装材の開発を樹脂選定から支援

樹脂部品の材料選定

柔軟性があり、かつ熱伝導性を高めた樹脂を選定

樹脂部品の構造設計

ウレタンゲル/ウレタンフォーム積層の界面にソフトな熱媒流路パターンが内包された積層体サンプルを作成し、実際に注水して水漏れがないか確認

LIRMMのフィードバックを基に
部品設計を最適化

積層体サンプルをLIRMMに評価してもらい、フィードバックに基づき、より適切な設計と成形方法を検討

特許申請

LIRMMと共同で「ロボット温度制御装置」として特許出願し、海外出願も実施

三井化学のロボット開発ソリューション

三井化学では、材料開発・選定、設計開発、部品加工、評価/分析といったロボット開発に必要なソリューションをワンストップで提供しております。
ロボット開発において抱えている技術課題に対し、これまでに培った樹脂素材の豊富な知見を活かし解決します。