ペットボトルの蓋とラベル、分別する必要は?
持ち運びが便利でどこに行っても手軽に飲み物を楽しめるペットボトル飲料。捨てるときにはキャップを外し、ラベルをペリッとはがし、最後に中身をすすいでペットボトル専用のゴミ箱へ。
「どれもみんな同じ素材に見えるけど、そのまま捨てたらダメなのかな?」と思ったことはありませんか?
実は、ペットボトルのキャップやラベルを分別して捨てるというひと手間には、資源をリサイクルするうえで深いワケがあるのです。
今回も、カガクに詳しい「モルおじさん」が解説します。


カガクのギモン
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素材や化学にまつわる素朴な疑問をひも解く連載「カガクのギモン」。今回は、「どうしてペットボトルを分別する必要があるの?」という疑問に、カガクに詳しい「モルおじさん」が答えます。
結論から言うと、ペットボトルは本体、キャップ、ラベルでそれぞれ異なる種類のプラスチックが使われているため、混ぜてしまうとリサイクルができなくなってしまうからです 。
この「素材の違い」を知ると、分別のひと手間が、未来の資源を守る大切なアクションに見えてくるでしょう。モルおじさんと一緒に、分別の向こう側にあるカガクをのぞいてみましょう 。
執筆:ジャスミン(三井化学) 監修:藤本恵造(三井化学グリーンケミカル事業推進室) イラスト:ヘロシナキャメラ 編集:森谷美穂(CINRA)
持ち運びが便利でどこに行っても手軽に飲み物を楽しめるペットボトル飲料。捨てるときにはキャップを外し、ラベルをペリッとはがし、最後に中身をすすいでペットボトル専用のゴミ箱へ。
「どれもみんな同じ素材に見えるけど、そのまま捨てたらダメなのかな?」と思ったことはありませんか?
実は、ペットボトルのキャップやラベルを分別して捨てるというひと手間には、資源をリサイクルするうえで深いワケがあるのです。
今回も、カガクに詳しい「モルおじさん」が解説します。
一般にペットボトルは、以下のように「3種類以上のプラスチック(※1)」からできています。
1. ボトル本体:ポリエチレンテレフタレート(PET)
2. キャップ(蓋):ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)
3. ラベル:ポリスチレン(PS)やPEなど
※1 素材の組み合わせは製品によって異なります。

ここで「素材が全部同じなら、分別の必要がなく楽なのに!」と思った人もいるかもしれません。その発想、半分正解です。
ペットボトルには「落としても壊れない」「しっかり密閉する」「ラベルがきれいに貼れる」など、多くの機能が求められます。しかし、一つの素材だけでこれらすべてを満たすのは難しい。そのため、ペットボトルは各パーツに求められる役割に合わせて、特性の違う複数のプラスチックを組み合わせて使用しているのです。
ペットボトル本体に使用されているPETは、透明で強く、気体を通しにくい特徴があります。そのため、炭酸飲料のように内側から強い圧力がかかっても破裂せず、中身をしっかりと閉じ込めることができます。
ただ、PETはキャップのように密閉したり、ラベルのようにボトルのかたちにぴったり密着したりするには柔軟性が足りません。そのため、ペットボトルのキャップやラベルには、その用途にぴったり合う別の素材を使う必要があります。
このように、それぞれ異なる強みを持つ素材が適材適所で活用されているからこそ、私たちは手軽に美味しく安全に、ドリンクを持ち運んで飲むことができるのです。

現在、プラスチックは100種類以上あると言われていますが、大きくは「クッキー型」と「チョコレート型」の2種類に分けられます。
クッキー型とは、一度焼き固めたら熱をかけても形が変わらないタイプ(熱硬化性樹脂)のもの。分子同士が強く結びつき、熱に負けない強さを持ちます。

一方、チョコレート型とは、熱で溶かすと何度でも形を変えられるタイプ(熱可塑性樹脂)です。そして、PETをはじめとした、ほとんどのプラスチックはチョコレート型に分類されます。

チョコレート型のプラスチックは、洗浄・選別・粉砕・ペレット化(熱で溶かして再びプラスチックの粒にする)といった工程を経て、再利用できます。ペットボトルも同様の手順でリサイクルでき、再びペットボトルや卵パック、衣類などに生まれ変わります。
プラスチックをリサイクルするうえで重要なことが2つあります。それは「同じ種類のプラスチックを集めること」と「不純物を取り除くこと」です。

プラスチックには、1つひとつ異なる特徴があります。そのため、たとえチョコレート型であっても、異なる種類のプラスチックが混ざった状態でリサイクルすると互いにケンカしてしまい、本来持っている実力を発揮できなくなります。
こうした問題を生じさせないためにも、「同じ種類のプラスチックを集めること」は非常に重要です。
飲み残しなどによる汚れや、パッケージで使用される印刷インキなどの異物が混ざると、再生プラスチックの機能が低下し、再利用しにくくなってしまいます。
そこで、日本国内のペットボトルは、本体に色づけせず、商品情報などは切り離せるラベルに印刷し、異物が混ざりにくい状態で集められるよう設計(エコデザイン)されています。だからこそしっかり分別し、きれいにして捨てましょう。
ペットボトルを再利用可能な素材にするために家庭でできることは、ボトル本体だけを分けて出すこと、そして軽くすすいでから捨てることです。このひと手間がリサイクル原料の価値を高め、資源として再利用しやすくなります。
今後ペットボトルや身の回りの包装容器を手に取ったら、ぜひ製品に印刷されているリサイクル表記に目を向けてみてください。同じように見えるプラスチックでも、素材の違いを知り、しっかり分別回収していくことが、プラスチックを「ゴミ」ではなく「資源」として使い続けるための第一歩となります。
ここまで読んで、「でも街なかのゴミ箱は、蓋もラベルも一緒に出すことが多いよね?」と不思議に思った方もいるかもしれません 。実はそれ、矛盾しているわけではないんです。
街なかで回収されたペットボトルは、そのあと工場で、水に浮く、沈む、風で飛ぶ、飛びにくいといった「素材ごとの違い」を利用しプラスチックを分けています。ペットボトル回収の向こう側に、実はたくさんの科学があるんです。ぜひ、三井化学のYouTube「【三井化学】浜松メカニカルリサイクル(マテリアルリサイクル)実証設備紹介動画」を見てみてください。2:00ぐらいからどうやって分け方を説明しています。
日本のペットボトルリサイクル率は2023年度で85.0%。環境先進といわれるヨーロッパの42.7%(2021年)から大きくリードしています(※)。これには、飲料メーカーや容器メーカーなどが、リサイクルをしやすいようルールをつくってきたことが理由です。着色ボトルを禁止したり、ラベルをはがしやすくしたり。一つひとつの積み重ねがいまの状況をつくっています。これからも、環境にやさしいものづくりは進んでいきます。
三井化学では、「世界を素(もと)から変えていく」というスローガンのもと、バイオマスでカーボンニュートラルを目指す「BePLAYER®」、リサイクルでサーキュラーエコノミーを目指す「RePLAYER®」という取り組みを推進し、リジェネラティブ(再生的)な社会の実現を目指しています。
「BePLAYER®」「RePLAYER®」サイト:https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/
素材に○○な情報メディアー素素 SOSOー:https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/beplayer-replayer/soso/