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2022年『三井化学 触媒科学賞』受賞者の発表について
2022.06.22
三井化学株式会社
三井化学株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:橋本 修)は、2022年 『三井化学 触媒科学賞』 および 『三井化学 触媒科学奨励賞』 受賞者を決定しましたのでお知らせします。
当社グループは、化学および化学産業の持続的発展に寄与する目的で、世界の触媒科学分野において特に優れた業績をあげた研究者を表彰する制度を2004年に制定し、2005年3月に第1回の表彰を行っております。
第9回となる今回も多数の応募をいただき、今般、下記の通り受賞者を決定しました。授賞式と各受賞者による記念講演は、2022年秋に実施いたします。(詳細は、別紙参照)
2022年 『三井化学 触媒科学賞』 受賞者(1名)
Melanie S. Sanford 博士 ミシガン大学 教授 |
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2022年 『三井化学 触媒科学奨励賞』 受賞者(2名)
Todd K. Hyster 博士 コーネル大学 准教授 |
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Robert J. Phipps 博士 ケンブリッジ大学 准教授 |
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< 別紙 >
1. 授賞理由詳細
2022年 『三井化学 触媒科学賞』 受賞者(1名)
氏名 | Melanie S. Sanford |
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所属・肩書等 | ミシガン大学 教授 |
タイトル | Developing late transition metal catalyzed reactions for carbon-carbon and carbon-heteroatom bond formation |
選考理由 | Melanie S. Sanford博士は、C–H結合官能基化反応のための後期遷移金属触媒の開発にいち早く着手し、この分野の研究に大きな影響を与えた。また、フッ素化および放射性フッ素化反応のためのパラジウムおよび銅触媒を開発し、これらの反応における反応機構に関して精力的に研究を展開した。さらに、塩基を用いないクロスカップリング反応として脱カルボニルクロスカップリング反応に着目し、独創性の高いニッケルおよびパラジウム触媒を開発した。この反応では、ハロゲン化アリールの代わりにカルボン酸およびその誘導体が求電子剤として用いられる。これらの研究は触媒科学の発展に大きく貢献しており、今回の受賞に至った。 |
2022年 三井化学 触媒科学奨励賞』 受賞者(2名)
氏名 | Todd K. Hyster |
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所属・肩書等 | コーネル大学 准教授 |
タイトル | Photoenzymatic catalysis in organic synthesis |
選考理由 | Todd K. Hyster博士は酵素の活性サイトにおいて補酵素の可視光活性化を巧みに組み合わせる事でラジカル不斉合成を高効率で達成する新しい生体触媒法を開発し、有機化学と生物化学を融合させた新領域を開拓した点が高く評価された。最近では分子内C-C結合形成による不斉環化反応や分子間カップリングによる新規化合物の合成にも成功するなど、自ら開発した方法論の汎用性を広げてきており、酵素を用いる環境に優しいファインケミカル製造プロセスとして今後の更なる発展が期待される。 |
氏名 | Robert J. Phipps |
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所属・肩書等 | ケンブリッジ大学 准教授 |
タイトル | Development of novel strategies for selectivity control in catalytic reactions |
選考理由 | Robert J. Phipps博士は、遷移金属触媒と基質間のイオンペアリング相互作用を鍵とする反応設計により、メタ位やパラ位選択的なC-H活性化反応やクロスカップリング反応を開発し、不斉C-H活性化反応にも展開している。さらにイオンペアリング戦略を用いてラジカル反応のエナンチオ制御にも成功し、その合成化学的有用性を示した。 |
2. 授賞式・記念講演について
日本化学会秋季行事「第12回CSJ化学フェスタ2022」内の当社主催コラボレーション企画「触媒科学フォーラム~触媒科学最前線~」(2022年10月19日 午後)において触媒科学賞および触媒科学奨励賞の授賞式、受賞記念講演を実施いたします。
以上