変革と挑戦の軌跡
1912-1953
三井化学の原点
日本初の石炭化学工業への挑戦
三井化学の石炭化学は、1912年に完成した大牟田のコッパース式(副産物回収型)コークス炉から始まりました。それまで廃棄されていた副産物を原料とした化学肥料の生産を皮切りに、様々な化学製品を製造し、戦争による化学品輸入断絶、戦後の食糧危機などに対応してきた社会課題解決の歴史は、現在へとつながるDNAです。
1912
一般情勢
業界動向
三井化学
1912
三井鉱山が日本初のコッパース式コークス炉を建設し、本格的な化学事業を開始(現・大牟田工場)
化学品の輸入断絶
1914
第一次世界大戦勃発
化学品の国産化を進める
1915
日本初の合成染料アリザリンの生産を開始(大牟田)
1916
フェノールの生産を開始(大牟田)
1918
第一次世界大戦終戦
1924
日本初の合成アンモニアの生産を開始(現・下関三井化学)
1932
合成染料インジゴの生産を開始(大牟田)
1939
第二次世界大戦勃発
戦後深刻な食糧危機に
1945
第二次世界大戦終戦
化学肥料の増産で食糧危機を打開
1948
日本初の肥料用尿素の大量生産を開始(現・北海道三井化学)
石油化学製品の国産化が国策に
1950-
エネルギー革命
合成樹脂等の輸入急増
1954-2019
三井化学の転換点
日本初の石油化学工業への挑戦
戦後の石炭から石油へのエネルギー革命に合わせ、三井化学はいち早く欧米の最先端技術を採用し、本格的な石油化学工業に進出しました。1958年に完成した日本初の総合石油化学コンビナートは日本の高度経済成長期を支えました。
順調に石油化学事業を拡大させる中で迎えた石油危機。高付加価値品へのシフトを進め、現在の三井化学グループを支える数々のコア事業を生み出しました。
そして化学業界はさらなる国際競争激化の時代へ突入。三井化学グループは、リーマンショックを契機とする世界不況、中国での大型汎用品工場立ち上げを経て、新たな経営計画のもと事業再構築・ポートフォリオ変革を進めてきました。
1954
一般情勢
業界動向
クラッカー基数
石油化学工業協会の資料をもとに作成
三井化学
1954
チーグラー博士(ノーベル賞受賞者)との出会いにより、ポリエチレン事業進出を決断
1955-
高度経済成長期
1955
三井石油化学工業を設立
高度経済成長期を牽引
1958
岩国工場(現・岩国・大竹工場)の操業を開始、日本初の石油化学コンビナートが完成
1962
日本で初めてポリプロピレンを製造(岩国・大竹)
1967
千葉工場(現・市原工場)でエチレンの生産を開始
1968
東洋高圧工業と三井化学工業の合併により三井東圧化学が発足
1970
浮島石油化学※(浮島)のエチレンプラントが完成
(現・ENEOS(株) 川崎製油所)
大阪石油化学のエチレンの生産を開始(大阪)
日本石油化学(現・ENEOSホールディングス(株))と三井石油化学工業の合弁会社
1973
第一次石油危機発生
1978
浮島石油化学(千葉)のエチレンプラントが完成
(現・市原工場エチレンプラント)
1979
第二次石油危機発生
1985
岩国大竹工場第3エチレンプラント休止(1993年完全停止)
1997
アジア通貨危機
化学業界の再編加速
欧米ではM&Aにより巨大企業が次々に出現
1997
三井石油化学工業と三井東圧化学の合併により三井化学が誕生
高付加価値品へのシフトを進めていく
この時代に開発された製品
1975年 タフマー®/1987年 MR™、トレボン®、イクロステープ™/1995年 アペル®
1980年代後半~90年代
シンガポール、アメリカ、ヨーロッパ、中国に拠点を設立
世界同時不況へ
2008
リーマンショック
中国で大型汎用品工場が次々に立ち上がる
2009
三共アグロと三井化学の農業化学品事業を統合し、三井化学アグロ(現・三井化学クロップ&ライフソリューション)発足
2010
東セロと三井化学ファブロのフィルム・シート事業を統合し、三井化学東セロ(現・三井化学ICTマテリア)発足
2013
Heraeus Holding GmbH 歯科材料事業を買収
2015
国連サミットでSDGs採択
COP21で温室効果ガス排出削減の国際枠組が決まる
2014-2016
中期経営計画
2017-2021
長期経営計画「VISION 2025」
再構築/ボラティリティ低減
2020-
未来への展望
持続可能な社会の実現に向けた挑戦
第一世代である石炭化学工業への挑戦、石炭から第二世代の石油への転換、三井化学グループの歴史はまさに技術革新による社会課題解決の歴史です。そして今カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーが地球全体の課題として叫ばれ、第三世代と呼ぶべき大変革期を迎えています。三井化学グループは、ファーストムーバーとしてサステナブルな社会への貢献を目指し、自らの化学の力に加え、他社連携および共創によりその歩みを加速させていきます。
現在、日本国内のクラッカーは12基。米中摩擦やインフレなどによる環境変化、中国での能力増強に伴う供給過剰を受けた国内市場構造の変化等、外部環境は刻一刻と変化しています。製品の競争力、経済安全保障も考慮したエッセンシャルな需要、そして資本効率という観点から誘導品を見極め、再構築第2幕を進めていきます。
2020
一般情勢
業界動向
三井化学
2020
新型コロナウイルス感染拡大
2020
日本政府は2050年、カーボンニュートラル実現を表明
持続可能社会への取り組み加速
2020
2050年にカーボンニュートラル企業になることを宣言
2021
日本初のバイオマスナフサを原料としたバイオマスプラスチックの製造を開始
2021-
長期経営計画「VISION 2030」
再構築第2幕推進とダウンフロー強化
コンビナートのトランスフォーメーション
ソリューション型ビジネスモデルの構築
日本におけるエチレン生産の推移
- 日本のエチレン生産量*1(右軸)
- エチレン輸出*2(右軸)
- 国内総生産(GDP)*3(左軸)
*1*4 石油化学工業協会の資料をもとに作成
*2 財務省貿易統計データをもとに作成
*3 内閣府データをもとに作成