三井化学グループのバイオポリプロピレン、環境省の委託事業に採択
~ バイオマスプラスチック市場の拡大に必要な世界初の技術。工業レベルでの実証に挑戦 ~
2019.09.26
三井化学株式会社
三井化学株式会社(所在:東京都港区、代表取締役社長:淡輪 敏)は、株式会社開成(所在:新潟県村上市、代表取締役社長:遠山 忠宏)と共に、バイオポリプロピレン(以下、バイオPP)の事業化を目指しています。
この度、環境省がGHG削減施策の一環として実施する「令和元年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」※1において、当社のバイオPP実証事業が採択されました。
今後三井化学は、世界初となるバイオPPの工業化実証試験を行い、技術面・品質面・経済性・GHG排出量削減効果等の評価を多面的に行う予定です。これらの課題をクリアしながら、三井化学グループとしてバイオPPの事業化を検討します(最短で2024年生産開始)。
三井化学グループでは、気候変動対応方針とプラスチック戦略に基づき、環境貢献価値(Blue Value®)製品拡充の一貫として本事業に取り組んでまいります。
ポイント
主要な樹脂の中で、バイオマス原料化が未達であるバイオPPの事業化を目指します。
製造のサプライチェーン全体で資源循環型モデルを構築、CO2排出量の大幅削減を目指します。
ポリプロピレンは自動車部材をはじめ、医療、家電、住宅、食品分野まで、幅広い用途に使用されており、人々の生活に欠かせない素材の1つです。日本で生産されるプラスチックの2割強を占める主要な素材ですが、バイオマス原料化の難易度が高く、今のところ工業化レベルの技術確立には至っていません。
従来のプラスチックは、数億年の長い年月をかけて地中に蓄えられた化石資源が原料ですが、バイオマスプラスチック※2は植物が主な原料です。植物は大気中のCO2を吸収して生育するので、CO2削減に効果的で、地球温暖化を緩和します。植物を原料とするバイオポリプロピレンは、持続可能な社会への貢献が期待される製品です。
今回事業化を目指す新しい製法は、非可食植物を主体とするバイオマス原料から発酵によりイソプロパノール(IPA)を製造し、それを脱水することでプロピレンを得る、世界初のIPA法です。この製法は、これまでに検討されている他社のバイオマス製法に比べて、より安価なバイオPPの製造を可能とします。
また、連携法人である株式会社開成社との取り組みは、同社からバイオマス原料の供給を受ける一方、バイオマス原料製造で生じた廃棄物の回収とその有効活用により、当社製造設備への電力供給を目的としたバイオマス発電や肥料の製造を行うものです。当社は同社と共に、サプライチェーンを通じた資源循環型モデルの構築と環境対応による社会貢献を目指します。
当社は、事業活動を通じた社会課題解決に積極的に取り組むとともに、環境と調和した共生社会実現への貢献と、社会と当社グループの持続的発展を目指してまいります。
当社取り組みの概要
申請事業名 | バイオPP実証事業 |
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申請法人 | 三井化学株式会社 |
連携法人 | 株式会社開成 |
実施期間 | 2019年度から3年度事業として採択 |
※1化石資源由来の素材からバイオマス・生分解性プラスチック等の再生可能資源への転換を図っていくとともに、使用済みの廃プラスチック等の省CO2リサイクルシステムを構築することが不可欠であることから、脱炭素社会を支えるプラスチック等の資源循環システム構築の加速化を推進する環境省の取り組み。本事業では、化石資源由来プラスチックの代替素材である再生可能資源への転換及び社会実装化又はプラスチック等のリサイクルプロセス構築のための実証を行うもの。環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室所管。出典:環境省
※2原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材(プラスチック)。出典:日本バイオプラスチック協会
以上