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Blue Value® / Rose Value®

QOL向上貢献価値「Rose Value®」

人生ばら

あらゆる人が幸福や希望に満ちたばら色の人生を送れるようにという思いを込めたRose
ラヴィアンローズ La Vie en rose

Rose Value®が目指すもの

企業理念において「人類福祉の増進」を社会貢献5項目のひとつとしている三井化学グループは、目指す未来社会に「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」を掲げ、事業活動を通じた実現を目指しています。VISION 2030では、社会課題視点を全事業へ展開し、素材提供にとどまらないサービス等も組み合わせたソリューションとして提供する「ソリューション型ビジネスモデルの構築」を基本戦略に掲げ、事業成長とともに「健康とくらし」「住みよいまち」「食の安心」等に対応し、QOL向上に貢献したいと考えています。

この進捗を確認するツールのひとつとして、当社グループの製品・サービスがもたらす、QOL向上への貢献価値をRose Value®と定め、独自の基準に基づく評価・審査により対象製品を認定しています。当社グループは、Rose Value®製品・サービスの拡大・提供を通じて製品ライフサイクル全体で貢献価値の最大化を図ることで、企業成長とともに目指す未来社会を実現していきます。

Rose Value®の評価方法

当社グループの製品・サービスの機能・特徴は、「高剛性」「低密度」などと物理的性質で表現されることがよくありますが、こうした機能・特徴が社会課題にどのように貢献するかを価値として可視化したものが「Rose Value®」です。可視化とは、例えば、「高剛性により食品パッケージの丈夫さが増すことにより、食品輸送時の損傷が減り、フードロスの削減につながる」など、当社グループの製品・サービスの機能・特徴と社会的な価値との結び付きを、分かり易く表現することです。

Rose Value®製品・サービスの認定にあたっては、「くらしと社会を豊かにする」「健康寿命を延ばす」「食を守る」の3つの観点でのQOL向上への貢献を、「社会課題アプローチ」と「自社の合理的関与」という2つの側面から、可能な限り客観的に評価しています。

社会課題アプローチ

① 評価の範囲

Rose Value®では、「健康とくらし」「住みよいまち」「食の安心」等の当社グループのマテリアリティとの関連から、「くらしと社会を豊かにする」「健康寿命を延ばす」「食を守る」という3つの「貢献要素(認定項目)」を設定しています。

② 判定項目

3つの貢献要素について、ユニバーサルデザイン&アメニティ、レジリエンス&スマート、ユニバーサルヘルスカバレッジ、フードセキュリティーなどに対するニーズを踏まえ、衛生的な水・住環境、安全かつ安定的な医療・福祉サービス、安全かつ安定的な食料供給などの「社会課題に対するアクション(判定項目)」を設定しています。社会課題に対するアクションは、環境変化や自社の戦略の変更を捉えて適宜見直しており、2019年度には、防災・減災やインフラの長寿命化など、まちの持続可能性に貢献する要素を加える改定を行いました。審査会では、当社グループの製品・サービスがサプライチェーン上のどの段階で社会課題に対するアクションに合致する働きをするか、実際に社会課題解決に対する効果が期待できるか等の観点で評価しています。

また、社会的に何らかの負の影響を促進することが懸念される用途については、Rose Value®製品・サービスとして相応しくないと捉え、認定忌避用途として個別の貢献内容に関わらず認定しないことにしています。

認定忌避用途の例

  • たばこ(健康への悪影響が強く懸念される)
  • 肥料被覆材(マイクロプラスチックの原因物質として環境への悪影響が指摘されている) 等

Rose Value®の貢献要素と社会課題に対するアクション

貢献要素(認定項目) 社会課題に対するアクション(判定項目)

くらしと社会を豊かにする

1 貧困をなくそう
3 すべての人に健康と福祉を
5 ジェンダー平等を実現しよう
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
9 産業を技術革新の基盤をつくろう
11 住み続けられるまちづくりを
13 気候変動に具体的な対策を
  • 災害
    災害発生、あるいは災害に起因する人命や日常生活への影響を抑制する。
  • 生活の基盤となる製品・サービス
    社会生活に必要不可欠なインフラ等の製品やサービスが、安定的かつ永続的に供給されるようにする。
  • 生活活動①(安全性の向上)
    日常生活を送る上で不可避な活動に付随する、怪我などのリスクを低減する。
  • 生活活動②(包摂社会)
    日常生活を送る上で不可避な活動に付随する、特定の社会的弱者の不具合を改善する。

健康寿命を延ばす

1 貧困をなくそう
2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
6 安全な水とトイレを世界中に
  • 生活環境
    全ての人が、健康状態を保つのに必要な水や衛生的な生活環境を、社会的・経済的に維持可能とする。
  • 個人の健康
    全ての人が、自身の健康状態を維持・改善するために必要な製品やサービスを、入手可能とする。
  • 医療・福祉サービス
    全ての人が、医療や福祉などのサービスを、必要な時に享受できるようにする。

食を守る

2 飢餓をゼロに
12 つくる責任 つかう責任
  • 食品
    全ての人が安全な食品を、必要な量・必要なタイミングで、社会的・経済的に入手可能とする。
貢献要素(認定項目)
  社会課題に対するアクション(判定項目)

くらしと社会を豊かにする

1 貧困をなくそう 3 すべての人に健康と福祉を 5 ジェンダー平等を実現しよう 6 安全な水とトイレを世界中に 7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに 9 産業を技術革新の基盤をつくろう 11 住み続けられるまちづくりを 13 気候変動に具体的な対策を
 
  • 災害
    災害発生、あるいは災害に起因する人命や日常生活への影響を抑制する。
  • 生活の基盤となる製品・サービス
    社会生活に必要不可欠なインフラ等の製品やサービスが、安定的かつ永続的に供給されるようにする。
  • 生活活動①(安全性の向上)
    日常生活を送る上で不可避な活動に付随する、怪我などのリスクを低減する。
  • 生活活動②(包摂社会)
    日常生活を送る上で不可避な活動に付随する、特定の社会的弱者の不具合を改善する。

健康寿命を延ばす

1 貧困をなくそう 2 飢餓をゼロに 3 すべての人に健康と福祉を 6 安全な水とトイレを世界中に
 
  • 生活環境
    全ての人が、健康状態を保つのに必要な水や衛生的な生活環境を、社会的・経済的に維持可能とする。
  • 個人の健康
    全ての人が、自身の健康状態を維持・改善するために必要な製品やサービスを、入手可能とする。
  • 医療・福祉サービス
    全ての人が、医療や福祉などのサービスを、必要な時に享受できるようにする。

食を守る

2 飢餓をゼロに 12 つくる責任 つかう責任
 
  • 食品
    全ての人が安全な食品を、必要な量・必要なタイミングで、社会的・経済的に入手可能とする。

自社の合理的関与

1段階目で評価した社会課題アプローチに対して、当社グループの製品・サービスが提供する価値がどのように貢献しているか、関与の程度を評価します。この際、自社の直接貢献だけでなく、顧客のもとでの加工や最終製品の使用場面など、サプライチェーン上での貢献を広く可視化し、評価しています。

直近年度の審査結果概要

2023年度の審査会では、合計24件の製品・サービスがRose Value®として認定されました。人間の負荷低減(腰痛などの防止)に貢献する業務サービスロボットや、災害時の非常用電源としても活躍する太陽光発電設備に使用される材料等が新規に認定された他、認定更新可否審査時期を迎えた製品のうち、農業用不織布などが改めて認定されました。

一方、7件の製品・サービスは非認定となりました。例えば、社会課題アプローチの審査において、「食料不足への貢献」を謳いながらその波及市場の大きさ等に関する情報が無いなど、インパクトを示す定量的な根拠が不十分なケース、「包摂性・多様性への貢献」を目指すとしながら、自動車や生活の快適性を向上させる材料といった一般的な利便性・快適性の説明にとどまるケース等は、社会課題性の面で不適切と判断されました。また、当社の合理的関与の審査において、電子機器の機能向上による社会課題解決に対し、当社製品が当該機器の工程材料として利用されてはいるものの、掛かる機能向上への当社製品の寄与が十分に説明されていないとして、合理的関与の面から不適切と判断されました。

このように、社会課題アプローチと自社の合理的関与の2段階の視点で審査することにより、真に社会課題解決に資するか否かを可能な限り客観的に評価する制度としています。加えて、社会貢献のインパクトを考慮した認定の妥当性に関しては、社外有識者からの助言や見解も参考に審査を行っています。

社外有識者(Rose Value®アドバイザー)

Rose Value®製品の認定プロセスにおいては、(株)日本総合研究所 常務理事の足達 英一郎氏から助言を受け、評価方法や審査基準を設計しています。また、審査会前には、有識者の視点から申請製品の貢献度に対するご意見もいただいています。

2018年度にRose Value制度が正式に発足して以降、申請~審査・認定プロセスを通じ、数多くの製品・サービスが、どのような社会貢献に繋がっているかを議論してきました。結果として、審査会を含めた制度に関わる部門の社会課題と自社の製品・サービスとのつながりに対する理解は着実に深まっていると感じます。三井化学グループは長期経営目標の中でKPIとしてRose Value®製品の売上収益比率40%以上に向け、社会課題視点の全事業への展開を推進すると掲げています。社員が、社会に関して抜群の感度を有していることが企業の競争力となる時代です。社会課題に対する感度を上げ、経営戦略に対する理解を深めることは、社会課題視点ビジネス推進の力になるでしょう。「Rose Value®」評価は、その有力なきっかけになると確信しています。




(株)日本総合研究所 常務理事

足達 英一郎 氏

※ 役職等は掲載当時

株式会社 日本総合研究所 常務理事 足達 英一郎 氏