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Blue Value® / Rose Value®

マネジメントシステム

Blue Value® / Rose Value®製品

方針・基本的な考え方

三井化学グループは、目指す未来社会として「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」を掲げ、事業活動を通じた実現を目指しています。一方で、川上に位置し、様々な産業に幅広く製品・サービスを提供している当社グループが、それらの機能・特徴がもたらすサプライチェーンにおける環境影響や、あらゆる用途で果たす役割、価値を把握することは容易ではありません。そのため、真に事業活動を通じて目指す未来社会への貢献を果たすためには、当社グループの製品・サービスがライフサイクル全体を通じて地球環境あるいは社会にどのように影響し、あるいは貢献できるのかを、直接・間接の顧客を含む多様なステークホルダーと共有することが重要であると考えました。

このような思想のもと、ライフサイクル全体を通じた環境影響を評価し、その価値を可視化する「Blue Value®」、QOL向上への貢献に焦点を当てて評価し、その価値を可視化する「Rose Value®」を設計し、それぞれ独自の基準に基づき評価・審査を行ったうえで、Blue Value®製品、Rose Value®製品を認定しています。

また、Blue Value®とRose Value®は、当社グループの目指す未来社会の実現を目指して設定したマテリアリティのうち、「ライフサイクル全体を意識した製品設計」、「気候変動」、「サーキュラーエコノミー」、「健康とくらし」、「住みよいまち」、「食の安心」に取り組む方向性を示しています。

当社グループは、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大・提供を通じて、製品のライフサイクル全体で貢献価値の最大化を図ることで、企業成長とともに目指す未来社会を実現していきたいと考えています。

環境・社会貢献の見える化

経営方針との整合

当社グループは、VISION 2030の第1の基本戦略に「事業ポートフォリオ変革の追求」を掲げ、社会課題視点を全事業へ展開し、「ソリューション型ビジネスモデルの構築」や、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの構築を推進する「サーキュラーエコノミーへの対応強化」に取り組んでいます。

Blue Value®・Rose Value®製品・サービスは、社会課題解決への貢献を企図するものであり、認定用途の売上収益比率の拡大は、ソリューション型ビジネスモデルやサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルへの「転換」の進捗を表しています。製品・サービスの認定には、マテリアリティや経営戦略を踏まえた独自基準(認定項目・判定項目)を設定し、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの展開が経営方針と整合したものになるよう制度を設計しています。

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 経営方針Blue Value®・Rose Value®

目指す未来社会

  • 環境と調和した循環型社会
  • 多様な価値を生み出す包摂社会
  • 健康・安心にくらせる快適社会

マテリアリティ

  • 持続可能な社会への貢献
  • ライフサイクル全体を意識した製品設計
  • 気候変動
  • サーキュラーエコノミー
  • 健康とくらし
  • 住みよいまち
  • 食の安心

貢献要素(認定項目)

  • CO2を減らす
  • 資源を守る
  • 気候変動
  • 自然と共生する
  • くらしと社会を豊かにする
  • 健康寿命を延ばす
  • 食を守る

戦略

  • 事業ポートフォリオ変革の追求
  • ソリューション型ビジネスモデルの追求
  • サーキュラーエコノミー対応強化
  • DXを通じた企業変革
  • 経営基盤・事業基盤の変革加速
  • 各本部の事業戦略 等

各認定項目の社会課題と社会課題に対するアクション(判定項目)

例)食を守る
【社会課題】食品の安全
【アクション】有害物質が食品に含まれないようにする
目標
  • 不確実な経営環境を乗り越え企業価値を向上
  • コア営業利益2,500億円(2030年)
  • 高付加価値化・事業機会拡大
  • 売上収益比率40%(2030年)

このような考え方のもと、VISION 2030では、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの売上収益が連結売上収益に占める比率を非財務指標とし、40%以上とすることを目標に設定しました。また、2019年度からは、こうした価値提供に貢献する製品・サービスの拡大に向けた積極投資につなげるため、大型投融資の申請フォーマットにBlue Value®・Rose Value®の貢献要素などを織り込み、社会課題視点で機会とリスクを記載することとし、ESG要素を投融資の判断材料にしています。さらに2020年度からは、各事業部門においてBlue Value®・Rose Value®製品・サービスの売上収益と拡大施策を年度目標とし、各事業戦略への組み込みを図っています。

体制・責任者

ESG推進室担当役員を責任者とし、ESG推進委員会にて、Blue Value®・Rose Value®製品拡大の推進に向けた方針・戦略・計画の討議を行っています。討議結果は、経営会議に報告される他、必要に応じて全社戦略会議での追加討議や経営会議での審議を経て、取締役会にて決定、監督されます。また、Blue Value®・Rose Value®製品の審査・認定を行う組織として、RC・品質保証部長を委員長とする審査会を設置しています。

このような体制のもと、Blue Value®・Rose Value®制度を経営方針と整合させるとともに、当社グループの製品・サービスの貢献価値を可視化するため、制度設計、審査・認定、KPI管理に対して経営層や審査会が関与するプロセスを設定しています。

評価・審査・認定プロセス

※1 ESG推進委員会:
社長(委員長)、担当役員、役付執行役員、各事業本部長、関係部長

※2 審査会:
RC・品質保証部長(委員長)、事業部長、新事業開発センター長、経営企画部長、研究開発企画管理部長、ESG推進室長

※3 社内アドバイザー:
化学品安全センター長、知的財産部長、共創推進室長

※4 社外アドバイザー:
早稲田大学 創造理工学部 教授 伊坪 徳宏 氏(Blue Value® アドバイザー)
(株)日本総合研究所 常務理事 足達 英一郎 氏(Rose Value® アドバイザー)

 

制度設計

各部門の方針・戦略と認定基準の整合を図るため、事業部門を含む全部門が制度変更を発議できます。発議がなされると、社外・社内アドバイザーによる社会要請との整合の観点からの意見を踏まえ、審査会にて制度変更の可否を判断します。経営層は、ESG推進委員会で経営方針との整合の観点から制度を監督します。

審査・認定

事業部門は、自部門の製品・サービスについて、Blue Value®・Rose Value®として設定された基準に基づいて環境・QOL向上への貢献価値を評価し、審査会へ申請します。申請にあたっては、貢献度合いやライフサイクル全体を通じて負の影響がないか等について、エビデンスとなるデータも併せて提示します。申請案件の認定可否は、社会要請との整合等を客観的に確認するため、社外・社内アドバイザーの意見も取り入れ、審査会が判断します。

審査会では、貢献価値の評価根拠や、申請製品・サービスのコンセプトやセールスポイントがBlue Value®・Rose Value®の基準に合致しているか等を2段階の審査プロセスにより確認します。

第1段階:社会課題アプローチ

Blue Value®・Rose Value®には、マテリアリティを踏まえ当社製品・サービスがどのような領域の社会課題の解決に貢献するかを示す「貢献要素(認定項目)」とともに、それに対応する「社会課題に対するアクション(判定項目)」を設定しています。当社グループの製品・サービスがサプライチェーン上のどの段階でこれら項目に合致した働きをするか、実際に社会課題解決に対する効果を期待できるか等の観点から評価しています。

第2段階:自社の合理的関与

第1段階で評価した社会課題アプローチに対して、当社グループの製品・サービスが提供する価値がどのように貢献しているかを評価します。サプライチェーンの川上に位置する当社グループは、様々な産業に幅広く製品・サービスを提供しているため、ライフサイクル全体における製品・サービスの価値を評価し、自社の直接貢献だけでなく、顧客のもとでの加工や最終製品の使用場面など、サプライチェーン上での貢献を広く可視化し、評価を行っています。

なお、認定は製品・サービスの用途別に行っています。これは、同じ製品・サービスであっても、各々の用途によりライフサイクル全体で環境・QOLに与える影響が異なるためです。

KPI管理

VISON 2030の非財務指標としているBlue Value®・Rose Value®製品売上収益比率は、ESG推進委員会で定期的に報告しています。これにより経営層は進捗に応じた戦略再考等の指示を行い、各事業部門は認定製品の拡大に向けた事業開発の推進や販売戦略の見直しなど事業戦略への組み込みを図ります。このようなKPI管理のサイクルにより、本制度を通じた企業成長と目指す未来社会の実現の両立を目指しています。

目標・実績

指標集計範囲2023年度2024年度2030年度
(中長期)
目標実績目標目標
Blue Value®製品売上収益比率三井化学
グループ
24%24%26%40%
Rose Value®製品売上収益比率三井化学
グループ
25%24%26%40%

Blue Value®製品・Rose Value®製品売上収益比率

Blue Value®製品・Rose Value®製品売上収益比率

Blue Value®・Rose Value®製品粗利益

Blue Value®・Rose Value®製品粗利益

Blue Value®・Rose Value®製品売上収益の対前年推移

凡例
Blue Value®売上収益・売上収益比率の対前年推移
Rose Value®売上収益・売上収益比率の対前年推移

2023年度のBlue Value®・Rose Value®製品の売上収益は、グループ全体の売上収益減少との連動も一部あり、既存認定分は対前年比で減少しましたが、新たな貢献製品や用途の開拓により、全体としては増加しました。