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Blue Value® / Rose Value®

環境貢献価値「Blue Value®」

地球の

自然やエコに直結するGreenではなく、もっと大きな地球を意味するBlue
地球環境との調和や社会への貢献を意味するコーポレートカラーでもある

Blue Value®が目指すもの

「環境との調和」を企業理念とする三井化学グループは、目指す未来社会のひとつに「環境と調和した循環型社会」を掲げ、事業活動を通じた実現を目指しています。VISION 2030では、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの構築、原燃料転換に基づくサーキュラーエコノミー対応製品の展開等により事業構造を変革させる「サーキュラーエコノミーへの対応強化」を基本戦略に掲げ、事業成長とともに「気候変動」「サーキュラーエコノミー」等に対応し、低炭素・循環型・自然共生社会の実現に貢献したいと考えています。

この進捗を確認するツールのひとつとして、当社グループの製品・サービスがもたらす環境への貢献価値をBlue Value®と定め、独自の基準に基づく評価・審査により対象製品を認定しています。当社グループは、Blue Value®製品・サービスの拡大・提供を通じて製品ライフサイクル全体で貢献価値の最大化を図ることで、企業成長とともに目指す未来社会を実現していきます。

Blue Value®の評価方法

影響評価には、ライフサイクルアセスメント※1に基づく環境影響の評価手法の一つであるLIME2※2をベースとした独自の手法を用いています。

Blue Value®製品・サービスの認定にあたっては、「CO2を減らす」「資源を守る」「自然と共生する」の3つの観点での環境への貢献を、「社会課題アプローチ」と「自社の合理的関与」という2つの側面から、可能な限り客観的に評価しています。

※1 ライフサイクルアセスメント(LCA):
製品の原料、製造、加工、使用、廃棄などすべての段階を通して、環境影響を定量的に評価する手法。

※2 LIME2(Life-cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling):
日本の環境条件を基礎とした被害算定型ライフサイクル環境影響評価手法。

社会課題アプローチ

① 評価の範囲

Blue Value®では、「ライフサイクル全体を意識した製品設計」「気候変動」「サーキュラーエコノミー」等の当社グループのマテリアリティとの関連から、ライフサイクル影響評価手法の一つであるLIME2の影響領域をもとに、「CO2を減らす」「資源を守る」「自然と共生する」の3つの「貢献要素(認定項目)」を設定しています。

② シナリオ

申請にあたっては、製品・サービスが関わる特定のサプライチェーンにおいて、どのような比較評価を行うか、シナリオを設定します。審査会では技術や市場の状況に照らし、市場一般品や自社従来品、比較評価に相応しい製品が無い場合の考え方等、適切な比較対象の設定についても確認しています。

③ 判定項目

3つの貢献要素について、使用する物質、エネルギー、廃棄物の排出等の観点から「社会課題に対するアクション(判定項目)」を設定し、環境貢献を示すうえで必要なデータの種類や、トレードオフを検証するために提示すべき情報などを定めています。審査会では、これらを基に、当社グループの製品・サービスが、認定を受けようとする貢献要素に対して社会課題解決に資する効果が十分あるか、その他の影響領域においてアクションの実施に伴い負の影響を発生させていないか等の観点で、ライフサイクル全体を通じた環境影響を評価しています。

また、社会的に何らかの負の影響を促進することが懸念される用途については、Blue Value®製品・サービスとして相応しくないと捉え、認定忌避用途として個別の貢献内容に関わらず認定しないことにしています。

認定忌避用途の例

  • たばこ(健康への悪影響が懸念される)
  • 肥料被覆材(マイクロプラスチックの原因物質として環境への悪影響が指摘されている) 等

④ 評価の簡略化

自社の製品・サービスを利用する川下の産業等における環境影響については、評価を行うために必要なすべての情報を集めることが困難なケースも少なくありません。Blue Value®評価においては、一定の近似値や計算簡略化のための仮定を導入することを認めています。審査会では近似や仮定が適切に行われているかについても確認しています。

Blue Value®の貢献要素と社会課題に対するアクション

貢献要素(認定項目) 影響領域(LIME2) 社会課題に対するアクション(判定項目)

CO2を減らす

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
9 産業を技術革新の基盤をつくろう
11 住み続けられるまちづくりを
13 気候変動に具体的な対策を
地球温暖化
オゾン層破壊
  • GHG原単位の低い原材料への変更
  • 原料の使用量の削減
  • 再生可能原料への変更
  • 装置・機械のエネルギー効率の改善
  • 低GHGエネルギー源への変更 等

資源を守る

6 安全な水とトイレを世界中に
8 働きがいも 経済成長も
9 産業を技術革新の基盤をつくろう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
14 海の豊かさを守ろう
資源消費
土地利用
廃棄物
  • 化学原料(化石資源)、鉱物資源等の使用量の削減
  • 再生可能資源由来の化学品への変更 等

自然と共生する

3 すべての人に健康と福祉を
6 安全な水とトイレを世界中に
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
酸性化
都市大気汚染/室内空気汚染
光化学オキシダント
有害化学物質
生態毒性
富栄養化
  • 有害性を有する原材料の使用回避
  • 有害性を有する排出物の排出抑制 等
貢献要素
(認定項目)
社会課題に対するアクション(判定項目)
  影響領域
(LIME2)

CO2を減らす

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに 9 産業を技術革新の基盤をつくろう 11 住み続けられるまちづくりを
  • GHG原単位の低い原材料への変更
  • 原料の使用量の削減
  • 再生可能原料への変更
  • 装置・機械のエネルギー効率の改善
  • 低GHGエネルギー源への変更 等
  地球温暖化
オゾン層破壊

資源を守る

6 安全な水とトイレを世界中に 8 働きがいも 経済成長も 9 産業を技術革新の基盤をつくろう 11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任 つかう責任 14 海の豊かさを守ろう
  • 化学原料(化石資源)、鉱物資源等の使用量の削減
  • 再生可能資源由来の化学品への変更 等
  資源消費
土地利用
廃棄物

自然と共生する

3 すべての人に健康と福祉を 6 安全な水とトイレを世界中に 11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任 つかう責任 14 海の豊かさを守ろう 15 陸の豊かさも守ろう
  • 有害性を有する原材料の使用回避
  • 有害性を有する排出物の排出抑制 等
  酸性化
都市大気汚染/室内空気汚染
光化学オキシダント
有害化学物質
生態毒性
富栄養化

自社の合理的関与

第1段階で評価した社会課題アプローチに対して、当社グループの製品・サービスが提供する価値がどのように貢献しているか、関与の程度を評価します。この際、自社の直接貢献だけでなく、顧客のもとでの加工や最終製品の使用場面など、サプライチェーン上での貢献を広く可視化し、評価しています。

直近年度の審査結果概要

2023年度の審査会では、合計17件の製品・サービスがBlue Value®として認定されました。ISCC認証を取得した、バイオマスナフサ由来の化学品やリサイクル由来の原料を利用した樹脂原料等が新規に認定された他、認定更新可否審査時期を迎えた製品のうち、自動車の走行燃費改善に資する軽くて強い自動車用材料などが改めて認定されました。

一方、10件の製品・サービスは非認定となりました。例えば、植物由来のバイオマス原料を用いた化学品製造による資源保護を謳う一方、バイオマス原料の土地利用負荷の増減に関する情報がない、材料複合化による自動車の軽量化で走行燃費改善を謳う一方、廃棄時の環境負荷増減に関する情報がないなど、サプライチェーン全体での優位性を確認できないものは、不適切と判断されました。また、評価シナリオにおいて、現在の市場や技術の状況に照らすとフェアでない比較対象を設定しているという理由から不適切と判断されたケースもありました。

このように、前提条件やトレードオフの有無も考慮した、社会課題アプローチと自社の合理的関与の2段階の視点で審査することにより、真に社会課題解決に資するか否かを可能な限り客観的に評価する制度としています。加えて、サプライチェーン全体を通した社会貢献のインパクトを考慮した認定の妥当性に関しては、社外有識者からの助言や見解も参考に審査を行っています。

社外有識者(Blue Value®アドバイザー)

Blue Value®製品の認定プロセスにおいては、早稲田大学 創造理工学部 教授の伊坪 徳宏氏から助言を受け、評価方法や審査基準を設計しています。また、審査会前には、有識者の視点から申請製品の貢献度に対するご意見もいただいています。

脱炭素と循環経済が世界の問題解決と成長戦略の中心課題となり、産業を横断したエコイノベーションの推進が求められています。製品ライフサイクルの視点から環境負荷の低減に寄与する製品を可視化するBlue Value®は、カーボンニュートラルと循環社会の早期実現に貢献するする極めて重要な情報です。三井化学が長期経営目標にBlue Value®製品の売上収益比率をKPIとして採用したことは、エコプロダクツの迅速な普及に寄与するものであり、その活動を強く支持します。




早稲田大学 創造理工学部 教授

伊坪 徳宏 氏

※ 役職等は掲載当時

東京都市大学 環境学部教授 大学院環境情報学研究科長 伊坪 徳宏 氏