品質マネジメントレベル向上のため、有効性の高い品質監査の実施や人材育成プログラムの拡充を中心に取り組んでいます。
製品とサービスの品質
取り組み
品質マネジメントレベル向上への取り組み
品質教育
人材育成プログラムとして、新入社員から経営層まで階層ごとの品質教育を実施しているほか、「お客様に喜んでいただける価値の創造」をテーマとした品質講演会の実施、ヒューマンエラー防止のための教材を活用するなど種々の品質教育を実施しています。品質に関するe-ラーニング講座は20項目を設け、多言語化して国内のみならず、海外関係会社にも展開しています。また、品質トラブルにつながる危険(リスク)の発掘と除去を目的とした、現場での品質トラブルの未然防止活動(QRG活動)を、三井化学全工場の自主活動として実行し、関係会社へも展開しています。
e-ラーニング講座例 | 2023年度受講者数(時間)(三井化学) |
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品質に関わるコンプライアンスの基礎知識 | 5,533名(2,305hrs) |
品質マネジメントの基礎知識 | 2,138名(1,247hrs) |
QC手法の基礎知識 | 804名(4,402hrs) |
RC・品質保証部表彰
品質月間である11月に「RC・品質保証部表彰(Award for Quality Management Activity in Mitsui Chemicals Group)」を実施しています。三井化学および国内外関係会社におけるRC活動の活性化、化学物質マネジメントの向上、品質マネジメントの継続的改善に向けた努力を称賛し、さらなる活性化を図るため、様々な現場での活動のうちすぐれたものを表彰しています。
2023年度 RC・品質保証部表彰
RC・品質保証部長賞 | 活動内容 |
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フェノール事業部、各支店(名古屋、大阪、福岡)、市原工場、大阪工場、岩国大竹工場 | 納入仕様書締結率100%達成に向けた新たな仕組みの構築と実行 |
優秀技術賞 | 活動内容 |
ジャパンコンポジット(株) | コンパウンド材料製品の異物苦情の削減 |
優秀賞 | 活動内容 |
作新工業(株) | RC部員の多能工化による業務の平準化と顧客資料作成業務の合理化 |
(株)プライムポリマー | 製品安全に関する社内外へのアクティブな情報発信 |
(株)三井化学オペレーションサービス (株)プライムポリマー | 製造プラントで発生した黒点異物問題への継続的な対策の取り組み |
Grand Siam Composites Co. Ltd., | 自動車インパネのブロンジング※1の原因究明と品質管理体制強化 |
特別賞 | 活動内容 |
名古屋工場 | IATF16949※2運用を通じた電解液(ミレット®)の継続的な品質改善 |
※1 ブロンジング:
塗膜表面に金色のような金属光沢が現れる現象
※2 IATF16949:
自動車製品の品質管理に関する国際規格
お客様からの声に対する取り組み
三井化学では、お客様からいただいた製品・サービスに対する不満の声(苦情)について、社内のワークフローシステムで集約し、苦情内容・原因およびお客様への対応結果等をモニタリングしています。月ごとに解析結果をまとめ年間での苦情の状況をレビューし、次年度の品質管理目標のKPIに設定しています。
苦情発生時は、事業部門、製造部門、物流部門および品質保証部門が協力し、原因究明と対策を進めることにより、再発防止および水平展開を実施しています。そのための取り組みのひとつとして、毎週、品質保証部門全員で、各苦情について根本原因の究明と対策の検討および進捗確認を行っています。またお客様にご迷惑をお掛けするリスクの大きさ、類似事例の発生の可能性がないか、といった観点で重要な事例を抽出し、全社に品質マネジメント月次報告等で水平展開しています。
また、製品に含有する化学物質(製品含有化学物質)がより高いレベルでの管理が求められる中、プロダクトスチュワードシップを推進し、サプライチェーン全体での化学物質管理を徹底しています。お客様からの製品含有化学物質についてのお問い合わせに対し、データベースによる情報の整備を行い、正確な回答を迅速に行えるよう、専門部署を設けて対応しています。
品質コンプライアンス遵守に向けた活動
昨今、国内および海外関係会社で、品質に関する重大なコンプライアンス違反が確認されました。これらの事象を踏まえ、三井化学グループでは、品質コンプライアンス遵守強化策に取り組んでいます。具体的には、不正のトライアングルとして知られている「動機」・「機会」・「正当化」のそれぞれへの対策を基本方針に基づき進めています。さらに水平展開として、「製品検査健全性確保のガイドライン」の改定と再周知、品質監査におけるコンプライアンス視点の項目強化、新規関係会社への監査前倒し、「品質リスクの高い関係会社」を対象とした品質対話、製品認証の取得・維持についての管理状況の点検等を進めております。
品質コンプライアンス遵守強化に向けた対策(基本方針)
- 「動機」:顧客が満足する品質システムの作り込み
- 「機会」:改ざんしない/させない仕組みづくり
- 「正当化」:教育・啓蒙活動によるコンプライアンスを守る組織風土・倫理観の醸成
新規事業への対応
ソリューション型ビジネスや社会課題視点の新規事業に対して顧客及び社会からの要求に答えられる品質マネジメントシステムを構築し、運用を開始しています。これは、顧客の声を開発目標に結び付けることによる「顧客製品の価値創造への貢献」と、開発段階での「顧客における不具合の未然防止」により構成される取り組みです。また、各製品の用途ごとに適用される法令・認証についても適合性を確認し、リスク評価を行った上で上市しています。これら活動を通して顧客との信頼関係を強固なものとし、新規事業における品質確保を進めています。
医療機器等の事業においては、薬事に関連する法令・認証についての専任グループを設置し、専任グループを中心に、製品の安全性・有効性を確認するとともに、法規制対応を実践しています。上市後の法令・認証については、定期的な点検により遵守状況を確認しています。