不織布が赤ちゃんのクオリティ・オブ・ライフを変える
赤ちゃんのお尻に欠かせない紙おむつ。この紙おむつと不織布には切っても切れない関係があります。でも、不織布って? 一体何なのでしょうか。
不織布は細い合成繊維を絡み合わせて布状にしたものです。原料はプラスチックで、紙おむつには主にポリプロピレンというプラスチックが使われています。拡大してみると通常私たちが布と呼ぶ織物とはだいぶ形状が違いますね。それだけでなく、不織布は、織物や紙、フィルムでは得られない特別な性能を持つことから、紙おむつに広く使われています。
不織布が紙おむつに使われる理由は、何と言っても水分や空気の透過性の良さと柔らかな肌触りにあります。肌が直接触れる部分に不織布が使われていて、赤ちゃんのおしっこは不織布を通って紙おむつの内側にある吸収体に吸収されます。このとき不織布はおしっこを素早く通します。つまり肌に触れる面はいつもさらさら、赤ちゃんにとってストレスが少なく気持ちの良い素材なのです。また、不織布はその製造方法により、柔らかい風合いをつくりだすことができます。赤ちゃんの皮膚の厚さは大人の約半分。ちょっとした刺激ですぐに傷つきかぶれてしまいます。柔らかくて肌触りがよい不織布は肌擦れが少なく、赤ちゃんのお尻にぴったりなのです。
伸縮性不織布登場
赤ちゃんがハイハイや立っちができるようになると、お母さんはおむつ替えが大変になります。お母さんの肩に赤ちゃんをつかまらせながら穿かせられるパンツ型おむつはやっぱり便利ですよね。活動が活発になった赤ちゃんにとっても動きやすいおむつが一番です。理想的なのは、よく伸びて脱ぎ着がしやすく動きやすい紙おむつ。これまでにも糸ゴムやストレッチフィルムを使った紙おむつがありましたが、部分的に締め付けが強すぎて穿かせにくかったり、かと言って緩くするとずれて漏れたり、通気性が悪くてかぶれやすかったりといった問題があり、理想的なおむつとは言えませんでした。
そこで登場したのが、三井化学が世界で初めて開発に成功した伸縮特性のある不織布です。
不織布自体が伸び縮みすることにより、糸ゴムなどをほとんど使わなくても伸びるおむつが作れるようになりました。三井化学の伸縮性不織布を使った紙おむつは、穿かせるときの伸びやすさとフィット感が違います。おむつを手で広げるとスーッと広がるように伸び、穿いた後は赤ちゃんのおしり全体にしっかりと、でも優しくフィットします。これまでの漏れや締め付けといった不快感を格段に改善することができました。それに肌触りはとってもなめらか。「こんなに柔らかいなんて」と驚くほどです。
もともと不織布は、引っ張っても伸びたり縮んだりしないものなのですが、私たちは特殊紡糸技術を適用することで不織布が持つ柔らかさを向上させ、さらには不織布自体を伸び縮みさせることに成功しました。これは、三井化学が持つプラスチックについての長い研究の歴史と深い知識、優れた開発力の成果です。
三井化学の伸縮性不織布は世界的な有名メーカーの紙おむつに採用され、国内外で広く販売されています。今日も明日も、これから先もずっと、三井化学は身近なところで赤ちゃんの成長を優しく見守っています。