担当役員メッセージ
サステナビリティを「自分事」にするために
当社は2018年にESG推進方針を策定し、ESG推進室およびESG推進委員会を設置して以来、社会的なESGの潮流に合わせて様々な課題に取り組んできました。これらの取り組みに対して社外から評価もいただいており、一部では先進的な取り組みと言っていただけるレベルになったと認識しています。今後もこれをさらに発展させ、社会要請の変化に応じた取り組みを継続していきます。
一方で、こうした社会要請を受けた取り組みや社外からの評価が、社内で十分に理解されているとは言えず、社員一人ひとりが「自分事」として捉えるには至っていないと感じています。サステナビリティの活動が全社の非財務KPIの達成や将来の収益につながることを実感し、個々人の取り組みにつなげられるようにすることが課題です。
そのために、既存の研修や「ESG Link Café」※などの活動を継続するとともに、これまで以上に対話の機会を増やしていきたいと思います。対話を通じて、当社のサステナビリティは、社員一人ひとりの意思と日々の活動から創られていくものという意識を醸成し、サステナビリティを自らの業務と結びつけて考える機会を増やしていきます。
※ ESG Link Café:
「誰でも気軽に参加できる」をコンセプトに、全社員を対象とした自由参加の対話型オンラインイベント。

主な周知・浸透ツール
気候変動に対する取り組み
2030年に向けては、VISION 2030の非財務目標としているGHG排出量40%削減に目途を付けました。京葉地区でのナフサクラッカーの1基化を含む生産最適化に向けた設備の停止・ダウンサイジング、大阪工場で進めるアンモニア燃焼技術開発、再エネ導入などが大きく寄与する見通しです。2030年に向けた取り組みの中心は省エネであり、生産現場における省エネ対策は徹底されつつあります。
一方、2030年以降は抜本的な低炭素化・脱炭素化の対応が必要であり、大規模な設備投資を必要とします。当社グループは、2050年カーボンニュートラルという大きな目標に向かって、施策を着実に進めていく方針です。CCUS等の新技術の導入や再エネへの燃料転換も重要なテーマですが、当社単独での対応には限界があります。これらを進めるために他社や地域間での連携にも努力していきます。
Scope3排出量については、算定・開示の範囲を従来の三井化学単体から主要連結子会社へ拡大し、直近年度のデータ開示を可能にするため業務フローを見直しました。算定範囲の更なる拡大と算定方法の精度向上により、サプライチェーン上での環境負荷をより正確に把握し、評価・管理につなげていきます。
Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大
環境貢献やQOL向上に資するBlue Value®・Rose Value®製品・サービスは、足元で拡大のスピードがやや鈍化しているものの着実に成長しています。事業ポートフォリオ変革の指標として非財務指標に位置付けている認定製品の売上収益比率は、2024年度までにBlue Value®が26%、Rose Value®が25%に達しました。
VISION 2030で掲げる2030年40%という目標に向け、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスを増やしていくための施策について、ESG推進委員会などの場で議論を重ねています。事業ポートフォリオの変革を通じて新たな技術やお客様の課題に応える製品開発を加速していくことで、Blue Value®・Rose Value®は自ずと伸びていくと考えています。
事務局を務めるESG推進室は、各事業部門が描く成長戦略や取り組むべき社会課題解決を適切に評価できるよう、制度のアップデートにも取り組んでいきます。
サステナビリティ推進に向けた決意
昨今、経済の失速などによりサステナビリティ推進を緩めるESGバックラッシュと呼ばれる動きも見られますが、当社グループとしては、サステナビリティを経営・戦略に統合する取り組みを着実に続けていきます。
例えば、人権尊重の取り組みとして、2024年度より製造拠点のデュー・ディリジェンスを開始しており、2025年度も確実に実施していきます。社会の動向もしっかりと認識しながら、やるべきことを決め、一歩一歩着実に前へ進め、ステークホルダーの皆様に当社の取り組みをご理解頂けるよう努力するとともに、全社員が意思をもって、日々の業務を通じてサステナビリティを推進できる、そういう土壌を創り上げていきたいと思います。