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環境保全

GHG・エネルギー

三井化学グループは、気候変動対応方針において製造における脱炭素化を掲げ、GHG排出量およびエネルギー消費量の削減に努めています。

* 気候変動に関する情報はこちらにも掲載しています。

GHG排出量、エネルギー消費量

三井化学グループは、深刻化する環境問題とグローバルな脱炭素への要請の高まりを受け、2020年11月に2050年カーボンニュートラル宣言を発表し、さらなるGHG排出削減量の拡大と加速を目指し、2021年6月に「グループグローバルのGHG排出量を2030年度までに40%削減する(2013年度比)」というグループ目標を設定しました。この目標達成に向け、原燃料の低炭素化、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーへの転換プロセス革新技術の創出等に積極的に取り組み、脱炭素社会の実現に努めていきます。

三井化学グループの2023年度のGHG排出量(Scope1+2)は、GHGプロトコルに準拠するよう算定対象範囲を見直したことに伴い、算定対象となる国内関係会社の増加、温対法による算定対象範囲外の非エネルギー起源CO2への対象範囲拡大の結果、2022年度に比べて上昇しました。

一方、三井化学では、2007年度以降、省エネルギーによるGHG排出量削減目標を設定し、段階的な熱回収の強化や精製工程の効率化等、工場の徹底した省エネ活動を継続しています。2023年度も目標(前年度比2万t以上削減)を上回る2.8万tの削減を達成しました。

GHG排出量削減率(Scope1+2)(三井化学グループ)

* 2013年度比

* 2023年度はGHGプロトコル準拠のため算定対象範囲を拡大

GHG排出量(Scope1、2)削減率*2013年度比

GHG排出量(Scope1、2)(三井化学グループ)

* 2023年度はGHGプロトコル準拠のため算定対象範囲を拡大

GHG排出量(Scope1、2)
GHG排出量(Scope1、2)

当社のエネルギー消費については、エネルギー原単位5年平均低減率1%以上を目標としていましたが、2023年度は様々な省エネルギー施策に取り組んだものの、低稼働によるエネルギー原単位の悪化を打ち消すことが出来ず、2023年度は1.0%上昇しました。今後も省エネ法の努力目標である5年平均低減率1%以上の達成を目指しますが、5年平均低減率では基準年が移動し、長期的な低減努力を評価することが難しいため、省エネ法のベンチマーク目標(エチレン等製造設備におけるエチレン等の生産量当たりのエネルギー使用量11.9GJ/t以下)や2009年度を基準としたエネルギー消費原単位92%以下を参考指標として省エネルギーに取り組んでいきます。

エネルギー消費量(三井化学グループ)

GHG排出量(Scope1、2)エネルギー消費量
GHG排出量(Scope1、2)エネルギー消費量

また、GHG排出量については、原材料購入から顧客での使用、廃棄までのサプライチェーン全体でのGHG排出量を把握するため、自社の事業・生産活動にともなう排出であるScope1+2とあわせて、間接的な排出であるScope3についても算出しています。

GHG排出量(Scope3)(三井化学)

GHG排出量(Scope3)(三井化学)
GHG排出量(Scope3)(三井化学)

GHG排出量(Scope3)の内訳(2022年度、三井化学)

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カテゴリー排出量
(千t CO2eq / 年)

排出量の算定方法、算定対象外とした理由

1. 購入した製品・サービス5,525排出係数
国立環境研究所「産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EID)」
算定方法
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.5(2023.3)」
前提条件・配分方法 等
購入金額より算出。
2. 資本財136排出係数
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.3(2023.3)」
算定方法
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.5(2023.3)」
前提条件・配分方法 等
資本財購入金額より算出。
3. Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動272排出係数
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.3(2023.3)」
算定方法
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.5(2023.3)」
前提条件・配分方法 等
燃料、電気および蒸気購入量。弊社工場構内にあり、弊社とエネルギー管理を一体とする覚書を締結した会社を含む。
4. 輸送・配送(上流)65排出係数および算定方法
環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver4.9 2023.4)」
前提条件・配分方法 等
輸送手段別の輸送重量および輸送距離。
5. 事業から出る廃棄物43排出係数
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.3(2023.3)」
算定方法
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.5(2023.3)」
前提条件・配分方法 等
社外で処理した廃棄物の種類毎の処理量。
6. 出張7排出係数
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.3(2023.3)」
算定方法
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.5(2023.3)」
前提条件・配分方法 等
国内外の交通手段別交通費支給額および宿泊費より算出。国内交通手段別支給額は詳細に区分されていないため、サンプリング調査で航空機、電車、バス、タクシー等の割合を決定。
7. 雇用者の通勤4排出係数
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.3(2023.3)」
算定方法
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.5(2023.3)」
前提条件・配分方法 等
交通区分毎の支給額。
8. リース資産(上流)1排出係数および算定方法
環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver4.9 2023.4)」
前提条件・配分方法 等
本支店テナントでの電力、空調使用量より算出。
9. 輸送・配送(下流)算定対象外当社から顧客までの輸送(B to B)はカテゴリー4に含めている。また当社は素材産業のため、中間製品の比率が高く消費者までの流通を把握できない。従ってその輸送量を合理的に算定することは不可能であるため算定対象から除外。
10. 販売した製品の加工算定対象外当社は素材産業のため中間製品の比率が多く、顧客でも多数の潜在用途がある。そのバリューチェーン企業が行った加工内容や排出原単位のデータを顧客から収集することは難しい。また、現時点では二次データによって精度よく算定することは不可能であるため算定対象から除外。
11. 販売した製品の使用2,985排出係数
環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver4.9 2023.4)」等
算定方法
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.5(2023.3)」
前提条件・配分方法 等
燃料、電気および熱、ドライアイス用CO2の販売量から算出。また、国内自動車部材として販売した当社製品について、自動車使用時のCO2排出量を部材の重量で配分して算定。
12. 販売した製品の廃棄2,034排出係数
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.3(2023.3)」
算定方法
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.5(2023.3)」
前提条件・配分方法 等
当社のポリマー製品および顧客においてポリマー製品となる製品の販売量から算出。
13. リース資産(下流)算定対象外当社には当該資産が存在しないため算定対象から除外。
14. フランチャイズ算定対象外当社にはフランチャイズが存在しないため算定対象から除外。
15. 投資619排出係数
環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver4.9 2023.4)」
算定方法
環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン Ver2.5(2023.3)」
前提条件・配分方法 等
当社グループの関係会社のCO2排出量を持分比率に準じて累積。
11,691 

高効率ガスタービンによる自家発電

三井化学は、大阪工場に高効率ガスタービン発電システムを設置し、2020年12月より営業運転を開始しました。本件は、経済産業省の「平成30年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)」に採択され、Daigasエナジー株式会社と共同で実施しています。
本システムの稼働により、当社大阪工場の自家発電比率が向上するとともに、ガスタービン発電設備から発生する高温排ガスをエチレンプラントのナフサ分解炉の燃焼用空気として利用することで、分解炉の使用燃料を削減します。これにより、大阪工場から排出されるCO2が年間で約7万トン削減できます(2016年度比)。

LNG冷熱を利用した省エネルギープロセス

三井化学および関係会社の大阪石油化学(OPC)は、大阪ガス株式会社と共同で、エチレンプラントにおいてLNG冷熱を利用した省エネプロセスを導入しています。このプロセスは、エチレンプラントにおいて世界で初めて大規模にLNG冷熱を利用した省エネルギープロセスとして2010年10月から運用しています。
LNG(液化天然ガス)は、輸送、保管のために、気体である天然ガスを超低温(-160℃)に冷却することによって液体にしたもので、蒸発させて天然ガスに戻る際に周囲から熱を奪うことで冷却する能力(冷熱)を有しています。当社大阪工場内にあるOPCのエチレンプラントでは、ナフサ(粗製ガソリン)等を高温で熱分解した後、分解ガスを冷却することによりエチレン、プロピレンなどの基礎原料を分離精製しています。当社大阪工場に隣接する大阪ガス泉北製造所より、-160℃のLNGをOPCエチレンプラントに受け入れ、LNGが保有する冷熱を効率的に回収利用することにより、大幅なCO2削減を実現しました。

エチレンプラントとLNG冷熱の融合による大規模省エネプロセス

CO2固定化技術

三井化学は、財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)の「CO2固定化プロジェクト(NEDO委託事業)」に参画し、共同研究成果としてメタノール合成の高活性触媒を開発しました。高活性触媒の改良を進め、2009年に当社大阪工場内で、CO2固定化技術のパイロット実証検証を行いました。これはメタノール換算100t/年の規模で、工場内から排出されたCO2を水素によりメタノールに変換する実証検証です。メタノールへの転換率および触媒ライフについて確認を行い、プロセスデータを含む各種データを取得し、技術パッケージ化も実施しました。水素源の確保やコストに課題があり実用化に至っていませんが、世界が目指す低炭素社会の実現に大きく貢献する技術であると考えています。

太陽光発電設備の導入

三井化学グループは、カーボンニュートラル戦略に基づく当社グループのGHG排出量削減の施策として再生可能エネルギーの導入を掲げています。2024年3月、PPA(Power Purchase Agreement)モデルを採用し、当社名古屋工場内の排水プラント跡地(約8,300m²)の遊休地に太陽光発電設備(発電容量950kW)を設置しました。PPAモデルでは、PPA事業者が発電設備を設置し、発電した電気を全量名古屋工場が買い取るシステムとなっています。当社グループは、今後も更なる再エネ電力比率向上に取り組んで参ります。

名古屋工場に設置された太陽光発電設備 名古屋工場に設置された太陽光発電設備

その他の取り組み